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SFSS

妻が二人いる。

作者:眼鏡くん
ある日、家に帰ったら、妻が二人いた。

ある日、家に帰ると家の電気が付いていなかった。
部屋は暗く、妻に声を掛けても返事はなかった。

リビングへ行くと、そこには妻がいた。
ダイニングテーブルに妻は下を向いていた。

「おい、電気も付けずにどうしたんだ?」
声を掛けながら、電気をつける。
ダイニングに、もう一人いる。

「あ、あ?ど、どうも、・・・」

間の抜けた声を出す。
妻を見ると、真っ青な顔をしている。

「?」

相手の顔を確認して、血の気が引いた。
妻と全く同じ顔なのだ。
その人も真っ青な顔をしていた。
いや、こちらが妻なのだろうか。

「貴方・・・」

一人の妻が口を開く。

「どう、見える?」

「・・・、お前よ、ふ、双子だったのか?」

戸籍も見たことがある。妻に兄弟はいない。
そんな筈がないことは分かっていたが、聞かずには居られなかった。

「「違うわ」」

二人同時に答えた。
妻たちが赫々云々、こうなった経緯について話した。

妻が外が晴れていたので布団を干して、
戻ってきたら部屋にもう一人の妻が居て、こちらを見て驚いていたとのこと。
もう一人が言うには買い物から戻ると戸締りを確認したはずの窓が開いていたので
驚いて近づくと、そこに妻が立っていたとのこと。

お互いに始めは冷静にいたそうであったが、
お互いが自分を妻であると譲らず、
最後には自分しか知らないであろう内容の質問を交互に
出していったが、すべての質問にお互いが答えることができたそうだ。
恐怖で何も言葉を発することが出来なくなり、
そうして、私、つまり旦那の帰りを待ったわけである。

「貴方なら本物がどちらか分かるかと思って待っていたの・・・」

疲れた頭には判断が付かないほどに、妻たちは似ていた。
似ているという表現では追い付かない。
全くの同じ人物が二人存在している。
見慣れた妻も二人いると言うだけで異質な物に思える。

本当に、どちらも妻の様に見える。
「・・・今日は、疲れてしまったし、明日にしないか」

仕事で疲れていて、さらに、今は夜である。
蛍光灯の照明の下では判断が出来ないだけなのかもしれない。
夢の様にも思えるし、明日になれば変わるのではないかとも思う。

不思議と何かを盗まれたり等の不安はなかった。

「「・・・、分かったわ」」

妻は残念そうではあるが、頷いてくれた。
お互いがお互いを一瞥し、一人は客間のベット、一人は寝室のベットで眠ることになった。
私は妻なのか分からぬ人とベットを共にすることは出来ぬので、リビングのソファーで眠ることになった。

朝起きて、リビングへ行ってみる。
妻は先に起きていて、キッチンでご飯の用意をしていた。
キッチンには、一人しかいない。
良かった。悪い夢でも見ていたのか。

「おはよう、昨日は変な夢を見たよ」
「そう・・・」

キッチンの妻を一瞥し、ダイニングテーブルに着くが
妻の席には妻が座っていた。

一瞬、瞬間的に移動したのかとも思った。
違う。やはり、昨日と同様、妻が二人いた。

目の前の妻は疲れた顔をしつつも、慣れた手つきでコーヒーを淹れてた。
差し出されたコーヒーを受け取る。
いつも飲んでいる濃さ。いつもの味だ。
こうも正確に味を再現できるであろうか。
こちらの妻が本当の妻のように思えた。

