プロローグ
初投稿です。
至らぬ点ありましたらすいません。
のんびり投稿になると思うので、何かの暇つぶしにでも見てやって下さい。
今年の梅雨もほぼ終わり、蒸し蒸し暑い外とは違い、涼しいスーパーでせっせとお造り作って稼いだお金で私は今。海の上です。
「おい、美津!酔い止めいらんのかー?」
「私船は平気やで。それはレンタカー用っす。」
「俺は、…無理っぽいからちょうだいのり兄…。」
「ういー。水いるか? 無しでもいけるやつやけどそれ。」
「欲しい…。」
上から2番目の兄、智則。
次が私、4番目で長女、美津。
船酔い中なのが弟の智明。
中だと空気が悪いと、甲板に出てきた所だった。
「だらしないやっちゃ。」
「こればっかりは体質やでおとん。無茶言うたらあかんわ。」
「ひろとみちも寝とるし…。」
「夜勤明けやったのを早引けさしてもらったらしいし、そら疲れてるよ。おかんも文句言わんて。」
甲板と船内のぶち抜きの窓枠から見えるのが1番目と3番目の兄で、智大と智教。熟睡中。
同じく船内のごろ寝スペースで文句言ってるのが父の晃。
本日は家族揃って、父の田舎である小豆島へ御墓参りです。
私は白い布で包まれた箱を抱えたまま、ぶちぶち嫌味を言う父に笑った。
「おとんもあんま言ったんなよー。奇跡的に皆の休み合わせれてんから!」
「当たり前や。あんだけ世話なっといてこうへん言うたら許さんわ。寝んと来たらええねん。」
「寝んと来たから今寝てんのよ父ちゃん。まぁあと30分くらいで着くからそん時起こしたら……、」
右手にアイフォン、左手に箱を抱えて時間を見た時だった。船が大きく、ぐらりと揺れたのは。
「え?」
「あき!!!」
のり兄の叫びと大きな水音が聞こえたのは同時だった。
「どないした!?」
「あきが落ちよった!!!」
「うそ、あきちゃん!!?」
海が見える甲板へと私が走れば、また船がぐらんと大きく揺れた。ら……、
「美津!!!」
私の足は、空に向いて。
ガツンという音と冷たいのと痛いのとがごちゃ混ぜになって、目の前が真っ暗になった。
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なでなで。
(…………)
ふにふに。
(…………)
むにむにむにむにむにむにむにむに…。
「……やわらかい。」
「いい加減にしないとセクハラになりますよクルーレ。」
「治療です。」
「癒すだけなら手をそっと握るだけで良いでしょう?撫でて揉む必要はどこにもありません。」
「…はい、姉上。」
美しい金髪を結い上げた背の高い美女は、豪勢な部屋に似合いの天蓋付きベッドに腰掛ける男に呆れた。
話している間もその両手は動いたままだったからだ。
男は夜の様に深い黒い髪に、黒に血を落とした様な濃い瞳を眠っている人物から晒さなかった。
右手は男に握られ、左手に濡れた箱ごとタオルを巻かれた傷だらけの女性から。
「貴女はいったい、どんなお人なんでしょう?……早くお目覚めください、聖女様。」
まだまだ慣れてないので、落ち着いて書き溜めたら予約投稿などにも挑戦したいです。
それではまた。




