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僕って  作者: ぺったん
3/6

第二話

 髪が青い転校生、天馬俊作。

 一体、彼は何者なのか。

 久坂太郎は天馬俊作を視界に入れつつぼんやりと開口していた。

 佐々木紀子が空いてる席を指す。

「天馬君は、え〜と、あの空いている久坂君の横の席に座ってね」

「はい」

 太郎の席は黒板から見て右から2列目の一番後ろで、左となりの空間は確かに空きスペースであった。朝来てからいつのまにか机があったのでまさかとは思っていたが、

「やはり、僕の隣だったのか」

 天馬俊作は様々な視線を浴びながら近づいてくる。特に女子からは熱い視線が放たれていた。天馬俊作は自分の席までくると太郎に白い歯見せながら、

「よろしく」

「えっ、よ、よろしく」

 握手こそしなかったものの爽やかな笑顔を見せてから天馬は席についた。

「え〜では、ホームルームは終わりまーす。一時限目は数学なのでみんな頑張ってね〜」

『は〜い』と生徒全員が異口同音に答える。

 太郎は思う。ここは幼稚園かと…。高校生活一ヶ月とちょい、薄々と感じていたがこのクラスの生徒(担任も含め)のほとんどが陽気であっけらかんとしていて幼稚である。ま、どうでもいいけど…と、太郎はため息ついた。


「ちっ…どもめ…」


「っ!?」

 太郎は振り向いた。誰に…? 今日転校してきた天馬にである。

「ん? なんだい?」

 天馬俊作は何事なかったようなに微笑んでいた。

 さっきの声は彼の声に思えた、というか完全にそうだったが…。

「えっいや、なんでもないよ」

「そうか。僕は今日来たばかりだから分からないことがたくさんあると思うんだ。いろいろと教えてくれるかい?」

「僕が?」

「うん。僕の隣は君しかいないからね」

「いいよ。僕の名前は久坂太郎だ」

「久坂太郎君か、良い名前だね…」

 鮮やかでさらさらとした青い前髪の間から黒い瞳が太郎を見ていた。 


 物語は一気に放課後へと進む。


「みんなー、帰り道は気をつけるんですよ。部活のある人はいい汗流してね。では」

『起立、礼、さようなら〜』

 喧噪を残しつつみなみな思い思いに散っていく。

「さて、僕も帰るかな」

 太郎は部活に入っていない。特に深い意味はない。興味がある部活がないのだ。

 ちなみに前回登場した木村はバスケ部に入っている。その木村も体育館に直行したようだ。ノートやら教科書を入れた鞄を持ち席を立つ。

 その時背後から声が聞こえた。

「久坂君。ちょっといいかい」

 太郎は振り返る。

「えっ、天馬君どうしたの?」

 天馬は五、六人ぐらいしか残っていない教室を見渡してから、

「君に用事があるんだけど時間は大丈夫かな?」

 太郎は少し逡巡してから答えた。

「いいけど…用って?」

「これから僕と一緒に来て欲しいところがあるんだ」

 太郎が何か言おうとするのを天馬は右手で遮って。

「場所は歩きながらね。大丈夫、手間は取らせないから頼むよ」

 しぶしぶ承諾すると天馬を先頭に教室を出た。

 夕日に染まった廊下を歩く。

「で、どこに行くんだ?」と太郎が尋ねる。

「校舎の裏さ」

「校舎の裏?」

「ふふ、来てもらえればわかるよ」

 階段を下り、また廊下を少し歩いて玄関で靴に履き替えて外に出ると学校をぐるっと回って校舎裏に来た。

 いろいろ不思議に思う。まるで自分の学校のように迷わず天馬は校舎の裏まで来た。それに何故ここに来たのかもわからない。辺りは校舎の影になっていて薄暗く人っ子一人いない。

「ここまで来たらもういいかな」

「一体なんなんだよ?」

「こういうことだよっ」

 天馬俊作がパチンと指を鳴らす。

『ゴゴゴゴゴ』と地鳴りが響き草むらから何か物体が出てきた。

 精密な機械音を発しながらその物体の全体が見えてくる。大きさは2メートルぐらいだろうか厚い装甲のような物に覆われたまさしく人型ロボット。頭と銅は円柱のように繋がっている。いつのまにかもうもうと煙が立ち込めていて、ロボットの頭と思われる部分が開く。

「はいいっ?」

 ガパンと大きな口を開けたロボットに天馬は颯爽と乗り込んだ。ぷしゅぷしゅロボットは音を立てながら太郎を指さす。

「アハハハ! 久坂太郎。今日、貴様は死ぬ運命にあるのだ」

 



 


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