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虚空の【セカイ】と魔女  作者: 白河律
君が怪物になってしまう前に
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君が怪物になってしまう前に

君が怪物になる前に誰かの声、誰かの手が届く事を祈って。

 ひとり、夜の中で痛みを思い出す。

 眠りたいのに痛くて眠れない。

 ココロにわだかまる想いのために。

 幸福でなかったイツカを思い返して。

 くるしくて、いたくて叫びだしそうな想いを押し殺すようにして、震える身体を強く抱きしめる。

 やがて耐える事に疲れ果てて、ようやく眠りに付くために。

 そして――思うのだ。

 いつまで、こんな夜が続くのだろうと。

 わからない、わからないから苦しい。


 光が見たい。光が欲しい。


 夜の中で続く苦しみに耐えきれず、自身の不幸な世界に対して怒り、憎むココロに呑み込まれてしまう前に。


 コワレタイ。

 コワシタイ。


 ――怪物になってしまう前に。


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