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虚空の【セカイ】と魔女  作者: 白河律
古谷千鶴の事件簿 1 恋獄迷宮
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恋獄迷宮

 

 何故と、私は問い掛けます。

 私自身に。

 何故、あのひとを好きになってしまったのかと。

 その答えは返ってくる事はありません。

 ただ、私の胸の中で木霊のように跳ね返るばかりです。


 この想いは抱いてはいけないものでした。

 この想いは誰も幸せにしません。

 形にしてしまえば、実る筈の幸せを潰して、侵してしまうものです。

 私の大事なひと達を傷付けるだけのものです。


 それが分かっていてなお、私はあのひとを想う事を止める事が出来ません。


 どうか、どうか赦して下さい。

 あのひとを密かに想う事を。

 あのひとに想いを募らせる私を。


 それから――淡い夢を見る事を。


 私は思うのです。

 この想いはきっと罪なのだと。

 だから、私を苦しめ続けるのです。


 終わる事の無い、出口の無い迷宮を迷い――彷徨うように。


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