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第98話 迷宮都市ラロッカ

ラロッカの貴族門から町に入ると冒険者で溢れかえっていた。中には武器を持っている者もいる。刃の部分が布で巻かれてるけど危険は無いのかね。


「町の中でも冒険者が武器持ち歩いていいの?ちょっと物騒じゃない?」


「ああ、門の入り口や迷宮の出入り口で封印の札を貼られるので大丈夫です。メンテナンスの時は外す事が出来ますが、封印を忘れたり故意に破いたりすると多額の罰金刑か1年以上の出禁、より悪質だと判断されると冒険者ライセンスが剥奪です。厳しいでしょ?」


「なるほどねえ。よく出来てるなあ。でも毎回全員に札を貼ると結構なコストじゃないのかな」


「それは街と領主の判断ですね。揉め事が減る事とのトレードオフと言うことで」


着いたのが夕方だったので、そのまま町の中心部にある貴族専用の宿に向かう。


チェックインをすると、食事の用意に時間が掛かるとのことだったので町に繰り出す事になった。メインストリートに出ると本当に冒険者が多い。と言うか、ほぼほぼ冒険者だ。


「普段からこんなに冒険者が多いのですか?」


「ええ。私達もパーティを組んでいた時、何度かラロッカに来た事がありますが、昔もこんな感じでした。まあ、日中は冒険者が迷宮に潜っているのでむしろガラガラです。雨や雪の日もそんな感じで」


「武器を持っている者は迷宮帰りの冒険者ばかりですよ。これから酒場やギルドに向かうのでしょう」


大通りを歩いていると、驚いた事に個人の家はまったく無い。宿屋を兼ねた居酒屋、デカ盛りが売りのめし屋、酒場、武器屋、アイテム屋、大人の癒し系の店ばかりだ。なので賑わいがすごい。そうだなあ、地方のハブ駅周辺の雰囲気が近いかな。


ちなみに大人の癒しの店だろう、何人も客引きをしていて、それがいかにもボッタくりを彷彿させる。ただ、俺たちは子ども三人でうち女子二人だから客引きたちは見向きもしない。


なんとなく居心地が悪くなり、冒険者に絡まれる事もなく宿屋に戻ると、個室に案内された。お待ちかねの食事にはちょっと期待をしたけど、魔物の肉じゃなく普通の牛肉だった。


食事を済ませると二人は仲よく風呂に入りにいった。大量に貰った温泉の湯は今日は使わなかった。まあ、どちらかと言えば安全な野営の時に、のんびり星を見ながら堪能したいからいいんだけど。


