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第53話 半年が経ち

 着工から半年、新しい屋敷が出来上がった。外壁が白い漆喰で塗られた2階建ての屋敷は、仮住まいの屋敷より若干大きく作られてる。


内装も、実際に見に行って指示を出したり、何度も打ち合わせを重ねていたので中のことは概ね把握済みだ。匠が現れて『なんということでしょう!』とびっくりさせるようなギミックなど何もない。まあ新築でそれやったらただの契約違反だからな。


今の屋敷との1番の違いは地下室鍛錬場だ、雨が降っても剣術の鍛錬が出来るようにと作ったものの、今は後悔している。雨の日ぐらい休みが欲しい。そんな日は惰眠をむさぼりたいだろう?


ま、朝鍛錬は毎朝休まず行っていたし、既に鍛錬は、幼い頃からのルーティーンとなっていたので今更弱音を吐くつもりもない。守るべきものも多いしね。


そんな訳で、今日も整列から始まりシャロンさんの朝礼からスタートする。


「ヴェル殿も王城の兵士と遜色ない体力が付いてきたようだね」


「イエッサー!」とちょい悪乗り。


お?やっと基礎訓練が終わったか?と顔を緩めると、シャロンさんが悪そうな顔をして話を続ける。


「城の兵士は1年の訓練が終わると、鎧を着て同じ訓練をするんだ。ヴェル殿はまだ1年経ってはいないが充分ついてこられると思ってる。ただ、子供騎士なんていないから鎧が無くてね。そんなわけでお二方ともご協力をお願いできませんか?」


「もちろん引き受けます。ふふふ。なんなら抱っこでも」


「それいいわね。その意見に賛成よ」


「アホか!!訓練だから!」と思わず声に出していた。


と、まぁこんな具合で、マイアとジュリエッタを交代でおんぶしながら周回をして、腕立ての時も二人が交替で乗っていた。


○仙人流かよ!!キミたちは知らないだろうけどね。


剣の鍛錬というと、今では何回かに一回はシャロンさんから1本取れるようになった。我ながら順調だ。


居合い抜きも鞘から剣を抜くスピードが素のままでもかなり速くなった。これだけ短期間で自覚できるぐらい成長したのは驚きだ。木剣を鞘に納める動作は未だに慣れないが…


ちなみに、ジュリエッタとマイアも、レイビアで素振りと打ち込み稽古を中心に剣術を鍛えている。二人は後衛だし、その後衛の二人を守るのが専属騎士の役割だ。


なので、鍛える必要は無いのでは?と言うと、


「自分の身ぐらい自分で守るわよ。後方から魔物に襲われる可能性もあるしね」


「そうですよ。ずっと後衛にいて守られているだけでは、ヴェルの負担になりますからね」


と、やる気を見せていた。ま、やる気あるのは逆よりは良いだろう。マルチプレーヤー化は助かる。


それからも、3ヶ月間にみっちりと体を鍛えると、おれはすっか細マッチョだ。しかし。所詮9歳なので見た目はサッカー少年程度だけどね。


そんな日常の中、家族や王族達を招待して新築記念パーティーとジュリエッタとマイアの誕生会を兼ねた宴を催した。


ジュリエッタとマイアの誕生日は15日しか差が無かったので1回でまとめてやることになった。


ジュリエッタは11歳となり、出会った頃よりもかなり身長が伸びていた。


女の子の成長が早いのはどこも変わらないようでオレよりも身長が5センチほど高い。マイアでも身長はオレと同じだ。ヒールを履かれると更に身長差が開くんだけどな。とは言えオレの身長は今148センチ。もう直ぐ10歳なら、まぁまぁ大きいんじゃないかな。


新居には実家から母もやってきてくれた。お腹も目立つようになってきたけど、今はもっと動いた方がいいと言われて、それならばと一緒に来たそうだ。


宴が始まると、オレは二人に誕生日プレゼントを渡す。今回オレが用意したプレゼントは閃光の魔石が嵌めてあるペンダントだった。ま、数回しか使えないけど御守り代わりだね。


「二人とも誕生日おめでとう。オレからのプレゼントはこれ」


二人はラッピングを外して中身を見ると大喜び。オレは二人の首にネックレスを掛けた。


「なんだか幸せを感じる。ヴェルありがとう」


「わたくしもプレゼントを貰ってこんなに嬉しいのは初めてです。ヴェルありがとうございます」


「良かった。で、そのペンダントには閃光の術式を施した魔石が嵌められているからいざとなったら、君達を守ってくれるはずだよ」


「ありがとう。魔道具でも私達を守ってくれるのね」


「当然だろ?僕は君達の専属騎士なんだからさ」


閃光の魔石は自作した。半年前に上級悪魔に体を押さえられて動けなかったことがあったのでその対策として取り組んだものだ。


食事が始まると、久しぶりの家族との会話に花を咲かせた。


「男の子かしら?女の子かしら?ヴェルはどっちがいいかしら?」


「どっちでも全力で可愛がりますよ。そういえば、着の身着のまま家を出てしまったので、生まれたら一度家の屋敷に顔を出します。テーゼ達にもきちんとした形で報告したいですし」


