聖女のお勤め!
一応完結まで書き終わったので、本日より朝の6時の毎日投稿に切り替えようと思います。
予約投稿しますので大丈夫と思うのですが、もし忘れていたりしたら仕事終わった後に急いで投稿します。
お付き合いくださったら嬉しいです。では。
「加減せんかいアホ!!!」
「いえ。少しは練習してもらわないと駄目なんです。彼女とは体格差もあるので慣らさないと入ら」
「娘のそーゆうのはしーりーたーくーなーいー!」
クルーレさんと共に引きこもり、夜が明けてからの朝……を通り越して夕方。
グッタリした私をお姫様抱っこして部屋から出てきたクルーレさんとおかんのバトルが少しあったりしましたが。まぁそれは何時ものことです。
内容が下品な事以外は。
……娘の性事情が母親に筒抜け。すげー辛い。
この日の夜、執務が終わったレオン様と王太子殿下が訪ねてきた。
話の内容は、昨日と同じ瘴気浄化の事だ。
「ミスティー国内の農村や町での瘴気はほぼ浄化された。いやーこんなに早いのは歴史上初じゃないか?普通は早くても数年かかるぞ?」
「ミスティー国での召喚も何百年振りというのもあって、詳しいことは分からんが凄い事には変わらない。ありがとう。」
王族二人の賛辞に、素直に喜べない私。
……だって部屋でイチャイチャ(やらしい方面)してただけなんですが。
王族二人はそんな様子の私に何か感じたのか、詳しく聞いていなかった話をしてくれた。
ミスティー国ではそもそも召喚自体あまりしない。
聖人、聖女を召喚するには女神の加護が強い場所。特殊な魔法陣。膨大な魔力が必要で、細やかな準備が必要なんだとか。
……レオン様見てると確かに苦手そう。細やかな気配り。ほぼ失敗しそう。
なのでこれまでは魔法の知識が豊富なリアーズ国が担っていたが、約50年前に亡くなった聖女を最後に召喚は上手くいかなかった。
召喚するのに必要な魔力が足りなかったのだ。魔力のある騎士、魔法使いの人数が沢山いても、それでも全然足りない。
一人で数百人分の、質の良い膨大な魔力を持つ黒髪、黒目の人物が何処にも居なかったから。
そう。召喚をまかなえる魔力があるのは、今この時、クルーレさんしか居なかったのだ。
前聖女が亡くなってからミスティー、リアーズ両国で探し、約30年前にミスティー国で発見されたのがクルーレさん。
……成る程。友人の子供やからって、善意だけで面倒見てたんじゃないんやー。
赤毛騎士の事がなくても召喚に参加させる気やったんやー。ふーん。
私の冷めた視線に気付いたのか、レオン様が挙動不審だ。今はクルーレさんの膝の上に座らされた状態なので、私の考えは筒抜け。怒っている私を見てクルーレさんは嬉しそうです。
「思惑はどうあれ、私は感謝していますから。」
「まあクルーレさんがそう言うなら……………………しゃーなし許します。」
「せ、聖女が冷たい!あの優しい聖女がシャリティアの様な侮蔑の目でワシを見るぞっ!?」
「クルーレさん道具扱いする人は嫌いです。」
「違うぞ違う誤解だそりゃあ将来手伝ってくれたら嬉しいと思ってたがそ」
「やっぱ嫌いや。」
「ぅおおおおお他の誰に言われるより聖女の言葉が辛いいいいっ!!!」
王太子殿下は自分の父親を可哀想なモノの様に見ていた。
普段怒らない人が怒ると周りが慌てるのは世界共通みたいですね。知らんけど。
私の大事な人蔑ろにする人は嫌いや!けっ!
「美津、様が、可愛い……………。」
「クルーレ、耳!耳をしまいなさい!その状態だとセクハラにしかなりません!」
「セクハラ反対!」
頭に頬擦りする犬耳有りのクルーレさん。それをたしなめるシャリティアさん。放電中のおかん。
カオスってこんな姿ですよね知ってます!
「まぁミスティー国内の瘴気はこれで安心して良いと思う。本当にありがとう。」
遠い目をしながらの褒め言葉に私は喜んで良いものか。身内がすいません。
「そんなん気にしなくて良いですよ!私食っちゃ寝してただけやし。」
王太子殿下は苦笑している。
そんな小さい子の頑張る姿見守る親みたいな顔やめて。私三十路のおばちゃんですから。
いやホント気にしないでほしい。最後までしてないだけで二日位は爛れた生活してただけやから!!!
「後は隣国であるリアーズ国だ。向こうからも聖女様本人に訪れてほしいそうでな。頼めるか?」
「クルーレさん達が一緒だったら良いですよ!」
「勿論、そのつもりだ。」
王太子殿下から快諾を頂き、明日の朝にリアーズ国からのドラゴンが到着次第出発という事になりました。
ちなみに寝足りなかった私はこの後寝室に引っ込んだが、クルーレさんには自室に帰って頂いた。
………毎日の夜のお勉強は初心者にはツライんです。
だからクルーレさん。
嫌とかではないから捨て犬みたいな顔、やめれ。
母と二人ベッドに転がりながら、やっと私は穏やかな眠りについた。
明日は魔法学校のある学問の国、リアーズ国に訪問です。
レオン様は聖女を娘通り越して孫みたいに扱ってます。愛情はあるのでしょうが、恋愛ではないです。
黒騎士様に勘違いされて闇討ちしないか。王太子殿下の気苦労が絶えません(笑)




