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昼寝する吸血鬼

 ちょっと昼寝して、起きたらショーケースの中で飾られた経験したことある人って一体どれだけ居るんだろうか?俺が知ってる限りでは俺だけ。

 ショーウィンドウって基本的に外から操作するものだから、内側にいる俺には何も出来ないわけだ。だから、出る際にガラス叩き割ってしまったのも致し方ない。幸い、何時も使っていたカッコつけ用の杖も何時も被っていた帽子も残っていたし、服も着ていたので良しとする。


「めっちゃ寝たと思ったらなんか、スゲーイタズラされてるし」


 帽子を被って杖を使って伸びの運動。体がバキバキ言う。脇には処女の女児達が震えて座っていたので適当に血を吸う事にした。セバスチャン辺りが用意してくれたのだろうか?周囲を見回すと、俺の部屋によく似ていたが何か違和感がある。

 なんつーか、俺の部屋を再現したって感じ?つーか、家具とかもよく見れば安っぽい。

 そして、俺を閉じ込めていたショーウィンドウが安置されている天蓋付きのキングサイズベッドの材質や匂いも安っぽい。


「あ〜?

 セバスチャ〜ン?おーい!何処に居るんだー?」


 取り敢えず、ベッドに腰掛けてセバスチャンが来るのを待つ。

 人間の幼女はもちろん、エルフ、獣人達も残っているし、老人や若者の老若男女揃っている。いや、こんな要らねぇし、部屋に奴隷置くなよ。何だこれ?どーなってんだ?

 取り敢えず、趣向を変えてショタの血も飲んで見る事にした。精通していない童貞の血だ。コレに関してはまだまだ美味い。肉は少しコリコリしているがそれもまた美味い。

 ショタの首を折ってから、首を切って血を吸う。うん、美味い。しかし、昼寝してたにしてはかなり腹減ってるな。ん〜?


「セバスチャン!おい!セバスチャン!」


 普通ならもう来ている時間なのだが、何故か一向に来ない。しょうがないのでショタの大腿部を千切って頂こう。そんで、セバスチャンを探しに行こう。

 ベッドから立ち上がって扉に向かおうとしたら、扉が開きサブマシンガンを構えた懐かしい格好をした見知らぬ連中が雪崩込んできた。

 そして、意味がほとんどわからない言語で叫んでいる。聞き取れた単語と動作から察するに動くな的な事を言っている感じだ。


「ん〜……何言ってんのか何となくしか分からんが、取り敢えず、お前等誰だよ」


 ショタの大腿筋を食べてから骨を脇に捨てる。そして杖を向けた瞬間、めっちゃ撃たれた。銃弾は痛かった。だが、耐えられないほどではない。


「我が名は、ヴラド。ヴラディスラウス・ツェペシュ。魔王領辺境公爵にして魔王軍第二軍軍団長。

 我が領土に立ち入る蛮族よ、そこで我が境地を眺めよ」


 杖で地面をカツンと叩くと地面から無数のドクロが粗末な槍を持って顕現し、未来の兵士達を串刺しにする。俺は地面から現れたドクロ達にサブマシンガンを回収するよう指示を出し、手元に持ってこさせる。操作方法は前世の記憶を頼りにやってみると多分、合ってるだろう、がちゃんと弾が装填された感じの音がした。

 そして、引き金を引くと手の中で軽く暴れて弾が出た。うむうむ、俺の前世の知識も錆びついては居るがまだまだ現役じゃ。ホッホッホ。


「では、弾を回収して部屋の外に出るかな」


 ホッホッホ。


「お腹空いてるから奴隷達も何人か連れて行こう」


 ドクロ兵に指示を出し処女の女児を数人担がせる。そして、両手に銃を持って外に出ると銃を握った様々な種族が俺の部屋を取り囲んでした。つーか、部屋から外出たら屋敷の廊下じゃないし。どーなってんだ?敷居の上に立って部屋と廊下を見比べる。

 そして、廊下側の入り口に何やら俺の部屋と書かれたプレートが付いていた。正確に言えばヴラディスラウス・ツェペシュ公爵の部屋と書かれていた。廊下には俺の配下に着せていた鎧や俺の領地の旗印等が飾ってあり、何かの戦争だろう絵画も飾れていたし、俺がサインした書類もお行儀よくショウケースに入れられて飾ってある。

 まるで博物館だ。


「あ〜?

