聖女も驚いた
今回も聖女様視点。
久し振りに普段通りの皆さんを見てやってください。
「だから加減しろ言うたやろアホが!!!」
「美津が可愛いのがいけないんです私のせいだけではありません心外です。」
「その棒読みやめんかー!逃げんな受けろやビリビリ!!!」
「私が無事でも美津が選んでくれた服が焦げるのは嫌です。」
「ゔーいつのまにか呼び捨てしてるし!こんのスケベおとこっ!!!」
ぴかっぴかっぴかっごしゃっ!
あ、椅子が破壊された。
「お、お母ちゃん椅子はあかん。お城の、お城の備品は高くてあかん。」
「大丈夫ですよ聖女様。クルーレの貯金からお支払い致しますので後日レオン様、もしくは王太子殿下にお知らせ下さい。」
「は、はあ………妖精が話す姿は初めてです。レオン国王から教えられていなかったら城の中は世紀の大発見だと大騒ぎですよ。」
キラリと光る眼鏡は錯覚か。
お母ちゃんは、本来なら食事も睡眠も意思疎通も出来ないらしい妖精の新たな歴史を日々作っています。
ピーター様に解剖されないよう、私達の側から離れたら駄目よ。
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リアーズ国に訪れて三日目の朝。
我慢の限界が訪れた妖精さんことおかんの突撃事件が発生し、私はシャリティアさんにより回収されました。
まぁ気絶していた私は、全然覚えてないけど!
歯型とかもう色々、色々あったのすっぽんぽんやったから全部見られてもうたし!泣きたい!
身内にダダ漏れなの、辛い!!!
あとお母ちゃん。流石にピーター様の顔色がそろそろ悪くなってきたので、雷落とすのやめて下さい(涙)
「この二日確認しましたら、瘴気濃度が全体的に、かつ劇的に減少しています。いやいや、この目に見るまで確信が持てず。いやいやこれは素晴らしい。」
私は朝ご飯で口をむぐむぐ動かしながらピーター様を見た。
現地から送られてきたデータを嬉々として確認する姿に、研究大好きなんですねすげえとの感想しか出ない私でした。
「これならわざわざ危険の可能性がある鉱山に向かわなくても事足りますね。……聖女様、少し検査にお付き合い下さい。」
「え、検査?」
「念の為です。聖女様は規格外な部分が多いですからね。もし瘴気の回収で何らかの不具合が起きて体調が悪くなりでもしたら、婚約者が悲しみますよ?」
チラリと見たクルーレさんが不安そうにこちらを見ている。
………ふむ、成る程。心配の原因はこっち系か。
「そういう事でしたら宜しくお願いします。………担当するの、女性ですよね?」
「私も命が惜しいので愚かな事は致しません。全員女性ですよー!」
前半は私に、後半はクルーレさんに聞こえる様に大きな声で言ったピーター様。うん、それ正解。
だからクルーレさん。笑顔で剣の持つ所指でトントンすな!怖いだけやから!!!
朝食後、頭に母を乗っけたまま向かった部屋は半分が手術室、半分が診察室だった。刃物が見当たらないから怖さはあんまりない。良かった、解剖ではなかった。
朝の時点でシャリティアさんに治癒してもらったので諸々の痕は無くなってて助かったけど。(クルーレさんは凄い嫌そうだった)。
検査は、まぁ普通の診察だった。
問診と眼の色、口の中、胸の音、そんで血液採取。
いやーこの世界でも注射器あるんですね。
……知ってる?
太っているとね、血管がお肉に圧迫されて細くなって探しにくくなるらしいです。
冬の寒い時期は余計に萎縮するらしく、慣れてない新人看護師に失敗され8ヶ所刺されたのは私です。
リアーズ国の看護師さん達がお注射上手で良かった!ちょっとトラウマだったの!(涙)
この後手術台に寝転ばされた時はちょいと怖かったけど、おでこ、心臓の上、両腕のひじ、あとヘソ、両足の膝の上にいくつかの小さな水晶玉をくっつけては離すを何度か繰り返して、検査は終わった。
水晶玉が私に触れた瞬間真っ黒になったのは瘴気のせいだと思うけど。
私への配慮か、手のひらで隠れるようにヘソに当てられた一つの水晶玉が、指の隙間から真っ赤に染まったのが見えた。
女性陣が素早く目配せして、また何食わぬ顔で検査を続けていたけれど。
あれは、悪いものが見付かった反応では無かった。
だって看護師さん達色白だから分かりやすい。
照れてピンクに染まってるって、分かりますよ?
「………………………ま、何とかなるか。」
「ん?なんか言った?」
「んーん!別にー?」
私は自分のお腹を撫でながら、悩むのをすぐやめた。
だって、クルーレさんは触ったら分かるし。
おかんはぷりぷり怒った後、ご機嫌なるの目に見えてるし。
なんやかや一番喜びそうなのシャリティアさんな気もするし。
まあ。うん。
初体験で出来るもんなんやね。赤ちゃんって。
いつもの賑やかな日常と嬉しいオメデタなのですが、黒騎士様はおかしいままです。
暫くお付き合い下さい。




