表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/100

番外編[女神様とマカロン]




番外編二個目は女神様で。

こちらも小話ちっくなものとなってます。


それでも宜しければとうぞ。







ある日の昼食後。ミスティー城内、美津達の寝泊まりしている客室内。






(じーーーーーーー。)


「………。」


(じーーーーーーー。)


「………。」


(じーーーーーーー。)



「ええい言いたいことあるなら言えや鬱陶しい!!!」


「気にしないで。私は空気と思っていて。」


「空気に見つめられる私の気持ちにならんかいっ!」


「分からないわ。だから見てるの。」


「何のとんちやそれ〜〜っ!!?」



ぺちぺちと女神(黒妖精)を追い払おうと腕を振りまわすお母様(黄妖精)。悲しいかな、誰が見ても小動物のじゃれあいにしか見えない。



「ま、まあまあ!おかんも落ち着いて。女神様も意地悪せんと普通にしときって。」


()()()()?」


「ん?見てるって事はなんか気になる事……てか自分で分からんからって言ってたやん。ならおかんに聞いたら?目の前におんねんから。」


「……聞くのは普通?」


「いや分からん事は普通聞くから!クルーレさんの触ったら分かるのは特殊やから!普通の人は自分で調べたり人に聞いたりするんです。」


「……そうなの?」


「そうなの!私今からお姉様とおやつ作ってくるから。おかんは女神様の相手したりやー。」


「えーめんどいー。」

「もう、しゃあないお母ちゃんやな………あ、そうや!マカロン!お姉様作れるらしいから今日のおやつそれにしよ!お母ちゃん、コンビニスイーツのやつ好きやったやろ?楽しみしとき!!!」

「マジか!!!」


「マジっす。仲良くしとかな取り分減らすからな!んじゃ行ってきまーす!」




(バタバタバタ……)




「マッカロン♪マッカロン♪」


「………どうして、あのこは私に笑うの?優しくするの?私がしようとした事、ほんとは気付いてるんでしょ?」


「……あん?」


「貴女も、クルーレも私をまだ疑ってる。私とあのこを絶対に二人にはしないし、クルーレの居ない時は、魔力の強い騎士を数人護衛に付けてる。あのこはそれも分かって、それなのに、なんで?」


「………。」


「分からない。クルーレは私を許さないと言ったのに。張本人のあのこは私を許している様に見える。」


「許した訳やない。」


「なら、なんで?」


「……まあ、美津やからな。()()()()やと思ってるんやろうなぁ。」


「お、おあいこ?」


「浄化する時のあんたの言葉から、美津はあんたに道具扱いされた事知った。美津も驚いたやろうし、そりゃ怒ってたと思う。でもその後あんた、自分で責任取ろうとした。」


「………。」


「美津は、自分の失敗自分だけの力でなんとかしようってするやつ、嫌いちゃうもん。そういうの見て、手伝おうか邪魔しないようにするかどうか、相手の様子見て決めるぐらい気遣いできる良い子や。……まぁ一番大きいんは、クルちゃんの記憶取らんかったからやろな。それでチャラやと思ってるんやろ、美津は。」


「………。」


「勿論私とクルちゃんはあんたを疑い続ける。美津の気持ちと私らの気持ちは別やから。美津とクルちゃんの側に居続けるつもりなら、一生監視される人生と思ってや。」


「………それでもやっぱり、分からないわ。」


「そんなら、本人に聞きーや。」


「えっ!?」


「いやなんで驚くん?美津も言っとったやろ、分からん事は人に聞けって。あれは聞いていいよって意味やで?」


「………だって、私の事、嫌って………」


「………もっかい言うけど、美津は自分の失敗自分でなんとかしようとするやつ、嫌わへんよ。責任取ろうとして頑張って泣いてるやつ、いじめる娘ちゃうもん。」


「………ぐすっ」


「そんでも気にすんなら、普通にごめんなさいしーや。そしたらほんまに許してくれるよ。なんせ私の娘は、優しさの塊やからなっ!!!」


「結局貴女の話の最後は娘自慢になるのね……。」


「当然!!!」






この後。


シャリティアさんとマカロン片手に帰ってきた美津に、女神は鼻水垂らしながら謝罪しました。


美津はそのどろどろな顔を見て「ふむ。ちゃんと謝るならしゃーない。許してやろう!」とおどけて笑いながら、女神の顔を拭ってあげてました。



この時一緒に食べたチョコレートマカロンの味を、女神様は忘れないでおこうと思いました。


とてもとても甘くて、優しい味だったから。





おかんと女神様による、おやつ争奪戦の日々が今日この日から始まるなんて。


今はまだ、誰も知らない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