 なぁ、お前、これ、何?どーゆー事?」


 銃を構えている若い眼鏡の女がいたので聞いてみる。

 種族はエルフだろう。耳長の美人で処女の匂いがする。エルフは処女多いけど何か血が森の味するんだよなぁー

 因みにハイエルフはおばあちゃんの味。


「あ、貴方にはも、黙秘権があります!」

「はぁ?」

「あ、ああ、貴方には「いや、ミランダ警告は良いから」


 杖を脇に挟んで銃を向けてみる。


「落ち着けよ。

 此処は何処で、何で俺の領土にこんなにエルフだの獣人だの人間だのが居るんだ?」

「こ、此処は、あ、貴方の知識で言えばか、か嘗て勇者が召喚されたと言われる街にある、し、神代戦争博物館です。

 そして、神代戦争は大凡1億年前に集結しました。貴方がフランケンシュタイン博士によって投与された薬により永遠の眠りに付き、貴方を失った魔王軍は敗北しました」

「はぁ〜?

 フランケンシュタイン博士ってハイエルフのフランちゃん?」


 真祖級の吸血鬼について学びたいとか言うイカレたハイエルフの女を俺の屋敷に住まわせていたのだ。パツキンでパイオツカイデーなメチャシコエルフだったから研究する対価に俺のセフレにしたのだ。

 ただ、フランちゃんの血もハイエルフだからおばあちゃんの味。血はまずいけどメチャシコだから良しとした。


「そ、そうです」


 つーか、魔王軍負けたんか。まぁ、あれじゃさもありなんか。


「今の魔王領とか俺の領地どうなってんの?

 あ、それとセバスチャンとかは?」

「現在の魔王領は魔族の共和国になっています。貴方の部下達は眠ったまま起きない貴方を守るために全員が尽く戦死したそうです」


 此処にある絵がその時の戦いですと、ちょうどど真ん中に飾られている絵を見るとたしかにセバスチャンや武装メイド隊っぽい雰囲気をだした吸血鬼達が剣や槍を片手に人間軍の兵士達と戦っている。

 吸血鬼は真祖の吸血鬼に絶対服従するのだ。そして、真祖の吸血鬼は世界で13人しかおらず、その中でも最も権力が高いのが俺の一族、ツェペシュ家なのだが……


「他の真祖達は?」

「人魔共生政策に反対した真祖は心臓に杭を打たれて封印されています。賛成の者は共和国で議員をしています」

「魔王は?」

「貴方が起きていた頃の魔王は勇者によって討ち取られ、遠い血縁が現在共和国で象徴魔王として国を纏める為に生きています」


 ん〜こういう時って一応謝罪しておくべきだよなぁ〜

 区切りとして。


「つーか、此処が博物館って事はあそこに居た子供は奴隷じゃないし、お前等も中で串刺しにした奴等も殺しちゃまずい感じの奴だった?」

「は、はい。

 相当不味い感じの奴です」


 うわーやっちまったよ。


「知らなかったとは言えヤベェよな。

 子供とか3人ぐらい食っちゃったし。警備員も殺しちまったぞ……弁明っつーか釈明っつーかする感じの事で出来る?裁判出ろって言うなら出るし、手錠掛けるって言うなら掛けても良いよ」


 サブマシンガンを脇に捨てて女に手を差し出す。

 女は周囲の警備員なのか警察なのかを見てから恐る恐る俺の手に手錠をかける。そして、ミランダ警告を全文言い切った。

 そして、俺の身柄は取り敢えず近隣の警察署に移動させられることになった。

 警察署に入ると取調室とかじゃなくてめっちゃ高級そうな接待ルームみたいな場所に通された。


「取り敢えず、俺的にはさ遺族達とサシで話し合いたい。

 それをテレビで中継しても良いし、ラジオで流してくれても良いし記者達が脇で黙って聞いてても良い」


 脇に置かれているテレビやラジオを指さして多分署長だろう偉そうなおっさんに言ってみる。おっさんの顔は青白く引き攣っていた。


「あ、あの、本当に、本当にあのヴラディスラウス・ツェペシュ?」

「おう。ツェペシュさん家のヴラド君と言ったら古今東西俺のことしか言わないだろう。

 それと、次、呼び捨てにしたら串刺しにして広場のど真ん中に晒すからな」


 にっこり笑って串刺し公ジョークをかましてみるがヒィッと悲鳴が上がって土下座された。


「冗談だ。

 お前の気持ちはよく分かる」


 多分、俺も目の前に信長が現れた本当に織田信長?って聞いちゃう自信あるもん。


「逮捕とかそういうのは勘弁して貰いたいね。

 それと魔王の血縁だか何だかって人にも会いたいんだけどね。どうかな?」

「は、はぁ、えっと、その、一介の警察署長ではどうにも出来ないので、えっと、法務大臣等にお聞き下さい」


 ですよねー

 それから、しばらくすると凄まじい数のマスコミが警察署の前に押しかけていた。さすがマスコミだな。あ、此処で上を通さずにマスコミに直接言ってしまえば外堀埋めれて良いんじゃね?

