聖女は心配
今回は聖女視点から。
性的表現含まれます。
(ごろごろ)
(ごろごろ)
(ぼふぼふ)
「いやおっそいよ!!!」
お風呂に入って髪を乾かし、母とシャリティアさんとは部屋を離され(声聞こえたらいややby母)待つ事……二時間?三時間?
どこが少しやねん!!!
もう真夜中なるよ!
なんかあったんかとか、心配するやん!?
「なんか………あったんかな?」
ベッドを降りて扉の前でうろうろしているとバタバタと慌ただしい足音。しかも、複数。
「………………………………よし!」
気になっちゃってふて寝も無理やし、迎えに行こう!
黄色のパジャマの上に白いカーディガンを羽織って、私は扉を開けた。
――――――――――――――――――――――
結局迷子になりそう、と部屋を出た途端自分の力量をすぐに理解した私は扉を出てすぐの壁にもたれて待つこと数十分。
「………………………美津、様。」
数時間会わない間に、随分とくたびれたクルーレさんが帰ってきた。
「………お疲れ様です。話し合いだいぶ長引いたね?大丈夫?」
「ずっと、待っていてくれたんですか?」
「いやさっきまでごろごろと転がっ」
いつのまにか目の前に居たクルーレさんにむぎゅーっと抱きつかれて一瞬息が止まる。
けふっと変な声を出したのですぐに弱まったが、それでもいつもより全然力が強い。
心なしか、身体も震えているような?
「クルーレさん?」
どうしたの?
何かあった?
ピーター様は変な事しなさそうやったけど。もしかして帰りに怖いメイドさんとか嫌味な騎士さんとかに引っかかったとか?
いやでもクルーレさんもう何十倍にもして言い返すから問題無くない?いや言い過ぎるのが問題?
「ぶっふ、っふふ!酷いですね。私だって人様のお城で問題行動なんかしませんよ?」
「ミスティー国のお城をある意味私物化気味なクルーレさんに説得力などありませんですはい。」
「そうですか。ないですか。」
「無いですねー。」
顔は見えないけど、くすくす笑う声が聞けて安心する。
「疲れたんなら夜更かしせんと、お風呂に入って、水分取って、布団にくるまって寝たらいいやん。」
……………だ、抱き枕ならここにおるし!!!
恥ずかしくて真っ赤になった顔を、クルーレさんの胸にぐりぐり擦り付けてると脇に腕を入れられ重いはずの身体が持ち上がる。あ顔見られた!
視線を合わせられずにいるとそのまま移動して部屋に戻る事に。
それから数時間後。
「美津は、私がまた我儘を口にしても許してくれます?」
「……………、ないように、よります…。」
「もう一回。駄目?」
「……………ゆっくり、でおねがいしまふ」
「はい。……………有難う、美津。大好きです。ずっと、ずーっと。愛してます。」
それから私は二日ほど部屋から出られなくなり。
母が突撃してくるのは時間の問題だと思われます。
でも、ごめんねお母ちゃん。
クルーレさんが元気になるまでは、もうちょい大目に見てね。




