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人生初の教会で

登場人物とかこれからも増えるので、紹介ページ作って乗っけようと思います。

あと何話か投稿したらキリが良いのでその時にでも。

では。



皆さまこんにちわ。私の名前は岡田美津(おかだみつ)

異世界で聖女様やっていますが、あんまり実感湧きません。


(勝手に)瘴気浄化して、ご飯を食べて(勝手に)失った魔力を回復。これの繰り返し。


少々使い勝手の悪い空気清浄機と思って頂いたら分かりやすいかと思います。


剣も魔法も女神だって存在するここは異世界[ミスティリア]


私がこちらに招かれ一ヶ月と少し。

腕に巻かれた最後の包帯を外され、シャリティアさんに頭を撫でられた。



「ご苦労様でした、聖女様。これで完治ですわ」



私の家族分の苦しみ、痛み。これでようやく終わりを迎えたのだ。




――――――――――――――――――――――


[聖女と黒騎士のダブル公開プロポーズ事件]から一週間経ちました。


あの後カオスな黒騎士様をなだめようと引っ付いてたら、シャリティアさんからの謝罪を貰った。


クルーレさんの秘密を自分の口からはどうしても話せず、なのに私が内緒にして欲しいと言ったから苦肉の策での接触禁止令だったそうです。


ならバレたから良いですね、とへばりつく私に腕を回そうとするのを見て、妙齢の女性に所構わず触れるのはマナー違反です!聖女様もはしたないですわ!ってクルーレさんだけ頭をはたかれてた。


それからはまたいつもの日常。

散歩をするとどうしても注目されてしまうが、クルーレさんと一緒なので少しマシ。


心を読めることがバレてから、クルーレさんの雰囲気が少し変わった様に思う。

いつも私をからかって遊んでいても「うふふ〜」と穏やかに笑って誤魔化してたのに、最近はあくどい笑い方を覚えた様です。やだちょっと格好いい。


「私の考えている事を貴女に知ってほしくて。嫌、ですか?」

「ううん!私よくにぶいって言われるんで、分かりやすくて助かります!」

「でしょうね。」


その即答具合が中々容赦無い!

いつもご迷惑をお掛けして申し訳ないと思っとりますはい!


「…何も聞かないのですか?」

「何を?」

「隠してる事は他にもあるかも知れないのに、私で本当に良いのですか?」

「だってクルーレさん、もう言いたくなったら自分で言うでしょ?」


吹っ切れましたーって顔してるもの。

まぁ、あれだ。


「そんなに聞いて欲しかったらしょうがない、お胸貸してあげますよ!」


おどけながら笑顔で手を広げれば、クルーレさんは目を見開いてからくしゃりと表情を崩して笑ってくれた。


でもねクルーレさん。

私の様なふといのを子供みたいに抱き上げないでください。めっちゃ目立って恥ずかしいです。


ちなみに赤毛の騎士(オックスって名前らしい)は直属の上司では無いが国王付きの守護騎士に対する暴言、また聖女である私に対する暴行未遂(ってクルーレさんが証言した)の罰として魔剣騎士団の中でも一般兵に属するような部隊に異動させられたらしい。


魔力を制限する装備品を付けられ、屈強な方々に鍛え直してもらうそうです。


うん。まぁガンバレ。




――――――――――――――――――――――



「召喚場所へ、ですか?」

「はい。」


全身完治を報告して、満面の笑みとハグを頂いた私は顔を赤らめながらもクルーレさんにお願いした。


「私が何処から来たのか、ちゃんと見ておきたくて。まぁあわよくば女神様と会話して、家族の無事を確認したいんです。」


そこまで言うとクルーレさんは少し困った顔をしながら私に手を伸ばし、しかし触れる前にまた元の位置に戻してしまった。


おやおやこれは。あれだ。勘違いしてやがりますな?


