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第82話 見えないステータス

次の日、俺たちは昨日と同じ迷宮の前にいた。


昨日と違う警備の兵士は「護衛無しでは許可するわけには…」とシャロンさんに顔を向けるが、シャロンさんは諦めたように首を振り「問題無い。責任は私たちで取るから」と押し切った。


俺たちはそのまま護衛の2人と別かれ、6階層に転移をすると早速連続魔法を試し打ちする。


結果から言えば同じ属性魔法が2連射出来るだけで、通常の魔法士(5)で得られる連続魔法にしてはしょぼく感じる。今でもオーバーキル気味なので使い勝手が悪い。


ちょっとがっかりしたが気を取り直して迷宮を進む。


基本的に昨日とやる事は同じなのでさくさくと進む。それぞれステータスの伸びの悪かった部分を伸ばすため、俺が魔法、ジュリエッタとマイアはレイピア中心に魔物を倒していく。


職業的な特徴はあるけど魔物に何らかの耐性があったりするので、目指すは全員マルチプレーヤーだ。


外套の防御力は昨日確認出来たので今日は被ダメを気にせずガッツリ攻撃していく。さあガンガンいこうぜ。


昨日感じた体が軽くなる感覚は今も顕著に表れていて、軽く走り続けていても全然疲れを感じない。マラソンだったらサブスリーどころかオリンピックだって出られそうだ。


女性陣も「もう少しペースを上げてもいいわよ」「私もまだまだ余力があります」と気遣う必要もないほど余裕でついてくる。


流石に走りながら魔物を倒す事は出来ないが、この攻撃こそ最大の防御作戦は功を奏し、魔物が気づく前に倒し続ける。毎回俺達のターンだ。


昼食を摂る予定だった8階層に着いたが、昨日より2時間ほど早いせいか空腹感も疲れも無かったので、そのままレベリング続行。先へと進む。


吊り橋は未だに慣れないので渡っている間のスピードは上がらないが、それ以外の道中はもの凄いスピードで進んで行くと、昼を少し過ぎたころにはボス部屋まで来た。


「丁度きりがいいから先に昼食を食べないか?時間的にもちょうどいいし」


「賛成!けっこうなペースで来たから、お腹が空いたわ」


「そうですね。慌てる必要はまったくありません。ここは一旦休憩して、余裕をもってボスに挑みましょう」


サンドイッチを食べてからコーヒーを飲んで一休みする。


二度目とは言えここまで昨日の倍近いスピードだ。しかもほぼ無傷だ。可視化されてない隠れステータスでもあるのかな?


あれやこれや考えていると、ジュリエッタが突然髪をかき上げて、オレの顔をのぞき込んできたので顔を上げる。


「どうしたの?気難しい顔しちゃって」


「ん?そんな顔してた?ちょっと考え事をな」


「また、おかしな事を考えてたんでしょう?」


「いやいや、勘弁してくれ。てか、二人は何も感じない?いくら二度目で低難度の迷宮とは言えここまでの攻略ペースは異常なんじゃないか?」


「私も順調だな~程度には思いますけど、これが普通なのか異常なのかは迷宮そのものが初めてですので、気にしてませんでした」


「まあ、マイアの言いたい事は分かる。だがシャロンさんとレリクさんとあれだけ鍛錬してもここまで顕著に変化を感じる事は無かったのに、迷宮に入って魔物と戦っていたら一気に伸びた感じなんだ。そこが一番理解出来ない」


「私の過去の記憶でも、ここまで露骨に伸びを体感でたことは無いかもしれないわ」


「こう考えるのはどうでしょうか?今までの鍛錬を基礎値として、魔物と戦ってレベルが上がる度に強さやスピードが乗算されるって」


「流石に乗算ではないだろうけど、俺もマイアの意見とほぼ同じ考えなんだよな。ステータスには出てこないから推測の範囲だけどね。で、考えてたのはその不可視のステータスを具現化できないかなと思ってね」


「また異世界の知識ですか?」


「まあね。元いた異世界ベースの話になるんだけど、全部じゃなくてもやり方次第では可視化できそうな気がするんだよ」


ここにきて、もはや日本のサブカルの知識は大いに役立っているのであなどれない。


「なるほど。索敵魔法と同じような要領ですね。ただ気になるのは、神様があえてそれをデフォルトにしなかった可能性はありませんか?」


「私もマイアの意見が正しいと思うわ。数値として自分と相手のステータス確認ができてしまうと、その大きさだけで強弱を判断する輩が出てくることを危惧したと考えるべきじゃないの?」


