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人生初の美人の不機嫌

本日は早起き出来たので朝投稿で。

時間があれば夜にもう一話投稿出来たらと思います。


ではでは。





「そろそろクルーレが戻りますわ。」


シャリティアさんの魔法で目の腫れを治してもらいながら、もうそんなに時間が経っているのに驚く。

まぁ私後半びーびー泣いてただけなのでアレなんですが。

………私もういい歳のおばちゃんやのにな。はあ。


「あ、あのシャリティアさん。」

「はい」

「クルーレさんには内緒にしといて欲しいのです。女神様のこと。」


そう。私はある程度の自分の事情はレオン様との謁見で話したが、一つだけ言わなかった事があった。


それが、私の伴侶を女神様が見繕っている事。

そしておそらく、相手がクルーレさんであろう事を。


自意識過剰みたいになるし、自分でもまさかなーと思ってたので言えなかったのだ。


これにシャリティアさんはそれはそれは大喜び。

「女神様のお墨付き……奇跡だわ」とかなんとか。


いやいや待って。喜ばしくない。むしろこれはやばいのです。


「何故です?」

「女神様が見繕うって言葉を使うくらいです。何らかの魔法で洗脳して、私を好むように変化させられてるかも知れないんですよ?そんなので好かれたって、私は全然嬉しくないです。」

「洗脳」

「そうです。そんなんやったらクルーレさんが可哀想です。」


そりゃあ女神様が居ないと出逢えなかったけど。

造られたかも知れない好意を貰って、喜べるほど私は図太くない。身体はふといけど。


「これから私の事もっと知ってもらって、………まぁ無理かもやけど、好きになって貰える様頑張ってみます。なので暫くはそっとしといてくれると助かります。」


照れて足元に視線を向けていた私は気付かなかった。


シャリティアさんがとても、ほんっとーにとても申し訳なさそうな表情で私を見ていた事に。





――――――――――――――――――――――――




「ただいま戻りました。聖女様、姉上。」

「お帰りなさいクルーレさん。お仕事ご苦労様です。」


クルーレさんはいつも仕事着である軍服っぽい服の上から胸当てなどを装備しているけど、私の部屋に来る前に自室で剣以外の付属品を取り外してくる。

黒を基本にした服に、挿し色で濃紺や金銀で刺繍されてるその姿がまた麗しい。

シャリティアさんから聞いた[麗しの黒騎士]ってあだ名が姿まんまやなって話です。

シャリティアさんの白と水色使ったメイド服も不思議の国のア○スみたいでめっちゃ可愛いし!

眼福です。



「よく戻りました。食事はどうします?」

「聖女様がまだなら、共に。宜しいですか?」

「もちろん一緒に食べましょう!ナイフとフォークのマナーはもうバッチリですよ!」

「……無理なさらずとも、私がお手伝い致しますのに………」

「シャリティアさんにも手のリハビリに丁度いいって許可もらいました」

「そうですか…残念です。私の数少ない楽しみだったのに。」

「え」


私にあーんするのが楽しみって。

クルーレさんホンマに洗脳されて………いやそれ通り越して呪いになってない?


うー?と私が悩みながら首を傾げていると。


「クルーレ!!!」


びくっと背筋を伸ばし私は椅子に座った状態、直立して固まったクルーレさんは私の頭を撫でようとしていたのか右腕を持ち上げていた。

え、急にどうしたのシャリティアさん!

めっちゃ怖い!堕天使になったのって聞きたいくらい眉と目付きがジャパニーズ般若で怖い!!!


「此方に来なさい、クルーレ!」

「はっ、はい!」


いつも余裕のあるクルーレさんがビクビクしながら近寄っていくから、あんなシャリティアさんは珍しいんだ。まじぱねぇ。


「本日より、貴方と聖女様との不必要な接触を禁止します。」


「!」

え私今日恋心自覚したばっかなのに!?

近寄っちゃダメなの!?

私だけでなく、クルーレさんも心なしか顔色が悪い。


「………何故です姉上。」

「何故?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「っ!」

「???」


「………聖女様のお怪我は全て塞がり、あとはリハビリを進めていくだけ。もう魔力を送る必要もないのです。ましてや聖女様は妙齢の女性。その身体にむやみに触れるは無礼以外にありません。……貴方にも分かりますね?」


「…………っは、い。分かりました。……今までのご無礼をお許し下さい、聖女様。」

「え、いや私はそんな!感謝しかないのに!」

「………そう言って頂けると、私も嬉しいです」



食事はやめておきます、とクルーレさんは少しだけ微笑み、早足で部屋を後にしてしまった。


泣きそうな笑顔だった。



――――――――――――――――――――――――


あれから数日。クルーレさんとは会えていない。


シャリティアさんにどうしてあんな言い方になったのか聞いても聖女様の為ってしか答えてくれず、私は少し居心地悪くリハビリに励んでいる。


私の教本用の絵本や児童向けの小説が部屋の前に置いてあるから、来てくれているのは確かだった。


でも、もう何日も姿を見てない。…最後に見たあの笑顔が頭から離れない。

毎日見ていた明るい笑顔が懐かしい。


せめて元気かどうか、遠目でもいいから見たかった。



そして事件は、シャリティアさんと足のリハビリの為に城内の散歩、ついでにレオン様に昼食に誘われ(クルーレさんと会えるかもと打算含)向かっている最中に起こりました。



「おや。これは死神くん。こんな所で何をしているのかね?」

「……鍛錬を。見て分からぬとは目も悪くなった様ですねオックス様。」




大きなお城に相応しく、中庭も結構な広さがあり鍛錬にはちょうど良かったのだろう。

少し距離があるから会話は聞こえないけれど、クルーレさんの後ろ姿と見知らぬ騎士の横顔が見えた。





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