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エレメンツ  作者: zero
第一章 アルミス国
4/4

ep3

 男の額には、銃口が向けられていた。

男の目の前に、茶色のロングコートを羽織り、左腰にこの世界では、全長一メートル程の直剣を携え、赤い布で頭部を巻き付け、左目と口元だけあらわにし、右手に黒い革の手袋を着け、銀色旧式の回転式銃を構えていた。

 旧式の銃のため、撃つたびハンマーを起こさなければ撃てない構造の銃が、今はハンマーを起こしていつでも撃てる状態で、男から1メートルも、離れていない距離に立っていた。


「い、一体なにを・・・」


 男は、冷や汗かきながらも、冷静を保ち尋ねたが、頭部に布を巻き付けた者は、微動だにせず無言で銃を向ける、左目の深紅の瞳が鋭い視線で、男を睨む。


「だ、誰か!衛兵を呼んで!!」


 セレナは、一瞬思考が固まったが、考えるより先に叫んだ、セレナは本能的に叫んでいた。

セレナの叫び声に、周りな人々は視線を向け、事態を理解した者は、近くにいる衛兵に伝えに走り、ある者は悲鳴を上げ逃げ惑う、だが事態を把握しきれないで混乱していた者がほとんどだった。

 ラファエルにも、叫び声や悲鳴など聞こえ、つい先程セレナと別れた所へ、視線を向ける。


「そこの女」


そんな中、銃を構えてた、布の者は平然とセレナに、声を掛ける、声からしてすぐに男だとセレナはわかった。


「お前だ、水色髪の女」


「な、なに?」


 セレナは、強ばりながらも答えたが、こんな人混みの中、昼間から堂々と銃を構える男の行動が予測出ない、何が目的かもわからない事に恐れたが、何より平然とし過ぎる男に恐れた。


「お前、何か無くしてないか?」


「・・・・・・へ?」


 全くをもって、何を言っているのか分からなかった、荷物は失ってはいない上に、何の事か分からなかった。


「質問が悪かったな、財布はちゃんとあるか?」


 銃口を、向けられている男は驚いていた、だがセレナは、そんな物と思い、財布を入れいたポケットに手を入れた。


「!?ない!!わたしの財布が!?」


 あるハズの、財布が無くなっていた。

初めての給料で買った、愛着のあるセレナの財布が無くなっていた。

遠くから見ていたラファエルにも、またセレナの叫び声が聞こえていた。


「はぁ?一体どうなってるんだ?」


 ラファエルに、案内されていた男は、ラファエルがセレナの方に視線を向けている間に、走り出した。

 ラファエルは、男が走り出したのに気づいたが、パンと乾いた音が聞こえた。

赤い布の男がラファエルの方に、狙いを変え撃った。

ラファエルは、すぐに気づいたが、何かが変だった、ラファエル自身に撃ったのではなかった。


「がぁ!!」


 走り出した男の足が、赤く滲んで倒れていた、赤い布の男が男の足を撃ったのだった。

先程から銃口を、向けられていた男はその隙を見て、腰の後ろに隠し持っていたナイフを、右手に持ち心臓目掛けて突き刺そうとしたが、ナイフを持ち構えた時すでに、赤い布の男は左手で襟元を掴み持ち上げ、右足を軸に左足を前に出し勢いを付けながら、石畳の地面に叩きつけた。

 体を強く、叩きつけれた衝撃は想像以上だったためか、男は失神し、懐から叩きつけられた衝撃で、大量の何かが出てきた、ほとんど四角く、中には長方形型の物もあった。

セレナの足元に、ピンク色の四角い物落ちてきた、セレナは見覚えがあった、いや、ないわけなかった。


「こ、これ、わたしの財布―――――――!!」


 セレナは、思わず叫んだ、何故自分の財布をと、四角物をよく見ると、みんな財布だった、気づいた人々達はどよめき初め、自分の財布だと分かった人は、驚愕し慌てて取り戻しに向かう。


「そこの金髪!聞こえるか!?そこで撃たれてうずくまってるクズを取り押さえろ!!この二人は組んでスリをしてる!!」


「な、何だって!?」


 ラファエルは、すぐに自分に言っていることがわかり、すぐに撃たれた男を見た、足を引き釣りながらも、逃げようとしている男にすぐに追いつき取り押さえた。

すると、走る足音が聞こえ、目の前をみると10人ほどの衛兵が駆け足でこちらに向かっていた。


「特務官殿!何事ですか!」


衛兵は、ラファエルの前に立ち止まり、荒息をたてながら尋ねた。


「スリだ、こいつとあそこに倒れてる奴も連行を頼む」


「はっ!直ちに!!」


「おい待て!!お前達が捕らえたら賞金が手に入らないだろ!!」


 赤い布の男は叫んだ、失神した男に手錠を掛けていた。


「賞金稼ぎか、安心しろ!この国では自分で手錠掛けなくても、証人か証拠があれば、お前が捕まえた事になる!!」


 賞金稼ぎ、未だ治安が不安定なこの世界で多くの犯罪組織が、多く存在し、世界各国の政府では手につけられない事が多く、賞金稼ぎに頼らざる得ない事も多くある。

その為、賞金稼ぎにも法が国によって違ってくるが存在する。

その一つとして、賞金稼ぎの手で手錠、拘束しなければならないが、アルミス国では、犯罪者を戦闘不能及び、事態鎮圧した賞金稼ぎ本人でなく他の者であっても証人、証拠さえあれば捕まえた事になる。

この場合、特務官であるラファエルはもちろん、大勢の人が証人となるため、成立する。

 衛兵は、赤い布の男の元に駆け寄り、男を連合した。

赤い布の男は、なに食わぬ目線で、連合して行った衛兵達を見たが、すぐに目線を変え、呆然と立つセレナに歩みより、ピンク色の財布、セレナの財布を右手で拾い上げ、差し出した。


「お前の財布はこれか?」


「は、はい」


 セレナは、自分の財布を受け取り、聞いた。


「あなたは一体・・・」


 赤い布の男は、真っ直ぐセレナの目を見て言った。


「ディレイク・リーク、ただ賞金稼ぎだ」

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