そこへ、朝ごはんが差し出される。

異様な光景だ。
妻が妻へごはんを渡している。

三人が揃って、朝ごはんを食べ始める。
妻はもともと攻撃的な性格ではないからか
完全に納得できてはいないようだが、悲しげではあるが
朝ごはんを食べている。

妻の箸、茶碗、マグカップ。
こちらはこちらの妻が使い、こちらはこちらの妻が使う。
仕草や癖も二人の妻は妻でしかなかった。

ゆっくりとご飯を食べ、
落ち着いたのか妻たちは少しだけ表情が明るくなっていた。

しかしながら、夢ではなかったのか。
まったくもって違いが分からない。

「明日は休日だから」と言うよく分からない理由を伝えて
私は会社へ向かった。

会社で働いている間も夢見心地で、妻たちが気になった。
こんな不思議な事あるのか。
幽霊なのか、宇宙人か。
病気か?生き別れの、何とやらか。


・・・、一体、どうしたらよいのだろうか。

仕事が終わっても、帰り道への歩みは足が重く感じた。
そして気が付く、一番可能性がある、
本当に生き別れの何とやらであれば、妻の両親に聞けばよいのではないか。

家について、妻たちに提案してみる。
妻たちは、すでにやったと言った。
母にも父にも聞いてみたが、何の冗談かと笑われて終わったそうだ。
真剣に話しても、訝しがられるだけで、返答の結果は変わらなかった、とも。

その日の夜。
一人の妻から、話しかけられた。
もう一人がいない状態だと。本当に妻でしかない。
妻以外に考えられないほどに、妻なのだ。

「私、あの人、私のドッペルゲンガーなのかと思うの」

「ドッペルゲンガー?」

「そう・・・」

ドッペルゲンガー・・・、聞いたことはある。が、
実際のところ、どういう存在か分からない。

妻に聞く。
ドッペンルゲンガーとは、妖怪やお化けのようなもので、
取りついた相手と全く同じ見た目をしていて、
そのまま三か月程経つとそのオリジナルと完全に入れ替わると言う。
周りは気が付かず、いつの日か、コピーであるドッペルゲンガー自身も
自分がオリジナルだと思い始め、ドッペルゲンガーであったことを忘れるらしい。

それが本当の事であれば、今いる妻が消えてしまうことになる。

「それを阻止するためには、・・・、ドッペルゲンガーを殺すしかないの」

怖いことを言う。
妻も相当参っているのだろう。
それはそうか、自分の存在を脅かすような存在と
四六時中顔をつきあわせているのだから。

一人の大人を養うと言うことは、そこそこ家計に影響があるようで
今月の家計簿はいつも貯蓄へ回していた分がそのまま消費されていた。

しばらくののち、一つの提案をされた。

「ころしてしまわない?」

この前声を掛けてきた妻か、違う方か。


本当にお化けかそんな存在であるのであれば、対峙しても良いかとも思うが
面と向くと、それは人にしか見えない。
感情のある、自分の妻なのだ。
殺すなんて出来る気がしない。

触ると暖かい、ただの人。
これが何か別の妖怪だ何て、想像が追いつかない。

次の月は収入だけでは足りず、貯蓄を削ることになった。

ドッペルゲンガー、一人を殺すと元に戻る。
戸籍も無いし、ばれやしない。
ただ、日常に戻るだけ。

その次の月は、さらに、確実に貯蓄を削っていった。

今までほぼ、三か月、どちらの妻も妻であったし、
どちらの妻が居なくなっても指して、問題があるようにも思えなかった。

それなので、妻を一人、殺した。
殺すと決めた日、初めに出会った方を殺した。

カレンダーを見ると、妻が二人になって、丸三か月、経っていた。

殺したドッペルゲンガーは消えてしまうと思っていたが
そのまま残り、私と残った妻はのこぎりを使い、
細かくして、冷蔵庫へ入れた。

殺してからしばらくたつが、何も変化の無い日常。
妻が二人いたことが嘘かの様におもえる。
冷蔵庫の中のドッペルゲンガーの肉が本当にあったことだと思い出させる。
その肉も残り少ない。
妻が少しづつ、捨てているのであろうか。
殺したことがばれたりもしない。
行方不明の人のいない。
妻は妻で、友人と会ったり、両親にあったりしているが
何事もないようだ。
やはりこちらの妻が本当の妻であったのであろう。




冷蔵庫の中の妻が無くなり、
丸二年がたった。

今でもたまに思う。
殺してしまった妻こそが、本当の妻なのではないかと。
そんなことは無いと思うが。

今日は息子が久しぶりに帰ってくる。


「ただいま~・・・え?・・・あれ?お母さん?いや、誰、ですか?」

玄関の方で息子の声が聞こえた。










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