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第96話 オークション

それから鑑定士の男性を捕まえて話をする機会を得た。


実のところどの程度の鑑定レベルなのか、俺が鑑定できなかったユグドクラシルの武器を鑑定できるのか是非とも確認したい。もし鑑定が成功するならそれはそれでラッキーだしな。


で、こっそり普通の剣に形を変えて鑑定をして貰ったが、残念なことに結果は一緒だった。


「鑑定しても無反応なんて、こんなのは初めてです」


「実は俺も鑑定出来なかったんです。すいません。時間使わせちゃって。ありがとうございました」


鑑定士と別れて考える。魔物は鑑定できる。人は鑑定できない。レベル的な縛りがかと思ったけどどうやら違う気がする。

人智を超えた武器なのか、それとも武器でなく人のような扱いなのか。自我とか意思を持ってくれたりするとそれはそれで楽しいんだけど流石にそれはないか。ま、スキルで鑑定することはできないことはハッキリした。


(そう言えばこの世界にはハイポーションとかは無いの?)


(ハイヒールポーションと言うアイテムが物語の中には出てきますが、残念ながら実際にそれが市場に出たと言う例はありません)


物語で出てくると言う事は、ひょっとして過去には存在していた可能性はあるのかも。もっと言えばハイポーション、エリクサー、万能薬がこの世界にないのはもっと他に原因があるんじゃないのかな。


例えば薬師スキルのレベルとか、もしくは魔力の量とかあるいは水や材料の純度とか。精度を上げていけば上級薬を作れたりしないかな。単純に純水に精錬した薬草を使えば今以上の薬が期待できるんじゃないか?まだ誰にも言えないけど時間があったら試してみたい。


それからカトリーヌ様と農業の話をする。うろ覚えの薄い知識だが充分参考にはなるようだ。


光合成、ノーフォーク農業、家畜と藁を使って発酵させた堆肥の作り方。などなど…


カトリーヌ様は目からウロコ状態で興奮を隠さず絶賛しきりだったけど、なんというか、他人のふんどしで相撲をとっているようで若干の罪悪感を覚える。


いや。でもここでは必要なことだから何かのヒントになってもらえればいい。そう。俺は伝道師に徹すればそれでいいんだ。それをどう使うかはこの世界に決めてもらおう。


話が尽きることはなくそのまま夕方になると、カトリーヌ様の夫であるパトリック様が帰ってきたので改めて挨拶をする。


「王都で開かれた宴の席で、息子と娘と挨拶をさせて貰って以来ですな」


(ヴェル、パトリック様よ。息子はレットさん、娘さんはセリカさんよ)


「ご無沙汰をしておりますパトリック様。突然の訪問を受け入れてくださり、ありがとうございます。レット様とセリカ様が見当たらないようですが?」


「ああ。二人は学園の王都に就学中だ。それにしても、あれだけ多くの貴族達と挨拶を交わしていたのに、私のことをよく憶えておいでですね。流石はこの国を救った英雄と言ったところですか」


ジュリエッタ、ありがとう。念話バンザイ。いっそのこと名前と顔を一致させるスキルがあればいいのに。マイアの記憶スキルが羨ましい。


挨拶を交わし客室へと移動する。ジュリエッタにこっそり「助かった」と耳打ちすると「どういたしまして。私たちの役目だと思ってるから気にしないで」と、なんとも頼もしい言葉が返って来る。うん。頼りになるな。


晩の歓迎会ではパトリック様、カトリーヌ様と都市経営の話や薬の話に花を咲かせる。特に自分の知らない薬の知識を得られたことは非常に有用だった。


翌日。予定通りオークションに参加する。


昨晩、どんな物が出品されるのか聞いてみたけど「それは見てからのお楽しみだよ」と軽くかわされてしまった。流石にカンニングはダメか。ここは商業都市の一面もあるので商慣習とか信義則に抵触するようなことは信用問題に関わるだろうしね。


