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第2話「神様はかなりの廃ゲーマー」

「わかった。俺のことはプレジデンテでいいけど、キミのことはなんて呼べばいいの?」


「私ですか?」


「そう、君の名前は?」


「私は主人(あるじ)より“アテナ”と呼ばれております。『先生の仕事をお手伝いするのにピッタリじゃ』と仰っていました」


 アテナ、か。ギリシア神話の女神で、たしか知恵や戦略、芸術や工芸を司っていたな。それに都市を守護する女神でもあったはずだ。


 なるほど、“国づくりゲーム”にはピッタリかもしれない。


「じゃあよろしく頼むよ、アテナ」


「はい。それではプレジデンテ、早速ですが国家とドクトリンの選択を……」


「ちょっと待ってくれ。ドクトリンだって!?」


「はい、主人(あるじ)からは国家とドクトリンを選ぶようにと指示が」


 ドクトリンとは、方向性を決める原則となる考え方のことだ。


 例えば政治で言えば、19世紀初頭にアメリカがヨーロッパ諸国に対して介入せず、逆に干渉も認めない「モンロー主義」はアメリカの外交姿勢におけるドクトリンとなった。


 軍事ではナチス・ドイツの機甲部隊の機動力を活用した「電撃戦」や、旧日本海軍の巨大な戦艦が持つ巨大な主砲で艦隊決戦を制する「大艦巨砲主義」などがそれにあたる。


 ゲーム業界では鉄の心臓っぽいゲームに重要なシステムのひとつとして組み込まれているが、英語圏のゲームだけあって俺はあまりプレイしていない。ぶっちゃけると詳しくない。


 それにしてもあの爺さん、ストラテジー好きすぎるだろ。


「また、ドクトリン以外にもどのような政治体制にするのか、そもそもいつの時代から始めるのかといった――」


 コレだ。


 俺は続編を作るにあたってこの「どの要素を入れるべきか」で悩んでいたというのに、ここでも同じことが繰り返されようとしている。


 そもそも仕組みを理解していないのにシステムに組み込んでもしょうがないだろう。


「うーん、もう少し分かりやすいところからやりたいんだけど」


「と、言いますと?」


「俺さぁ、まだ“国づくりゲーム”を作ったことないし、全部自由にできるって言われてもよく分かんないんだよね」


「そう言われましても、完成の見込みができるまで元の世界には帰れませんが」


「うん、だからまずは作ったことがある街づくりゲームから始められないかなぁ、って」


「なるほど、一理あります」


「だろ? だからまずは市長になって街を」


「ではどうぞ、こちらに開拓者を用意しました」


 あー、そっちかー。爺さん廃人ゲーマーだもんな。そりゃ「あと1ターンだけ」のゲームもやり込んでるよな。シムなシティとか最新作で見限っちゃったよな。


「わ、わかった。じゃあとりあえず拠点を作れるところを探すことから始めようか」


 そう言って、俺はゆっくりと今いる場所を見回し始めた。


 先ほどは転移したばかりで確認できていなかったが、落ち着いてみると今いる場所は平原だ。右手には森が、左手には山が見える。後ろに見えるのは……水平線? 海があるのかもしれない。


「ところで、ここはどんな場所なの?」


「はい、東西に流れる川に挟まれた中洲のような場所です。と言ってもかなりの広さがありまして、東京ドームにするとおよそXXX(ピー)個分です。川は北側で繋がっており、南には海があります」


 なんで東京ドームの広さで表すんだろう。その大きさ、関東圏の住人じゃないと分からないからな。


 とにかくある程度の広さがあることはわかった。川や海を渡る手段があるわけでもないし、このあたりで拠点を作るしかない。何もないだだっ広いところで街を作った方がわかりやすいしな。


「じゃあとりあえず川を越えないくらいの場所で良いところを見つけようか」


 こうして、俺の異世界建国ライフは始まった。

東京ドームの個数はあとで必要な広さに応じて直すと思います。

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