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第88話 見合い?

翌朝、ビュフェスタイルの朝食会場で結構な子供の数がいる事に驚いた。


奥ではレリクさんとシャロンさんは、後姿がイケてるロマンスグレーの紳士と食事を共にしていた。


(ジュリエッタ。あのナイスミドルな男性は?それから、なんでこんなに子供が多いんだ?)


マイアは、ナイスミドルと言う言葉がツボったようで「ぷっ」と笑いを堪えて変顔になっている。ん?今のどこがおもしろいんだ?この子のツボってホントどこにあるのか、さっぱりわからん。


(なあ、念話だから突然笑い出したらアホの子だと思われるぞ)


(だ、だって~)


(あれはレリクのお父様よ。この屋敷の警護として働いて貰っているの。それと、ここにいる子供達はこの屋敷で働いている使用人の子供なの。無作法な態度をとったり騒ぎになると面倒なので、マイアが王女だと言うことは伏せるよう伝えてあるわ)


なるほど。まあ子供と言っても側から見たら俺達と同じ同年代。子供が子供って言っていることに、若干違和感はあるけどね。


(この屋敷は託児所も設けているのかい?)


(そうじゃなくて将来この領地で働いて貰う為に勉強を教えているのよ)


ジュリエッタによれば、レリクさんもこの屋敷で勉強をして、王都の学園を卒園後に就職したみたい。王都の伯爵家の屋敷で働く人達も、この屋敷で学んだ者ばかりだと聞かされた。


(それより見てください、レリクさんたちのあれって、お見合いと言うか、両親を紹介している感じじゃありませんか?)


マイアの声に目線をそちらに向けると、レリクさんの母親っぽい人が同じ席に腰掛けようとしていた。


(うわ、ほんとだ)


もし、ホントにこれで婚約とかうまくいく話だったら、慕ってる親戚の兄ちゃんと姉ちゃんが一緒になるようなものだから心から祝福したい。が、なんか見ちゃいけないものを覗いているようでちょっと良心が痛む。

こういうのは見えないとこでやってほしいよ。子供達もうじゃうじゃいる朝食の場じゃなくていいだろう?


(そう言えばさ、シャロンさんにお腹の悩みを打ち明けられた事があるのよね)


(初耳ですが)


(口止めはされていないけど、これ内緒よ。なんでも腹筋が割れている女は、男性的に見てどうなんだろうと)


二人が俺を同時に見る。どうやら俺に答えを求めているようだ。シックスパック女子か。個人的には柔らかな方が好きなんだが。でもこれって人それぞれとしか言いようがないよな。


(好きになったらそんなのは気にしないんじゃないかな?実際、レリクさんが恋愛小説っぽい物を読んでるところを見た事あるし。それより、シャロンさんのところは下級貴族だろ?身分差とかどうなのよ)


(それこそ問題ないでしょ。レリクは学園で飛び級したほど優秀だし、しかも何の継承権も無い下級貴族となればなおさらね)


(そうですよ。私が教科書と崇める本によれば、ヴェルの言うとおり好きになればそんな事は、問題になりません。むしろちょっとだけハードルが高い方が2人も盛り上がる傾向があります。そして…)


あ。いかん。マイアのスイッチが押されてしまった。何だか凄いオーラを撒き散らしながら語り始めたぞ。


(マイア、よくわかった。また何か情報があったら宜しく)


ウォーレスさんとの約束の時間となったので、サクッと話を切り上げ、話し足りなそうなマイアとホッとしたようなジュリエッタと一緒に執務室に向かう。


控えめに執務室のドアを叩くと「入りたまえ」と返事があった。


「お父様。こちらが陛下からお預かりした物です」と、ジュリエッタが索敵魔法が付与された魔石と書簡をウォーレスさんに手渡す。


渡した書類の中に俺のレポートの写しに気が付いたのは、ウォーレスさんが読み始めて直ぐの事だ。


「これが昨晩に話をていた例のあれか」ウォーレスさんは予め用意してあった、ミスリルのナイフに魔石をセット。「アクティブサーチ」と詠唱し効果を確かめた。


「これはとんでもなく凄いな。何となくだが1階と2階の区別もつく。常時発動型で無音だともっと使い勝手が良いのだろうな」


昨日シャロンさんとそんな話をしたなあ。常時発動ならソナーやレーダーを作った方がいいと思う。それかシャロンさんの言う気配察知スキルを習得するしかない。


無音。これは試してみたけどちょっと汎用性に欠ける部分があったんだよな。イメージは超音波だ。洞窟のコウモリ的な?一応発動はしたんだけと重大な欠点が2つあった。


1つ目は子供には聞こえるが大人には聞こえない周波数であること。俺達には使えるけどレリクさんとシャロンさんは使えなかった。


2つ目は、壁に当たるとそのまま反射してしまい貫通出来ない。実験としては失敗ではないけど実用性と言うところで成功では無かった。


それからも、俺のレポートを読み進めていく。


「私見だが、もし迷宮から魔物オーバーフローする事態になるのなら、領民を逃がす時間や騎兵や冒険者が集まる時間が必要になるだろう。それであれば学園の周りに外壁を設けるという事も考えられる」


なるほど…とも思うが、そこまでするなら、迷宮の入り口を爆破して塞ぐほうが時間稼ぎをするにはいいんじゃないか?


入り口を塞いでしまえば魔物もそう易々とは出てこれないだろう。予算も工期も遥かにコスパがいい。最初に気付けなかった事が悔しい。俺の仕事の進め方はそうだったはずだ。


「兎に角だ。陛下がギルドに働きかけ始めないと、こちらも勝手には動けん。だが、城塞都市計画は予算が許す限り進めようじゃないか。それに騎兵の鍛錬も出来るだけ魔物を退治するように指示しよう」


ウォーレスさんとがっちりと握手を交わすと土産を渡す。エリザベートさんには、王都で流行りのチーズケーキ、つかまり立ちを覚えたウェールズ君には王都で流行っているおもちゃだ。二人とも大喜びしてくれた。


和やかに話していると突然に父が入ってきた。ちょっとびっくりした。なんでいるの?

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