 窓を開けて壁を歩いて警察署の前に出る。凄まじい数のフラッシュが焚かれ、凄まじい数の質問が浴びせられるので軽い殺気を飛ばして黙らせる。


「黙れ。ピーチクパーチクと。

 私の名前はヴラド。ヴラディスラウス・ツェペシュだ。魔王領辺境兼魔王軍第二軍団長である」


 テレビカメラだけが俺を移している。アナウンサー達は皆尻餅をついて小便を垂れ流すか気絶していた。脆弱になったな。昔はこの程度の殺気では怯むだけだったのに。


「ま、話によると魔王軍負けて戦争終わったみたいだから肩書は全部元って付くわけだけど。

 それと、博物館で起こった騒ぎについて被害者遺族と直接話しをして謝罪しておきたい。あと、現在の魔王にも直接会って話をしたいと思っている。

 この事を何故、貴様等カスのマスコミ共に言ったのか十分に理解せよ。そして、理解したならばさっさと去れ」


 言うとカメラマンはキャスターをほっぽり出して逃げる様に去っていく。ハッハッハッ!

 振り返ると慌てて出て来た署長達がいる。


「当分の間、俺の泊まる部屋を用意してくれ。世話役も」


 署長の周りの連中を見ると全員が青い顔して署長を見ている中、メガネエルフと目が合う。その瞬間、メガネエルフは直ぐに目を逸らす。


「よし、彼奴が良い。

 あいつの家に泊まるぞ」

「しっしかし!」

「何、血は吸わん。と、言うかエルフの血は不味い。血を吸うなら人間の子供に限る」


 人間の血が一番美味い。バランスよく肉と野菜を食べるので凄く美味いのだ。


「と、言うかこの世界はまだ奴隷制度はあるのか?

 あるのなら処女か精通前の子供を十数人買いたい」

「ざ、残念ながら現在では奴隷制度はありません。な、なので申し訳有りませんが……」


 なんだつまらん。


「なら、デカイマフィアか犯罪組織を紹介しろ。そこなら人身売買しているだろう?」

「お、恐れながら!」


 署長が若干の怒気を含ませて声を上げる。


「わ、私達は警察です!

 そういった輩を捕まえるのが我々の仕事です!」

「馬鹿か貴様?

 その様な薄っぺらい建前なんぞ要らん。さっさと紹介しろ」


 軽く睨みつけると、署長が怯むが尚立ち向かおうとする。つまらん。脇にいた男に手を差し出す。


「タバコ位あるだろう」

「や、安物ですが……」


 軽く睨むと男は震える手でタバコを取り出して俺に差し出す。それを咥えると直ぐに火の付いたライターが差し出されたので火を付ける。

 俺的につい2時間程の体感だが煙吸い込むと盛大に咽た。


「一億年ぶりだからか?」


 一気に一本吸い上げて脇に吸い殻を捨てる。鼻から煙を吐き出し、肉体的には一億年ぶりのニコチンにクラクラしておこう。


「取り敢えず、今日はもう帰る。

 案内しろ」

「はっ、はい!」


 少し距離があるので車を持ってきますと告げるとメガネエルフは走って去って行く。


「おっ、お待ち下さい!現在内務省と共和国の大使館から人が来るのです!」

「貴様は犬畜生二待てと言われて待つのか?違うだろう。待てと言うのは主人だ。犬畜生ではない」


 署長にお前が待ってろも告げた所で一台のピンク色に塗装された軽自動車チックな小型車がやって来る。車とか前世以来初めて見た。

 パトカーに乗った時もすっげー丁寧に説明され掛けたけどな。そう言えばこれってどんな仕組みなんだろ?化石燃料なんかな?


「お待たせしました!」

「運転してみたい。

 変われ」

「つ、ツェペシュ様は操縦の仕方分かるので?」

「アクセルとブレーキ、クラッチにチェンジレバーが分かれば誰でも出来る」


 見たところこれはアクセルとブレーキしかないからマニュアルじゃなくてオートマか?

 それなら余計に簡単だ。

 一億と二千年ぶりだな。アクエリオンかって話だけどな!

 運転席からメガネエルフを退かし、座席に座る。


「早く乗れ。

 お前は案内役だ」


 三速にギアを入れ、ブレーキを左足で踏んで、アクセルを右足で踏む。

 ストール発進体勢準備よし。メガネエルフが乗り込んだのを確認してブレーキを話すと一気に加速した。


「こっ!この道は時速45キロ以下です!」

「ワハハッ!俺が許可する!

 どこで曲がる?」


 それから何度か車をぶつけ、何度か道を間違えてメガネエルフの家に辿り着いた。

 社宅なのだろう。個人的には好きなボロさだ。


「ふむ。

 ドライブは楽しかったな。次はもっとデカイ車が良い。今日の夕飯は何だ?」


 車を適当に路駐して、一億年ぶりの夕飯を所望する事にした。

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