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黒騎士様の秘密3


ヤンデルさんがみっちゃんに少しだけ、本性晒してます。こわい言葉が少しあります。


でも、砂吐くレベルの甘さだと思います。


それでも宜しかったらどうぞ。




お医者様は、予想通り女神信仰の敬虔な信者だった。


年齢と共に魔力量が減少していた事もあり、魔法で脅すのではなく、皮膚が爛れるほどの劇薬を使って女神の山に連れて行こうとしていたらしい。


短絡的犯行。その一言で済む話でした。


クルーレさんの最終チェックも入り(ついでに腕もごうとしやがったので叩いて止めた)黒幕的な存在も確認出来なかったので、その後レオン様の所に連行。


国民には発表していなかった女神様の現在が、一緒に居た妖精の一人と知り、涙ながらの懺悔と謝罪の元、ミスティー城を永久追放、監視付きでリアーズの育成学校で医者の卵を育ててもらう事になりました。


……魔法を使わない、薬品や縫合の技術を失うのは勿体ない。罪人一歩手前やったから薄給でしょうが、余生を過ごすのに問題は無いやろ。うん。



まあ、クルーレさんは最後まで痛めつけてからの死刑を望んでたけど。私が足を踏んだり背中叩いたりして止めなかったら、レオン様が頷きそうで、……いやー危なかった。



「…………あんなモノ、死ねば良かった。」

「まだ言うか。」



現在、私とクルーレさんは寝室に引きこもってベットの上でごろごろしてます。

私を抱き締めながら押さえつけ、胸に顔を押し付けてくる旦那様。

セクハラ目的と言うより、心臓の音聞いて気持ちを落ち着けてるみたい。……心音が精神安定剤か、斬新。


お姉様が女神様から聞いた話をレオン様達に説明する間に、クルーレさんを落ち着かせてほしいと言われたから。

本人も一応、努力してるみたいやね。



「…………クルーレさんは知ってた?」



自分が雌狂(めすぐる)いと呼ばれる存在かもって。もしかして、ずっと疑ってた?

女神様の話聞いた時、あんまり驚いてなかったよね?


「…………あのヤブ医者が、美津が死んでいたかもって言った時。身体の中で、千切れたんです。」

「…………紐、みたいなもの?」


堪忍袋結んでる、大事な紐。

元々の袋自体がちっさいクルーレさんらしいなぁ。









「いいえ。心臓が。」

「!」


まさかのショック死寸前!?


「……その後、美津が私から離れようと……逃げようとしてるのが分かって、……殺して何処にも行けない様にしようって、すぐに思いました。」


でも美津が考え直してくれて、良かった。

そう話しながら微笑むクルーレさんは、とても綺麗。

綺麗過ぎて……怖い、のかな?



「…………ふふ。怖いと思ってるのに、美津は私が好きなんですね?」

「…………好きでもない人と、結婚なんかせえへんよ。」

「……ううん。初めは、私に愛情押し付けられて、無理矢理みたいなカタチだった。……美津は、そう思ってなかったけど。自分で、私を選んだって、思ってたけど…………私だけじゃない。姉上も、お母様も、レオン様達も……殆どの人が、私に押し切られて結婚したと思ってる。……美津は、優しいから。……可哀想な私を、見捨てられなくて。結婚したんだって。」


でも、違った。

そう小さく呟いて、クルーレさんは微笑む。

うっとりと瞳を蕩かせて、私を見つめてくる。


身体の位置をずらし、私の顔の横に片腕ついて囲う様に覆い被さりながら、私の頭を、頬を撫でてくれる。


……皆、なんでそんな勘違いを。私、こんなにクルーレさんにメロメロやのに。……うう。撫でられると気持ちくて眠くなるから、今は止めて。


くすくす笑われながら、それでも私の旦那様は撫でる手をやめない。



「っふふ。……あの日の美津、私に愛されないのが嫌だって、可愛がってくれないのが嫌だって、捨てられるのが嫌だって。ずっとそう思ってて……本当は、別れるくらいなら私に殺された方が、しあわせだって。……一瞬だったけど、そこまで考えてたでしょ?」