「そういえば、テーゼで思い出したけど、来月に町の教会でデリックとやっと結婚するのよ。近くの村に家を建てて通うから、寂しくはないけどね」


「そっか~。二人ともついに結婚か」


「ええ。ヴェルに先を越されたと焦っていたわね」


「僕は結婚したわけじゃありませんよ。まだ婚約です」


「そこは、否定して欲しくないわね」


「そうですよ。婚約だけで充分ですが、すでにこうしていつも一緒に行動しているんです。結婚と言ってもいいでしょう」


「相変わらずヴェル君は女心がいまいち分かっていないようだね」


いいわけないだろう?女心とか関係なくそこんとこごっちゃにしたら制度そのものの前提が崩れるぜ。わかるか?否定じゃなくて事実だ。

2人とも才媛じゃなかったのかよ。この間から思っていたけど、この手の話題になると途端にポンコツになるな。


「それと、ヴェルも大きくなったから、服は着られないでしょうから納戸にいれておきますね。部屋はそのままにしてあるし、箪笥の変わりに3人で寝られるようにベッドを入れておきましょう。そんなわけで赤ちゃんが生まれたらまた連絡するわね」


「義母様はさすがです。女心が分かっていらっしゃいますね」


「でしょ?」


「ちょっと~!余計な事はよっていてててっ。いや、いいかげんお尻を抓るのはやめて。人前で異性の尻を触るなんてはしたないよ。お母様、それはやめてくださいね」


「「えー!必ず実行をしてください!」」


「先生は、本当にみんなから愛されているのですね」


「そうよ。でもヴェルと違って、お兄様達は自国民みんなから愛されるようにがんばらなくてはなりませんから大変ですよね」


「そうだね。がんばるよ」


「がんばって下さいね」


二人の王子は、マイアの専属の騎士となってから、ちょいちょい算術の勉強をしにくるようになった。


テストで負けた事で悔しい思いをしているのかと思ったけど、効果的な勉強の仕方を求めて年下に教えを乞うなんて意外と柔軟なんだなと感心したものだ。


だけど年下のオレの事を先生と呼ぶのは止めて欲しい。何度言っても聞いてくれないんだけど。


そんな2人の誕生日から3ヵ月。鍛錬は毎日休まず行っていた。基礎練習も終盤にさしかかってきたので乗馬の訓練もする事になった。


ジュリエッタもマイアも王侯貴族の嗜みで既に馬に乗れる。騎士希望であるオレだけが乗れないのは非常にマズい。と言うか情けない。


王城にある、練習場に着くと、ジュリエッタとマイアに乗馬を習う。補助はレリクさんだ。


厩舎からマイアに連れられて白馬が出てきた。


「この馬はエレクシール号と言って私の馬です。とても賢い子なので扱いも楽でしょう」


マイアはそう言うと馬の頭を撫でる。


「えー、それでは、まず馬に乗ってみましょうか?鐙に足を掛けてください」


頷いて鐙に足をかけ、レリクさんに支えて貰って騎乗する。初めて馬に乗ったがトラック並に視点が高い。いや、本当に結構高い。


「それでは、操馬の説明します。まずは馬に乗る姿勢ですが、このように背筋を伸ばして乗るのが基本です。体勢が悪いと馬に負担がいきます。馬を労る意味でも姿勢は正しくです」


そう言われて姿勢を正す。


「それでは馬を歩かせてみましょうか。鐙を軽く一回蹴るとゆっくりと馬が歩き出します」


そう言われたので軽く一回蹴る。すると馬はゆっくりと歩き出した。


「いい感じです。止まる時は手綱を引き、曲がる時は曲がりたい時方向にゆっくりと手綱を引きます。このままこの練習場を一周してみましょう」


そう言われて軽く頷くと、結構揺れるし長時間跨るとケツが痛くなりそうだ。


「これってさ、長時間はきつくないですか?」


「ええ。下手をするとお尻の皮が剥がれます」


「あっそう」


軽くそう返事をしたが聞き捨てなら無い。ヒールで治るのかな。まあ擦り傷だったら外傷だからいけそうだ。


それから何週か練習場を回ったけど、余分な所に力が入ったのか尻よりも足に限界が来ていた。訓練をしていたのに?なにそれ情けない。使う筋肉が違うのか?


それからしばらく乗馬の練習と剣の鍛錬を続けていると、2ヶ月後には馬は自由に操れるようになったし、漸く基礎訓練も終わり本格的に模擬戦へと移っていった。

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