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嵐の前



ほんの少し性的表現があります。

それでも宜しかったらどうぞ。



結婚式の明くる朝。


私は未だ、クルーレさんから逃がしてもらえない。


「も、もうかんべんしてぇ?」

「駄目。」

「も、もう赤ちゃん出来るし!クルーレさんも我慢覚えないと!」

「……そちらの世界は知りませんが、こちらでは妊娠中に交わると魔力の質が少し変わって、お腹の子に良いのですよ?」

「え?」

「だから、諦めましょうね?」

「う、うそやろ!」


マジかよそれなんてエロゲ!!?


また二日間ほど離してもらえないような気がする私がどっかに居ました。まる。





――――――――――――――――――――――






結果的に三日目の朝まで引きこもってました。


なので毎度お馴染み、おかんの突撃により私は回収され。

シャリティアさんを交えたお説教も何のその。

クルーレさんは結婚以前よりも、自由です。



「はい、美津。口を開けてください。」

「食べれます。ワタクシは自分で食べれますクルーレさん。」

「無理をさせたのは私なので。はい。」

「いやだからあぐむぐぐっ!」

「ふふふ、可愛い。」


やばい。こっち来たばかりの頃のクルーレさんが帰ってきた。過保護の人がかなりの甘々になって帰って来た!


「せ、聖女はあれで良いのか?」

「しっ!父上見るな呪われたいのかっ!?」

「あの子の誓いの言葉がどれだけ本気かお分かりでしょう?レオン様が見つめたり近寄ったらどうなるか!」

「なんでワシだけ!?」

「聖女様の事とても可愛がってらしたから。あの子、聖女様が手篭めにされるのではとずっと警戒していたでしょう?」

「え気付かなかったぞ?」

「「はぁ………。」」


ミスティー国サイドが何だか怖い会話してる気がするが、まあほっとこう。

おかんも諦めたのか今はデザートの甘いパンケーキにかぶりついている。



もぐもぐと私が食べるのを、クルーレさんは幸せそうに見ていた。


それをピーター様が複雑そうに見ているのを、私は気付かなかったけれど。



「うまうまむぐむ………………………ん?」



娘の事には敏感な妖精さんだけが、気付いた。



――――――――――――――――――――――



それからの数日間。

クルーレさんは本当に自由でした。


何処に行くのにも一緒で、一度腕を組んで城下町でお散歩デートしたり。(拷問姫でトラウマだったらしく上書きしたかったらしい)


私がミスティー国に帰る王族二人を見送るのを射殺さんばかりに見たり。(何故浮気と思った!?)


あーんはほぼ毎食行われ、仕返しに私も負けじと口に突っ込んでやったら目を潤ませながら喜ばれたり。

いやマジか。ご褒美だったか。


他にも色々やらかしたりして私におかんにシャリティアさんに、と怒られて。



怒られてるのに、クルーレさんはやっぱり笑顔で、幸せそうだった。




瘴気の回収も順調に進んでいるらしい。

城から出なくても良いので、お散歩デート以外で時間をみっけてはクルーレさんに手を引かれ部屋に缶詰にされた。

爛れてると思います!




「新婚は爛れていても良いのでは?」

「流石にしんどいです!」

「っ何処が!?」

「えっ、いやあの全身筋肉痛って程ではないけど一歩手前みたいな感じに」

「それなら私が直しますね!」

「そう言って毎度毎度服脱がすだけなんは誰や!?」

「私以外が居たら殺します。」

「突然のガチギレはやめんかい!他なんか居るかアホ!!!」

「……そうですね。美津は私だけです。」

「ひぃっ!ちょちょどこ触って……!?」




いやー、旦那様の重苦しい愛のおかげで気のせいか身体が一回り小さくなったような錯覚さえ起きます。

………おかんには「まあ、全身運動やからね」と言われましたが。いやそれでも今まで成功しなかったダイエット、こんな形で成功したくなかったです。


……まあそんな感じで、今のところ楽しく生活しています。


そんな時、ピーター様がいつも通りくたびれた顔で寝泊まりしている客室に現れた。



「瘴気の回収は、もうほぼ終わりです。明日の朝には確認が取れると思います。」

「本当ですか!?」

「ええ。これも、………二人の愛と絆のおかげです。有難うございます。」

「い、いやー私、ホントに食っちゃ寝してただけの様な?」

「そんな事はありません。」


ピーター様は真剣な表情で私を、クルーレさんを見た。


「二人が居てくれなければ、………二人でなければ、これ程早くの浄化は難しかったでしょう。」

「……その言葉だけ、頂いておきます。」


クルーレさんの返事に、私も大きく頷いた。

良かった。これで私、皆の役に立てるね!




これから、明日の浄化の段取りの話をする為にクルーレさんはピーター様と共に部屋を出て行った。

私には魔法なども関わる話でややこしいからお留守番なんだそうです。むう。


「……クルーレさんは大事な話、私にすんの後回しにするなー。」


苦労させたくないとか大事にしてくれてるとか分かるけど。もうちょい頼ってくれても良いのに。私、奥さんやのに。



……まあ、瘴気の諸々が終わったらクルーレさんのお父さんとお兄さんにご挨拶しに行くし。

このままミスティーのお城で暮らすのか、どっかにお家(屋敷?)に引っ越すのかも相談しないと。

何だったらクルーレさんの実家にお邪魔するのもあり?

……うん。これから色々楽しみやなー。



「……ふへっ、顔がニヤける…。」


はっ!いかんいかん。これでは変なおばちゃんや。

そろそろおやつの時間やし、私はお茶の準備でもしようと周囲を見回し………あれ?


「お母ちゃん?」


変なの。おやつの時間には大体部屋に浮いてるのに。……ピーター様来た時はおったと思ってんけどな。

何処行ったんかな?




未来を夢見る聖女様。

それを見て見ぬ振りをして、自分優先な黒騎士様。



キーマンは、子煩悩な小さな妖精さんです。


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