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第十三話 お昼ごはん

それからも教会騎士を数人ともなって闘技場を歩いていた。

「何かしら?」

氷の闘技場で妙に人が盛り上がっていた。

覗いてみるとそこで戦っていたのは関霞だった。

国王側の騎士と見物人、そして対戦相手の暗黒騎士の応援。

その数はどの対戦場よりも、熱気のあるすごいものだった。

「黎仙様、危のうございます!」

黎仙が近づこうとすると暗黒騎士が飛ばされ、見物人を巻き込んで転げた。

「勝者!関霞!」

その声とともに歓声が上がり、関霞は応えていたが、黎仙を見つけると軽く手を振った。

黎仙も熱気に押され、舞い上がり手を振り返したが、我に返りその手を引っ込めた。

見物人たちが散ると、黎仙はそれとなく近寄って関霞と話をしようとした。

けれど騎士たちの視線が気になった。

関霞も人の目を気にしているのか、黎仙のすぐ前にいるものの、汗を拭いていてなかなか近寄ろうとはしなかった。

「お前たち、今のうちに昼食を取って来い。昼から試合があるのだろう?」

騎士たちに声をかけたのは団長の一人だった。

その声で数人いた騎士たちも自分たちの戦闘に気分を切り替えようとしたのか礼をして去っていった。

「聖加殿。」

「おや、姫様。姫様もここで食事ですかな。」

「あ・・・。いえ。」

黎仙は困ったように関霞へと視線を送った。

持っていた籠と関霞を何度か見比べていると、聖加はその視線の先にいた関霞に視線を送り木の陰を指差した。

「あちらで休まれてはいかがです?・・・貴方も。折角です。一緒にいかがですか?」

関霞は聖加の顔を窺い、そしてもっていた布を鉢巻代わりに巻くと黎仙のそばへと来た。

「よし、昼飯食うか!嬢ちゃん、何か屋台で買ってくるから待ってるか?何が食いたい?」

「あ、あの・・・。」

黎仙はどう切り出してよいか分からず、相手の袖を掴んだ。

「ん?」

「食べて・・・。これ。」

それは小さな籐の籠だった。

関霞は受け取ると振ろうとしたが、慌てて黎仙はそれを止めた。

これを渡すために始終歩き回ったのだから。

「何これ。」

「お・・・お弁当。」

「お嬢ちゃんが作ったのか?これ。」

「うん・・・。初めてだから。失敗したかも。」

関霞はその場で籠を開けると、卵サンドを取り出した。

「具がはみ出てるぞ?」

「と、特別大きくしたら・・・収まらなくなって。」

すると関霞はかぶりついて暫く味わっていた。

「こりゃあ、うまい。あんたも、食べたら?」

関霞は聖加に籠の中のものを差し出した。

「食べてください。」

黎仙が声をかけると聖加も嬉しそうに一つ口に入れた。

「とても、おいしいです。」

「本当に?」

「この塩加減絶妙なんだ!また作ってくれよ。」

まるで子供のように笑う関霞に黎仙も笑顔で返した。

昼食はあっという間だった。

「関霞、次の対戦張り出されてる。お前、魔法騎士団長だぞ。」

「はあ?団長かよ!しかも、あの魔法騎士?あ〜。」

関霞は項垂れ黎仙をチラッと見た。

「嬢ちゃん、嫁にすんの、少し先になるかも。」

「な、何言って!」

黎仙は聖加に聞かれるのが嫌で口を膨らまして関霞に背を向けたが、どうしてもいいたかった。

「頑張って。」

その一言が聞こえたのか、関霞は鼻をこすって数馬とともに駆けていった。


残された黎仙は後ろに控えている聖加に声をかけた。

聖加はただ走ってゆく関霞に視線を送っていた。

「ありがとう。聖加さん。」

「あの方が。黎仙様に助言を?」

「え・・・?あ、はい。」

「・・・そうですか。あの方が。」

「聖加さん、知ってるの?あの人?」

「はい・・・少しだけ。」

視線を黎仙へと戻した聖加はこれ以上ない笑みを浮かべた。


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