「はいはいクルーレさんお手を拝借。」

「!」


両手で力一杯握ってやる。

動揺してまばたきしまくるクルーレさん超かわいい。


「私はやっぱり家族の無事を確認したいです。自分の目で見るまでは心配なんです。だから女神様とコンタクトが取りたいです。」

「………はい。」

「もう一個は、もし叶うなら母の遺骨を家族の元に返せないかなって思ってます。」

「え」

「まだ元気な時、母が言ってたんです。自分が死んだら父の田舎にある墓に入りたいって。……私がガッツリと手放さなかったせいでだいぶ遅くなったけど、叶えてあげたいんです。」

「…………っ。」

「その時に家族に会えたら、か、か、…大事な人ができましたっていおうおもったけどやばいやっぱはずかし」

「っはい!私は美津(みつ)様の彼氏ですものね!」

「あああああああああ大声で言わないでぇ!」


私の名前を呼ぶのはまだ、クルーレさんだけ。

………もうちょい特別感味わいたいから、皆に教えるのはしばらく先延ばし中です。



そんなこんなで私は今クルーレさんと二人、お骨の箱を持って召喚場所である城内の教会に到着。


そこはテレビで見た事あるような普通に豪華な教会で、こちらに来た聖人、聖女様の中には神父様やシスターとかも居たかもしれないね。


一番奥、神父様や牧師様が立つ台の前の床に彫り込まれているのが召喚の魔法陣らしい。

先に知らせを出してもらったので誰もいない。

これなら多少の事しても恥ずかしくない。


箱を魔法陣の真ん中に置いてから。

ではではそれでは。


「女神様ー!私ですー!岡田美津(おかだみつ)ですー!覚えてますかー!」


とりあえず呼んでみる!


「私が支払った対価の確認をさせて下さーい!他の人は出来たのに私だけ無理ってずるいと思うんでーす!」


とりあえず叫んでみる!


「お願いです!私の話聞いて下さーい!!!」


すると。

私とクルーレさんの目の前に、こぶし大の蛍の光が現れた!!!


「!」


クルーレさんが私を抱き寄せて剣を抜こうとしたが、それは私が押しとどめた。違う、これは。


「鏡」

「聖女様?」

「クルーレさん。光の中に鏡があるんです。私じゃ腕の長さ足りないから、取って?」


クルーレさんは私を見詰めてから小さく頷き、躊躇いもなく目の前の光の中に腕を突っ込み、すぐに引っ張り出した。


その手には、やっぱり鏡があった。


鏡面が水面のようにゆらゆらと蠢く木枠の不思議な鏡。

私の顔くらいの大きさだった。


私はクルーレさんから鏡を受け取り、その場に正座し膝の上に箱を移した。

クルーレさんは片膝をつきながらも私と周囲を注視してくれている。ありがとう。



「女神様、私の家族の無事を知りたいんです。教えて下さい。」


鏡面が蛍の光に一瞬包まれ、光がかき消えた瞬間。








「なんでやっ、なんで見つからんのや!!!」

「落ち着けおとん!みんな探しとるんや!」

「役立たず何人もおったって意味ない!どかんかお前らっ!!!」


「親父も火傷酷かってんから無理したらあかんって…」

「ポリ公は初めっから死んどると思っとるんや。だからちゃんと探さへん」


「ねぇちゃん……俺のせいで」

「ちゃうわアホ!!!」

「だって俺が最初に落ちたから、だからねぇちゃんも!」












「……………あ、あのー」


「「「「「あ"?」」」」」


「ひい!顔怖いわみんな!!!」


「え………」




「「「「「えぇえええええええええっっ!!?」」」」」




「ちょっとうるさいですよ岡田さん!!!」




ねぇお母ちゃん。鏡の向こうで聞こえる阿鼻叫喚が懐かしいね。




看護師さんに叱られてるハテナを飛ばす野郎どもに隠れて、私はこっそりクルーレさんに抱きついて泣いた。





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