ロベルト侯爵が用意してくれた馬車に相乗りさせて貰うと、当然の様にシャロンさんとレリクさんも付いてくる。


いつもの恰好とは違い、ドレス姿のシャロンさんは黙っていれば淑女でとおる。ちなみにスーツ姿のレリクさんは見た事があるのでスルー。


馬車が会場に向かって進みだすと、ロベルト侯爵から「そう言えば君たちはオークションに参加はするのかい?それとも見学だけ?」と聞かれたので


「昨日話し合いましたが今回は見学させていただきます。マイアの素性がバレると面倒ですし。とりあえずどんな物が出品され、どんな価格で落札されるのか見てみよう思います」


「君たちの年齢もあるし賢明な判断だと思うよ。それで観覧席へ案内をして貰おうか」


そう。ぜひ参加させてとは言ったものの、正直オークションくらいでマイアの事に気づかれるリスクを取るのは割に合わない。


マイアだけ置いてくるわけにもいかないし、だからと言ってあそこまでお願いしたのだから「やっぱやーめた」とも言えない。見物ってのは実はただの妥協策だ。


でもメリットがないわけでもない。この先冒険者生活をするのなら、迷宮で入手できるアイテムはどんなものかくらいは知っておいた方がいいだろう。


オークション会場の建物に着くと裏門に回り会場入りし、そのまま2階の観覧席に案内される。


会場全体を見回すと、眼下には身なりのいい老若男女が仮面舞踏会風のマスクを着けてしておとなしく座っていた。某忍者赤影がいっぱいいる。


開始時間となると、オークショニアの燕尾服を来た痩せた老紳士が登場する。


「それでは、これより第5963回、オークション開催を宣言する!」


ゴクロウサン。偶然だよね?


「それでは、まず最初の一品目はこれだ!!」


年齢と体格からはイメージできないくらいオークショニアが声を張り上げると机の上がライトで照らされ、小さな指輪っぽいものが目に入った。


すると「おおおおおお」と会場はざわつく。


テレビショッピングの「お~」的なあれにしか聞こえん…あの指輪で汚れがごっそり落ちたり、あっという間にキャベツの千切りができたり…


(ん?何止まってるのよ?)


(いや、まだ見せただけなのに、なんでみんなこんなオーバーリアクションなんだ?)


(確かに。でもこの雰囲気がオークションのノリなのではないかと。初めてでわかりませんが)


オークショニアは木槌で机を叩き、「お静かに!それでは商品説明です。こちらは迷宮都市ラロッカにあるAランク迷宮20階層のボスからドロップされた守りの指輪になります!鑑定の結果は物理防御中、魔法防御小が付与されている一品。それでは金貨1枚からのスタート!」


「金貨3枚!」「金貨5枚!」「金貨8枚だ!」とイメージどおりの展開となる。


正直オレからみたら、ほとんど価値が無いように見えるのだが、二人を見るとそうでもない様子。


(あれってそんなに価値があるものなのかい?)


(魔法付与は大した事はないですが、ゴールドの指輪にミスリル鉱石が綺麗にカットされていて、見た目が良いのです)


(あー、主に宝石として?)


(そうよ。舞踏会なんかの時に自分の身を守ってくれる装飾アイテムはあまり出回らないから人気なのよ)


金の指輪にダイヤモンド。それだけで充分値打ち物、それに防御魔法が付与されているのだから高騰もするってことらしい。やっぱり俺には必要ないな。


ま、そのまま最後まで見ていたけど、残念ながら武器や防具で目ぼしい物は無かった。期待し過ぎたとは言わないけどひとつくらいは目玉が欲しかったと思う。客は満足していたみたいだけど。


オークションも終わり出立の準備を始める。カトリーヌ様からポーション、毒消しと薬草をいただいた。


次はシャロンさんの実家を経由して迷宮都市ラロッカへと向かう。久しぶりの迷宮探索ができるかな。

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