 翌日、朝起きると早速迷宮に向かう。宿を出て徒歩で約10分、Cランク迷宮だ。


ギルドプレート、必須アイテムを見せ迷宮に入ろうとするとギルドの職員に呼び止められる。


「今日あたり迷宮の変革があるかも知れません。もし地鳴りがしたら2時間以内に速やかに階段、もしくはセーフティゾーンへと退避してください」


「分かりました」


学園迷宮で習った迷宮の部屋の構成が変わるイベントが今日あたり起こるらしい。なんてタイミングだ。


なお、今は1~10階層までは平原ステージ。11~20階層までは洞窟ステージ。21~30階層までは森林ステージだと教えてくれた。


で、地獄の目隠し特訓は、16階層の入り口でやるそうだ。シャロンさんのやる気がダダ漏れしていて座りが悪い。変革の日くらいやめてもいいのに。


1階層目から下りていくとギルド職員の教えてくれたように平原ステージだった。索敵魔法を発動しながらサクサクとクリア。


10階層のボス部屋に入るとCランク魔物で小型の地竜だったが、縮地+居合で1発KO。今のステータスだと、Cランクの魔物程度だと楽勝。調子がいい気がする。


そして洞窟ステージだ。ここから15階層まではDランクとCランクの魔物が出て来る。


15階層に辿りつくと【ゴゴゴゴゴ】と地鳴りが鳴る。揺れは感じないので地震じゃない。となると例のアレだ。


「ヴェル殿。今日の訓練は諦めようか?職員の言うとおり、後2時間後には変革が起きるのだろう」


うーん、どうしよう。確かに積極的にやりたいわけじゃないけど、シャロンさんを見る限り今日じゃなかったら絶対次だよな。

暫く迷宮アタックはお預けになるかも知れないし、折角覚悟を決めて来たのだから、いけるとこまでやっちゃうか。


シャロンさんにそう言うと、時間だけは気をつけて、安全な時間帯に終わらなかったら持ち越しと言うことで進めることになった。


他の冒険者の邪魔にならないように、入り口付近の三叉路の先にある行き止まりの2つの部屋で特訓する事にした。


勘をつかむため、一度目隠しをしていない状態で魔物を倒しておく。


待ち構えていたのはグリーントレント。木の魔物だ。なぜ森林、ここは平原ステージじゃなく洞窟ステージだよね。


グリーントレントは蔓をこっちに飛ばしてくるけど、それはサクッと一刀両断。落ちた蔓はトゲトゲしてて痛そうだ。

それから蔓を何本も斬り落とし、本体に近づき左薙ぎを放ち切り裂き倒した。これ、目隠しじゃ無理ゲーだろ。


「どうだヴェル殿」


「見えていれば楽勝ですが、正直、目隠しをしたら無理じゃないかと」


「最初は誰だって無理だよ。いいか?よく聞くんだ。気配探知のスキルを得るには、魔物が持つ魔力を感じ取るのが一番良いとされる。本来なら耳も防ぐのが一番スキルを得るのには手っ取り早いのだが、それでも何日かは掛かる。まずは視力を奪うが、耳にも頼らず魔力を感じるんだ。いいね」


「それと、大声をあげるのは厳禁です。魔物を呼び寄せてしまいますから。あとは、そうですね、蔓が伸びてくるのを感知する訓練なのですから、トレントの本体は倒す必要は無いので、ゆっくりひとつずつでいいと思います」


「ありがとうございます。ピンチになったらよろしくお願いします」


「もちろんだとも」


「それじゃ行ってくるよ」


「ヴェル。もし何かあったら念話を飛ばして。すぐ行くから」


「絶対に限界までとか考えちゃ駄目ですからね」


「分かってるって」


魔力を感知しようとすると、どうしても仲間の魔力が邪魔になるので、干渉しないところから望遠鏡で見守って貰う事にした。


シャロンさん特製のフルプレートアーマーを装備してから、もう一つの部屋へ向かう。


それからはまさに地獄の時間だった。なんせカブトを被るとクソ暑い。着ぐるみアクションの中の人になった気分だ。


始まってからは想像どおりドMの世界。スキルを使って楽するかとも考えたけど、目的がスキル取得なのでそもそもこのドM仕様でないと訓練にならない。とは言え蔓の棘が刺されば痛い。いや声出ちゃうくらい痛い。


蔓が飛んでくる。体の一部が巻きつかれる。蔓を斬る。の作業を繰り返す。音で蔓が来るのがわかるようになったのは1時間経った頃。そう、まだ魔力を感知するのはサッパリ。


棘で傷ついた場所を、何度もヒールを繰り返しては魔力を感じ取ろうとするが、全くダメだった。


全くダメなままジュリエッタから念話が入る

「そろそろ時間切れよ。ゆっくりで大丈夫だから戻ってきて」


やっぱり短時間じゃ難しかったか。とりあえず戻らなければとカブトを脱ぎ捨てUターンした。すると、なんと言うことでしょう。トレントを倒すのを忘れているではありませんか!


がー、俺としたことがこんなポカミスを犯すとは。


と思ったら突然の地震。あれ?地震?地鳴りじゃないの?ヤバい、縮地!あれ?動けない。時間余裕あるはずじゃ…


「「ヴェルー!!」」


二人がオレの名前を叫ぶ声を遠くに聞ながら意識を手放した。


いつもお読みいただきありがとうございます。

美少女相手におっさんがどう対応したらいいのか?作者の私自身も普段からこんな言葉使わねーだろなど、色々と心の葛藤などもあり、言葉選びや文章作りに苦労しましたが、この話をもちまして長かった第1章完結です。(設定の話が多くてすいませんでした。これも伏線の為ご容赦を)

 次章では、1章の数ある伏線回収をしつつも、会話、力を一部制限解除をしながら物語が進む予定です。

楽しんでいただければ幸いです。

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