「ただ、神様はヴェルに異世界の知識をこの世界にも、みたいな事を仰られていましたから、良きに計らえと言われている気もしますね。そもそもが魔法創造なんていう、ぶっ壊れスキルを与えられたわけですし」


「ステータスという言葉があるのに、神様がそこだけ簡略化してるのには神様の考えがあるんだろう。でも、自分たちだけで使う分には流石に怒られないだろ。HPやMP管理は大事なことだし」


「ヴェルの考えはわかったわ。だったら何を基準にして数字に表すのがいいのかしら。ベースとなる基準が大事よね」


「そこは単純に健康な状態で魔力切れの状態を0、で朝起きて満タンの状態を100でいいんじゃないか?」


「わかりやすいわね。多少の誤差があっても、その場で自分の魔力量のうち何パーセント消費したか分かればそれだけで有用だし、自分の体内に残る魔力量の表示なら他人との比較も出来ないでしょうから」


「そうだな。そこから魔法を使うと何パーセント消費するかを計算すれば、完全なる数値化が実現するな。もっとも、100の状態で同じ魔法を何発撃ったらすっからかんになるかで、ざっくりパーセント出ちゃうんだけどな、ははは」


「さらっと答えを導きだしちゃった?うちの勇者さんは」


「いや、これはあくまで概念の問題だよ。そこを意識すれば数値化はともかくいろいろ限界は知ることができるだろ?きっと高ランクの冒険者はそのあたりを割と正確にコントロールしてると思うよ」


むしろ数値化のメリットって、回復中にどんだけ回復してるとかそっちじゃないか?そりゃ寝たら回復するけど、どんだけ寝る必要があるのかとか、普通に生活行動中は回復するのかしないのかとかさ。今答えを急ぐことは無いか。


「ま、ファミリエさんと合流すれば神様に会う機会があるだろうからその時にでも聞いてみようかな」


「そうね。それがいいわ。で、ヴェル、話は変わるけどパワーライズを魔石に付与出来ないかしら?自由に使えるようになると便利だし、バフをかけられればヴェルの練習相手にもなれると思うのよね」


なるほどいいこと言うね。思いつきついでにスキルもいけないかと魔石に付与してみた。


パワーライズは無事成功したが、やっぱりスキルは付与出来なかった。さすがにそこまで都合よくは出来ないか。縮地なんか便利なんだけどな。


で、二人の武器にパワーライズを付与した魔石を装備するとボス部屋に入った。


道中と同じで俺が最初に魔法を撃ち、ジュリエッタとマイアが二人で攻略する。パワーライズのおかげで圧勝だった。もうボスっていうよりもザコ扱いだ。


油断は禁物と何度も偉そうに繰り返した昨日の自分のなんと気恥ずかしいことか。や。言ってることは間違ってないんだけど、相手に必要以上の過大評価を与えて萎縮しちゃったりするのも問題だな。


道中では上がらなかったレベルがアルケロスを倒したら上がった。同じランクでもボスの方が経験値が高いのだろう。やっぱり。


ステータスを確認したがまだ目標値まで上がってなかったので、残った時間で6階層からもう1周する事にした。


今日のレベリングの結果、俺は目標を達成。ジュリエッタは全属性(3)剣技(3)まで上げた。聖女じゃなく聖剣士でもいけるんじゃないのか?


マイアは剣技(2)までしか上げられなかった。幼少期の訓練の差だろう。ま、元々は後衛職だし連続魔法がチート級の強さなので充分だ。


3人とも新しくスキルは生えなかったがこれは予想範囲内。むしろ今までが異常だっただけだろう。


許可された時間いっぱいまでレベリングをしたが、2周目は1周目ほど顕著なステータスの伸びは感じなかった。Dランク迷宮程度では成長も頭打ちって事なんだと思う。


外に出ると外は昨日より明るかった。


さあ明日は陛下に報告がてら御礼に伺い、頼まれていたレポート提出しにいかないと。そのあとはいよいよ仲間を集める旅の準備だ。


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