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第105話 後見人

ガヤガヤしていた部屋に1人残されると落ち着かないような、寂しいような気持ちになるね。ちょっとした宴の後症候群だ。とりあえずスラすけに水をやってからアイテムボックスの整理でもしておこう。


整理を始めると刀が出てきた。ユグドラシルの勇者武器は創造神さまに渡したから別の刀を代わりにくれたんかな?言ってくれれば良かったのに。どれどれ、まずは鑑定しないとね。


名称:オリハルコンの刀


効果:転職をしても、物理攻撃、物理防御のランク評価の最大値を固定。


価格:売り物じゃありません。


ほうほう。明らかに最後の説明がおかしい。ただ、使ってないから断言できないけど創造神様も大分奮発してくれたみたいだぞ。くくく。おっといけない。


だが4年限定で自重不要だ。オトコノコなら自分の力を存分に試してみたいじゃないか。


整理を終えコーヒーを飲んでいると、クルムさんがやって来た。


「ヴェルく~ん。とてもいい匂いがするんだけど、何の匂いなのかな~」


「コーヒーですよ。こっちには無いんですか?あ、そうだ、お菓子が嫌いじゃなかったらこれ、皆さんでどーぞ」


と、前に土産用に買ったマドレーヌもどきが入ったケースを手渡した。まあ渡しきれなくて余った分だけどね。


「これって異世界のお菓子?」


「そうですよ。貴族街で有名どころの菓子です。おいしいですよ」


「そ…そう、貴族街で有名ねぇ。コーヒーなんて、贅沢品を普通に飲んでいる君をみているとやっぱり異世界の子なのねぇ…両方の意味で」


苦笑しながらこの部屋にやって来た理由を聞くと、呼びに来たのではなく、話があるのだとか…


なのでコーヒーを勧めると、紅茶の方が好きらしくそっちを用意する。


「それで、お話とは?」


「さっきミーティングでね、ヴェル君の後見をどうするか?って話になったのよ」


「後見ですか?」


「そう。16歳未満で両親不在の子どもには身元を保証する後見という制度があって、ヴェル君には後見人を立てる必要があるの。普通は育った施設の長だったり里親だったりするのだけど、異世界から1人でこっちに来たヴェル君にはそれが無いから、良かったら私が後見人になろうと思ってね。それで聞きに来たのよ」


「嫌だったら言ってね?」「いえ、ありがとうございます。ご迷惑でなければお願いします」


と、被せ気味に即決断。ジュリエッタ、マイア。これは浮気じゃないぞ。俺がこっちで4年間生きていくために必要な手続きだ。そもそも他に知り合いいないしな。


「よかったよ。私はヴェル君のこと気にいってるからね。もし私が魔族だからって事を気にしてとらどうしようかなって思っていたんだ。じゃ決まりね。これから宜しく」


「不束者ですが、宜しくお願いします」


「やだ、結婚初夜みたいな事を言わないの」


日本にいた頃一度はと思ってた大人の女性とのいい感じのトーク。4年間と期間限定だがいい思い出を作らせてもらおう。もちろん婚約者の二人を泣かせたり、4年後に別れる時には後悔はしないようにするつもりだけど。


「それじゃ、クラスは問題なさそうだから、暫くは私達と同じパーティに入る前提で話してもいい?」


「お願いします、皆さんの関係を教えて貰ってもいいですか?町の友人同士とかがパーティ組むのが一般的だと教えられていますが、皆さんの年齢や種族バラバラだからどうして一緒になったんです?」


「関係ねえ。ちなみにパーティー内での恋愛関係はないから、私には彼氏とか…気になる人なんていないわよ。ヴェル君が私と付き合うつもるなら―――ってのは冗談だけど」


「子供をからかうのは良くないと思います。抗議します」


「だって君ってば、反応が面白いんだもの…って話を戻すと、私達の関係は気が合う飲み友達からスタートした感じかな?全員職業は違ったし、クラスやレベルが近かったってのもあったから一緒に組む事にしたの。気が合う仲間ってのが近いかしら」


「そんな中に僕みたいな子供を入れちゃっていいんですか?」


「ヴェル君の実力を見て、みんな君が人族として一体どこまで行けるのかを見届けたいってのが一番の理由ね」


なるほど。確かに創造神さまからは自重不要と言われてた。でも何かあるとついつい無意識に抑えてたかなーと思うんだよね。これからは本当にリミッターとか外していいかもね。

最初にガツンといけばそれが俺のスタンダードになるわけだし、こっちでは好きなようにやるか。なんだか楽しみになって来たぞ。

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