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天才脳外科医 Dr勅使河原(てしがわら)

作者: 倉本保志

Dr勅使河原てしがわら彼はゴッドハンド 神の手と異名され、世界にその名を轟かせる脳外科医である。日本人でありながら、U国の有名医科大学を卒業し、脳全部の、摘出移植手術を幾例も成功させ、脳外科医学会の最高権威として、世界に高く評価されている。ある日、かれは、U国の大統領ドナルド

TPトランペット氏の手術を依頼され、引き受けることとなる。しかし、彼の手術は、困難を極め

勅使河原は、窮地に立たされてしまう・・

三島由紀夫の生まれ変わりを自負する倉本保志の短編小説第4段 ついに投稿

  天才脳外科医 Dr 勅使河原てしがわら


彼の名はDr勅使河原

神の手、ゴッドハンドを持つ 天才脳外科医として、ここNY州立病院に

勤務する日本人医師である。

ある日 ここU国の現任の大統領、ドナルドT・トランペットが演説中

銃弾に倒れ、瀕死の状態でこの病院に担ぎ込まれた。

ICU 集中治療室の中に置かれた、危篤状態の大統領を、秘書官は、部屋と

外部を,隔てているガラスの窓に、へばりつくようにして、覗き込んでいたが、

勅使河原が、姿を見せると、小走りに近寄り、彼の両手を、包み込むように

力強く握手をし、辛辣な表情で、彼に話し始めた。

「はじめましてDr勅使河原、」

「私は大統領の秘書官で、ロナルド・ウーノと申します。お会いできて光栄です。」

「ああ、どうも」

勅使河原は、軽く会釈をすると、強く握られた手を内側から、めんどくさそうに

払いのけた。

「先生、お願いです。彼を、大統領を、助けてください。」

秘書官の言葉は、もの静かではあったが、内側に込められた彼の熱意は、

勅使河原にもはっきりと伝わった。

「先ほどカルテは拝見致しましたが・・どうですかね?・・ちょっと・・」

勅使河原は、秘書官の前で言葉を濁した。

秘書官は熱心に言葉を続けた。

「そこをなんとか・・・、彼には、我が国の存亡がかかっているのです」

「ニュースでよく存じています。今までの大統領と違い、何から何まで、

異色で、敏腕の、花形プレジデントみたいですからね・・」

それに対し勅使河原は、少し茶化したような言い方をした。

「ですがねえ、・・・・なんというか・・その」

二人の会話は、さらに続く・・

「お願いします、大統領を救えるのは世界中でただ一人、あなただけなのです。」

「たとえ1パーセントでも可能性があるのなら・・・」

「うーん」

「お願いします。」

「まあ、私の腕をもってすれば、控えめに見ても、成功率は50パーセント

五分五分なんですがね・・・ 」

「おおっなんと・・ 50パーセントなら恩の字です。」

「では、一体、何をためらうことが・・・?」

「いや、・・・その・・」

「なんです? はっきりと仰って下さい。」

「・・・・いや、・・私は・・彼が嫌いでね」

ぼそりと呟いた勅使河原の言葉に、秘書官は一瞬耳を疑った。

(ばかな、医者が私情を持ち込むなんて・・・)

(しかも世界に名を響かせる名医が?)

OH MY GOD (ありえない)

そう言って暫く口を、あんぐりと開け放していたが、

すぐに、彼の返事の裏側・・つまり、本音を探り当てようと、

すぐれた頭脳をフル回転し始めた。

秘書官には、一つの理由が思い浮かんだ。

「Dr勅使河原 」

彼は静かに切り出した。

「金なら出します。いくらでも、あなたの要求する額を・・・いくらでも」

「なにせ彼は、国家予算を動かせるのですから、」

勅使河原は、秘書官の言葉に、憮然とした態度で言った。

「金で動くような私ではない、私を 見損なうな」

秘書官は叱責されたため、少し驚いた。

(なんだと・・さっきは 私情がらみで、オペを拒否しようとしたくせに

この、偽善者が・・・)