私と、殆ど同じ事考えてくれてた。

クルーレさんは、私の口に何度も吸い付きながら、そう言って喜んでいた。


「知ってから、もう、気持ちが止まらなくて。美津は、……私の番いは、とても可哀想で、とても愚かで、……すごく、可愛い女だなぁって。」


瞳を蕩かせたまま私を貶して褒めるクルーレさんに、少し物申したい気分です。物理的に口塞がれてるので、心の中で文句言いつつ、手の甲つねって仕返ししといた。



効果は今ひとつみたいやけど。



「ふふふ。だって、私に可愛がられないと、愛されないと、美津は不安で夜も眠れないでしょう?」



口から離れたと思えば、今度は耳に噛み付いてくる。くすくすと小さく笑って、クルーレさんはご機嫌になってる。



「本当に、馬鹿な美津。私なんか好きになって……可愛いなぁ。」



噛むだけじゃ物足りないのか、何回かに一度ぺろっと舐められるのがくすぐったいんで、ちょいやめて。お願いします。まだ昼やから。


……赤くなり過ぎて熱まで持ち始めた顔、どないしたら良いのかも悩まなあかんのに。



「どうせ今日はもう来ないですよ。レオン様達も話を聞いて、美津を差し出しておこうって考えてますよ、きっと。」

「えっ何その生贄感。」

「……ふふ、生贄みたいなものですよ?私が大人しいのは、腕の中(ここ)に美津が居るからなのに。……雌狂(めすぐる)いって言われても、あまりピンとこないし。私はただ、美津と出逢って始めて幸せを知って、ずっとずっーと、一緒に居たいだけ。それ以外望んでない。……だから、私から逃げないでね?離れようなんて、思うのも禁止。じゃないと淋しくて悲しくて、……美津が人形みたいになるまで、私が虐めちゃうかもしれないよ?……会話出来ないのは少し淋しいから、出来るだけしたくない……だから、ね?分かった?」

「……………………はい。」



ご機嫌で私に擦り寄る旦那様、そしてその言葉の破壊力。何する気……はっ!お姫様の拷問器具!使う気か!?


ニコニコ笑顔が、ものがたる。ヤル気、満々や。


……愛情のくっそ重たさが相変わらず、半端ない。はて、どうしよう?




……うん。私も毒されてる。これが依存してるって事なんかな?

だって私、そこまで私の事好きなんかーって、ちょっと喜んでる。……ああ、私もキチガイの仲間入りかー。複雑やなー。


……良かったね、クルーレさん。私達、似た者夫婦ですよ。


うんうん。嬉しいのは分かったから。頭と頭でぐりぐりしないで。禿げる禿げる。私もクルーレさんも禿げる禿げる。

せっかく白髪も無く適度にもっさりな私の天パがすりへっちまいますよー?


どろどろ混じりの雑談とイチャイチャを一通り楽しんだ後、私はクルーレさんの腕から抜け出しベットに座った。

ぽんと隣を叩けば、クルーレさんも座ってくれた。



「クルーレさん。」

「ん?」

「…………私が、お願いしたら。女神様の事、許してくれる?」


クルーレさんの実父は、雌狂(めすぐる)いだと教えてくれたのは、女神様。……番いの雌も、おそらく女神様。


それなら、どうしてクルーレさんが産まれたのか。

女神様か、実父か、両方か。

どっちみち、色々とやらかしてる事だけは分かる。


「………………………………わからない。」



ずっと、殺そうと思っていたから。

クルーレさんは、叱られたわんこの様にしょんぼりしてしまった。まあ、私がスプラッタ行為が嫌いなの知ってるもんね。


うーん、でも怒りたい訳じゃない。

こればっかりはしゃーないってのも、少しは理解出来るから。

私はお腹を撫でながら、クルーレさんの手を握った。




「……クルーレさん。実家に行こう。」

「え?」



女神様は教えてくれない。

クルーレさんの実父も、そう簡単には見つからないと思う。



それなら、行動あるのみ!



捜査の基本は、まず現場を調べる事から始めないと。テレビの刑事さんも言ってたし。



詳しい事情も、当時を知っている人に聞けばいいし。


当人達が気付かなかった事も、今なら。

私達なら分かる事、あるかもしれない。

それにな?



「教えてくれへんなら、教えたくなる状況にしたらええねん。」



あのうっかり女神様の事や。


現場近くに行けば、当時の事を楽しかったー悲しかったー懐かしいーとか言って、ついぽろっとこぼす可能性。



「……あるやろ?」

「……ありそう。」



ね!それなら、行こうよ。

ちょっと目的が違うけど、元々落ち着いたら行こうって言ってたし!



「行こう。クルーレさん達の実家、スティーアさん家に!」



私達が気兼ねなく、赤ちゃんお出迎え出来る様に!





みっちゃんのよく見てた(好きな)テレビ番組は、お昼とかに再放送されるサスペンスドラマ。刑事ドラマ。癒し系動物もの。

恋愛ドラマもたまーに見るけど、主体が事件解決モノが殆ど。

見る番組が無かったら、みっちゃんは飽きずにずっとニュースを流し観ていました。



特にニュース番組で事件特番をやっていると、おとんと二人でなんちゃって事件考察が始まります。


ややこしい事件背景ものも妄想力のおかげか高確率で当たっていたりと、まさかのみっちゃん、探偵の素質あり(笑)




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