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美人のトラウマがやってきた2

一応ちゅーされてますが、やらしい表現は無いと思います。笑ってあげてくれたら幸いです。




「「「「「きゃーーーーー!!!」」」」」

「んーむーーーっ!!!」


娘さん達の叫び声を聞きながら。

私は今だにクルーレさんに抱き上げられ、ちゅーされてます。



いやいや待って待ってマジか見られてるよ見てるよ知らん人もおかんもお姉様もみーてーるーよー!!?


暴れようとしても私の体重を軽いと言ってしまえるくらい力持ちのクルーレさん相手に手も足も出ない。


てかクルーレさん口の中でペロペロしてる!私の舌もぐもぐしてる!!!

なんか変にムズムズするし音もするしめっちゃ恥ずかしいよっ!

私目も閉じてないからクルーレさんと見つめ合ったままなんだけど!?


頭に血が上って行くのが分かって、顔を赤くした私はもうクラクラです。

大人しくなった私に気を良くしたのかますます深くなる口付け。


「やり過ぎですこのお馬鹿!!!」


助けてくれたのは、顔を真っ赤に染めたお姉様でした。ありがとう。

おかんは口から魂出てるような顔してました。



――――――――――――――――――――――



何とか馬車を次の村へと進めることが出来ました。

しかし犠牲は多かった。主に私の羞恥心ですが。


美津(みつ)様を返して下さい。」

「返して欲しかったらその耳をしまってからになさい。」

「………しばらくは無理です。」

「なら駄目です。」

「あの女共が悪いのです!私が美津様と婚約したと信じなくて、村長の所に連れ出してあの不愉快な男共に差し出そうとしたのです。信じさせるのにはああするのが確実でした!」


[麗しの黒騎士様]はどこでも大人気みたいです。

娘さん達が信じられなくて暴走するのも、しょうがないのかな?


「だからと言って初心者の美津様に公衆の面前で、しかもディープキス仕掛けるのはどうなのかしらっ!?」

「あれはっ!…本当はすぐ離そうと思ったのですが、美津様が思いのほか…その、柔らかくて止まらなく……。」

「貴方って子は……。」


馬車の中。

私の横にシャリティアさん。肩に母。

向かいにクルーレさん。犬耳付き。


どうやら怒りではなく、一定以上の興奮状態になると出現するらしい耳。

今だにピコピコあるのは、まぁそういう事らしい。

あ、本当に色々我慢してたんやね。前までちょっと信じられへんかってんけど。分かって良かったと思うけど。


「今は勘弁して………。」

「ま、まあまあ。映画のワンシーンみたいで素敵やったって!そう落ち込まんと!」

「マジ勘弁して………。」


何が悲しくて好きな人との初キスが人様の前でなくてはいけなかったのか。

親の前は、流石の私も気まずいよクルーレさん。



そしてこの事件、これで終わらなかったのです。



次の村も。その次の村も。そのまた次の村も。


似たような若者達(男女両方)の接待体制、信じてもらえない婚約。クルーレさんの暴走。

今度こそは、と知らせとして先に婚約などの情報も送っているはずやのに、信じてもらえない。


クルーレさんの機嫌が日を追うごとに悪くなっております。




そんな旅を続けて数日後のある日。

木陰で食後のお昼休憩中、あんまりにも眉間の皺が深くなってるので、クルーレさんをちょいちょい手招き。

シャリティアさんと母二人と目が合いましたが、頷き一つで納得頂きました。


「どうかなさいましたか?」

「まぁ先に隣にどーぞどーぞ。」


座ってもらって、それからクルーレさんの頭をわっしと掴んで私のお膝に乗っける。

そのままおでこを撫でると、うん。目をまん丸にして驚くクルーレさんの出来上がり。


「まぁ、そんなにカリカリせんと。えーと、何や婚前旅行やと思って楽しく行きましょうよ!」


へらりと笑う私を見て、目を潤ませるクルーレさん。


「どうして、好き合っていると言ってるのに信じてもらえないのでしょう?」

「まぁ、相手が私なんで。信じたくないってのが正解だと思いますよ。」


[麗しの黒騎士様]の相手が私みたいなふといやつとは。現実味がないんだろうな。


「どうして疑うのでしょう?」

「私のことも、クルーレさんのことも相手が知らないからですよ。知ってたら、多分疑わないです。」


クルーレさんがどんなに私に優しく、大事にしてくれてるか。暴走してやり過ぎちゃうのも愛ゆえって私ももう解りますよ!


「いつか分かってくれたらそれで良いでしょ?少なくともお姉様とおかんとレオン様、ここにいる兵士さん達は分かってるだろうし。気にしない気にしなーい。」


眉間の皺を指でほぐしてから、また髪やおでこを撫でていく。

イライラしてるとお腹の調子悪くなったりするし。最近あんまり寝てなさそうやし、心配してるんですよ!


「貴女がそう仰るなら、出来るだけ気にしません。だから、その。」

「???」

「上手に出来たらご褒美を下さい。」

「ん?私に出来る事?どんな?」

「……口付けたいです。今度は、二人だけの時に。」

「!!!」

「ふふ、それじゃあ約束ですからね?」

「いやいや私OK出してないよっ!」

「駄目です。私が決定しました。」

「何という理不尽!!!」

「ふふふっ!」

「また楽しそうに笑っていらっしゃるっ!!?」



黒騎士様はやっぱり、怒ってるより笑ってる方がお似合いです。


私がまた恥ずかしい目に遭うだろうけど。

クルーレさんの笑顔にはかえられないので、我慢しよう。羞恥心。


次の村(町?)では何事もありませんように。


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