秘書官は、腹立たしく思ったが、そんなことは、おくびにも見せず

「なんとかお願いします。我々は、本当にあなただけが、頼りなのです」

そう言って勅使河原の目を強く見つめた。

「・・・・」

暗澹とした空気が周囲に広がった。

秘書官は勅使河原を睨みつけたままじっと動かない。

暗欝な雰囲気から逃れるべく、声を発したのは、勅使河原のほうだった

「・・・・わかりました。やってみましょう。」 

「ほんとうですか、ありがとうございます。」

秘書官は、勅使河原に更に近づき、彼の両手を握りしめた。

「・・・ただし 」

勅使河原は言葉を続けた。

「秘書官、分かっておられると思うが、オペに100パーセントはない。」

「ましてや、脳の手術だ。命の保証はしかねるが・・・いいですか・・・?」

「ありがとうございます、Dr勅使河原、お願いします。」

勅使河原はオペを引き受けることにした。


まもなく オペは開始された。

頭蓋骨を電気ノコで切開していく

キュイイイインという嫌な金属音とともに、髪の毛を焦がした時のような

きな臭いにおいが漂っている。

「おかしいな・・・?」

額に大粒の汗が、にじみ出る。

(まさか・・頭蓋骨が、切開できない・・・)

(どれだけ分厚いんだ、この男の骨は・・・?)

愚痴にも似た呟きを漏らす。

普段よりも1時間も長くかかり、なんとか無事に、頭蓋骨が切開された

ようやく銃弾と、破損した脳の摘出にとりかかる、

開放口より頭蓋骨のなかを覗き込む

「なんだ、この脳は?」

勅使河原は、またもや声をあげた。

(小さい、・・・あまりに小さい)

(果たして、これはヒト(ホモサピエンス)の脳なのか?)

(旧石器時代の原人、(ピテカントロプス)でもう少し容量があるぞ・・?)

(交換移植用に用意した、ヒトの脳では無理だ ・・・どうする?)

勅使河原は、目眩を感じた。想定外の難問が彼を襲う。

(どうする・・?)

移植はせずに、摘出に留めるか?しかしここは重要な部分だ。重篤な

後遺症が残る可能性が・・・

(・・・どうする・・・?)

(落ち着くんだ、落ち着いて考えろ・・時間はまだある・・)

勅使河原は目を閉じ、すう と息を吸い込むと近くの長椅子に座りこんだ。

オペを手伝っている助手の医師たちは、互いに顔を見合せ、不安そうな面持ちで

勅使河原の指示を待っていた。

「おい、ちょっと・・・」

勅使河原は、助手の医師を呼びつけ、至急 とある場所に連絡するように伝えた。


幾許かの中断を挿みながら、12時間にも及ぶ大手術が終わり、手術室から、

勅使河原は出てきた。

廊下で、仮眠をとっていた、秘書官は飛び起きて容態をきいた。

「Dr・・・ 大統領は・・・?」

「安心して下さい、手術は成功です。」

「ほ、本当ですか・・・、ありがとうございます。」

「すごい、やはりあなたは天才だ、オペを依頼して本当に良かった。」

「いや、まだ喜ぶのは早いでしょう。」

「しかし、Dr・・・手術は成功したのでは・・?」 

「なにせ、脳の手術です。後遺症が残る可能性は否定できません。

「そこは、ご了承のほどを」

「分かりました。ありがとう、Dr勅使河原、あなたに感謝いたします。」

秘書官は 礼を述べて病院を後にした。


大統領は、奇跡的に回復をし、半年後には職務に就くようになった

以前のようなビッグマウスが世界中のニュースを、賑わせ、驚かせ、ときに

驚愕させた。

U国民は、そんな中、彼の命を救った Dr勅使河原の功績を讃えた。

中には、大統領の復帰を好ましくないと思うものもいたが、テロを支持して

いるように、誤解されても困るため、表向きは大統領の復帰を歓迎した。 

ニュースで、この事実を知った勅使河原は、周囲にはあくまで平静を装って

いたが実は内心、ひどく驚いていた。

(まさか、あのオペが成功するとは・・・)

新聞を読む、彼の手が、小刻みに震えていた。

新聞を机に置き、コーヒーを手にしながら、彼はブラインドの隙間から

どんよりと曇る都会の空をじっと見据えながら、また、静かに呟いた。

(かれは、本当に人間だったのか・・・?)

机に置かれた新聞には、半年前、頭を切除され、変死したホエザルの

、動物園側の隠ぺい責任を問う記事が、地域欄に小さく載せられていた。


Dr勅使河原 役には、俳優のあべひろしさんをイメージして読んでいただけると、さらにお楽しみいただけるのではないかと思います。


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