第77話 棚からぼた餅?
4階層目も3層と同じ清流フロアだった。ちなみに滝とかは無いので上の水がこっちにも流れていると言うわけではないと思う。科学的には説明できないところが迷宮らしい。地球の知識だと違和感あるけどみんな当たり前のように受け入れている。
ちなみに、完全に別物と言う割に3階層と変わる事はほとんどなく、あえて言えばイカの魔物が追加されたことくらい。焼けた匂いが美味そうなゲソだけこっそりアイテムボックスに詰めた。干物にでもしよう。でも大いから無理かも。
4階層の突き当りには5層の階段が見える。いよいよボス部屋だ。ここまでは余裕だったと言えるだろう。カニもゲソもゲットしたしなかなか悪くない。
ボスフロアに続く階段を下りて行くと、洞窟の奥の方の壁にいかにもといった扉があった。どうやらあそこがボス部屋だ。
「あれがボス部屋?」
「そう。Dランクの金剛オーガ2体
「じゃそれでいこう。無理だとか危険を感じたら直ぐ戦線離脱するんだ。いいね。まあそうはならないだろうけど」
ボス部屋の扉に歩き始めると護衛の二人が声をかけて来た。
「今の実力ならば、オーガごとき問題は無いでしょう。迷宮内では時間が分かりづらいですが外の時間ではもう17時を過ぎましたので、今日はここまでにして野営の準備としましょう」
「分かりました。それでは行ってきます」
「オーガとはいえ、くれぐれも油断だけはなされないように」
「皆さん、応援しています」
「はい、頑張って来ます!」
二人に見送られてボス部屋の重厚な扉を開けると、2mを超えた青鬼のような人型の魔物が2匹腕を組んで待ってた。俺これ知ってるぞ。阿吽の像だ!!運慶さん快慶さん、倒させてもらいますよ!
地面に突き刺さっている武器は血かなにかで錆びた剣っぽいな。やー、離れていてもはっきりと見えるわ。
「それじゃ行こうか」
「気を引き締めて参りましょう」
「油断は命取りだからね」
サングラスを掛けてゆっくりとオーガに向けて歩いて行くと、オーガは地面に突き刺さっていた剣を取り、中段に構える。
さくっと終わらせるため「閃光!」と叫ぶと、ボス部屋は眩い光に包まれ、光が消えるとオーガは目を閉じて苦しそうに叫びながら剣を振り回し、狂ったように暴れ出した。
(うは。ここで暴れ出すとは!!)
サングラスを外して、様子を見ていると近くで動いてるものに反応している。そう。一言で言えば同士討ちだ。これも想定外の出来事だ。このままじゃまヤバい。
(二人とも、効かなくてもいいから魔法を撃つんだ。このままボスが殺し合っちゃったら経験値が勿体無い)
(そうね。マイアは右のヤツをお願い)
(了解!)
閃光だけで経験値が入るかわからないからな。とりあえずパーティの中の誰かが魔物にダメージを与えなくてはいけないだろう。
逆に言えば誰かがダメージを入れれば、その分全員で経験値が分け合える。経験は積めないが、剣を振り回して荒れ狂うオーガに対して無闇に攻撃を仕掛けてケガをするよりマシだ。
2人がファイヤーボールとエアカッターを放つと剣を振り回しているオーガに命中した。
魔法ダメージはあまり与えられないと言っていたが、同士討ちのダメージからかオーガは呆気なく倒れてしまう。
「魔法で倒しちゃいましたね」
「ラッキーだったわね」
護衛の二人が引き攣った顔でやってくる。
「こんな事もあるんですね」
「私も聞いた事もありません」
狙ってやったわけではないので結果オーライと言う事でいいだろう。
「まあここで立ち話ってのもなんですし、セーフティゾーンに入って夕食後にでも話をしませんか?」
「そうだな。今日は色々私たちの常識では考えられない事がばかりだったので、少し頭の中を整理したい」
シャロンさんはそう言うとしわをよせた眉間をつまみながらセーフティゾーンへと歩き始めた。




