人生初の黄泉がえり現場
本日早起き出来たので朝投稿です。
時間出来たら夜にもう一話あげようと思います。
今日まで毎日一話か二話投稿出来てましたが、7月初めにちょっとした旅行に行くので3〜4日程投稿出来ないかもです。
もしかしたら出先で一話くらい投稿するかもですが、こんな文章でも待っていて下さるなら幸いです。
では。
看護師さんが去った後。
向こう側の野郎どもはおとんの座る病院ベッドを中心に円陣を作り、人の顔サイズの鏡(上から降って来たらしい)から私の顔を覗き込んでいる。
「美津、お前化けて出ちまったんか…」
「ちゃうわ!!!説明するからちょい皆静粛に!」
私はこれまでの約一ヶ月の出来事を掻い摘んで説明した。
船から落ちて気付いたら母のお骨ごとベッドの中だった事。
お城で看病されたこと。
実は私が聖女として招かれたこと。
足らず補足する部分はクルーレさんが追加で説明してくれて、とても助かった。
そして驚いた事に、異世界であるこちらは一ヶ月ほど経過しているのに、元いた世界では事故は昨日。つまりこちらの一ヶ月が元いた世界では一日しか経っていないのだ。
父以外はゲーム世代であるため理解は早かった。
まぁ納得はしていないようだけど。
「それで、お前はいつこっちに帰ってくるんや?」
「うーん…無理かなぁ。お願い叶えてもらったし。」
「お願いって?」
「あっ!」
やっべ内緒にするつもりやったのにうっかりした!
「言え。」「お前に嘘は無理や。」「顔にすぐ出るしな。」「そーそー。」「マジ無駄な抵抗やな!」
好き勝手言われるので、渋々言うと。
向こうもしょっぱい顔しながら俯いていく。
ああああだから言いづらかったのにー!!!
「ま、まああれや!私も無事でそっちも無事やってんから!なぁんも心配せんでいーよ!私も元気やし!」
ニッコリ笑って言ってるつもりの私だったけど。
クルーレさんと野郎どもの顔がしょっぱい顔のままである。むー。
「そんなんゆうて、お前一人そっち行ってって…淋しいんと違うか?」
「………淋しくないよ。」
家族に見えない所でクルーレさんの手を力一杯握れば、指と指を組ませる恋人繋ぎに変えられる。
………まだ全然慣れなくて恥ずかしいけど、あったかいなぁ。
「ちなみにお父ちゃんや。私の隣にいる美人さん。気になりませんか。」
「…………………………………………なんや?」
「すっごい嫌そうな返事ありがとう。この人はクルーレさん。王様付きの守護騎士っていう騎士の中で一番偉い役職に就いてる人で、今は聖女である私の護衛をしてくれてんの。」
「クルーレ・スティーアと申します。」
お、そいえばクルーレさんのファミリーネーム初めて聞いた。カッコいいなぁ。
「…………………………………………そうか。」
「そんで、…………あー……わ、私の恋人でしゅっあ噛んだ」
「……は?」
「「「「「はああああぁあああ!!?」」」」」
「岡 田 さ ん !?」
看護師さん、再召喚されました。
叫ばしたのは私なので、少し申し訳ない気持ちになりました。
―閑話休題―
「ちょっとその男と二人で話させ」
クルーレさんを見上げると、小さく頷いてくれたので「出来たら標準語多めで話たってな」とだけおとんにアドバイスして、声の聞こえない位置までさがった。
鏡と会話しているクルーレさんの姿はナルシストのなれの果てに見えてちょっと面白い。
お骨の入った箱を無意識に撫でさすり、この調子なら女神様にも一つ叫べばお骨を向こうの世界に返せるかもしれない。
ああ、でも。出来る事なら。
「お母さんにも見せてあげたかったなぁ」
私に出来た、初めての恋人。
絶対喜んでくれた。誰よりも。もしかして私本人より喜んだかも。
「まぁもうめっちゃガン見してるから大丈夫やけどなー」
「ん?」
いまのこえ、どこからきこえた?
「あーでもホンマ良かったわ〜可愛く産んでんのにだぁーれも解らへんねんから!あのイケメンさんが分かる子でホンマ良かった!みっちゃんは可愛くて優しくて自慢の娘やってんもん〜」
「う、」
私の右肩に、ティン○ーベルサイズ、黒髪おかっぱヘアーの妖精っぽいのが座ってる。
「うああああああああああああああんっ!!!」
「美津様如何されました!?」
「え?え?どないしたん美津!ちょっとイケメンさん何か居るの変なん居るの?」
「…え…………っな、何故この様な場所に妖精が???」
「へ?わたし?え?見えるの?聞こえるの?
「おがあちゃああああああああんっ!!!」
「ふぎゅっ」
聞き間違いと違う。
私のこと、みっちゃんって。
可愛い娘って言った!!!
「お母ちゃん生きてたーっ!!!」
「美津様落ち着いて下さいお母様の呼吸止まりそうです」
この一分後。
目を回したおかん(おかっぱ妖精)を鏡の前に引き連れ向こうの世界から三度目の阿鼻叫喚と看護師さんの黙りなさいコールが響き渡るのだが。
泣き喚くのに必死な私には如何でも良い事でした。




