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聖女のトラウマがやってきた2



――――――――――――――


懐かしい夢だった

目覚めたら内容は忘れるけれど、気持ち悪さだけ残る夢




「あ、おった!」


「近寄んなよ!お前汚いねんから!!!」


「あいつなん?おかんが言ってた―――――、――――――やつ!」




小さい頃の私は太ってない、普通の子供サイズ


赤とピンクのワンピースドレスがお気に入りで


外で遊ぶ時はいつもそれを着ていた




お気に入りの犬のぬいぐるみを持って、私は遊びに行く





「岡田さんとこ、来週にでも引っ越すんやって」


「やっと決まってんなぁ。まぁ私らも気不味いったら」


「うちら何も悪うないやん。気使うことないって」


「そうかて、女の子やん」


「大丈夫やろ。まだ5歳やし」


「そーよ。あんたは子供ん時のこと覚えてる?」


「違うとこ行ったらすぐ忘れるよ」


「あんな――――――、――――――――――」




そこで私はいつも、誰かに呼ばれるのだ


みっちゃんおいで、と




――――――――――――――




…それから、なんだっけ?


「忘れてていい」


…大事なことな気がする


「いい子だから、ね?」


…うん。わかった


「はい。よく出来ました」


「起きたら、一緒にご飯を食べましょうね。みんなで」


…うん。みんなと、いっしょ




――――――――――――――――――――――




ピーヒョロロー♪


「………」


ピーヒョロロー♪


「………」

「お早うございます美津(みつ)様。もう起きる時間ですよ?」

「………ふあ、お早うございます〜…」


目の前に居たシャリティアさんとおかんに挨拶しつつまた瞼を閉じてしまう。今日は目覚めが悪いなぁ。

正直もっかい寝たい。


「あらあら、本日はまだ寝ぼけているのですね。」

「……え?」


そう言えば起き上がった記憶がないのに座ってるのはなんででしょう?

…背中ぬくい。気持ちいからこのままもっかい寝よう。


「私には「お早う」はないのですか?美津様。」

「……ふぎゃん!」


なんで寝起きに耳元でセクシーボイスっ!!?

またか!また私が起きないのをいい事に好き勝手してたな!?


ぬくいと思ったらクルーレさん!お腹にしっかり腕回してボンレス部分ぽよぽよしとるがな!!!


そこは止めてよお姉様アンドおかん!!!


「確かに未婚の、妙齢の女性に対する態度ではあるまじき行いですが…婚約したからには話は違います。むしろどんどんしなさいクルーレ。愚かな虫が発生したら容赦はいけませんよ。」

「はい、姉上。」


久しぶりに見た素直なきょうだいの受け答えですが内容!

会話の中身がおかしいよ!!?


「良かった…クルちゃんちょっと変わってるけど美津には優しいから安心やわー。」


あ、変人っぽいとは思ってたのねお母ちゃん。

クルーレさんが若干しょんぼりした気がしなくもないが、まあいつものことやね。


くるるとお腹がなるし、シャリティアさんがスープよそってくれてるし。


細かい事は置いといて、みんなで一緒にご飯でも食べましょう。



「………………………。」



この時、私が目覚めるまでのクルーレさんの顔を、私は知らない。

シャリティアさんと母だけが見ていた。




この世のモノ全てを怨み憎む様に何処かを睨み。

私を何処にも行かせないように抱き締めていたのだと。



私が知るのは、だいぶ先の事だった。



――――――――――――――――――――――











ああ、殺してやりたい


獣人(けだもの)になって、獣人(ばけもの)になって


村長の家に居た奴ら、全員消し去りたい


赦されるなら


生きているのが苦しくなる程痛め付けて


腕を捥いで足をちぎって、八つ裂きにして


家畜の餌にでもしてやるのに



…余計な(もの)を見せたあいつらが憎らしい



だって、忘れたままでいてくれないと、困る


思い出したら、きっと


貴女は私を愛さないから



だから貴女は忘れたまま

ずっとずっと私の腕の中に居たらいい




聖女様はあまり物事を難しく考えません。

ある程度までいくと「まぁいっか。そんな事もあるな」で終わります。


終わらせる様に無意識に持っていってるとも言います。

黒騎士様は聖女様の危うさに救われてる所もあるので、このままで居て欲しいみたいです。


聖女様の内緒の話はまたいつか本文で。

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