五章 自身を殺す、その棺 あらすじ
自身を殺す、その棺
五月下旬、殻木田順平は体育の授業中に、クラスメイトの山岡響が不可思議な棺の前で倒れる姿を見た。
その不可思議な棺は――殻木田順平の他のクラスメイトには見えていないものだった。
魔女である虚木小夜に相談してみると、それは山岡響自身が生み出している怪異の可能性があるという。山岡響の前に現れる棺が怪異かどうか調べる為に、小夜に言われた通り休日に遊びに誘う順平。その誘いに頷く山岡響。
高校生らしい休日を過ごす二人。それを物陰から尾行し、山岡響の様子を小夜は伺う。
その中で山岡響は自分の現状を順平に話す。まるで、不可思議な棺に思い当たる節があるかのように。
山岡響は剣道が好きで長く続けてきた。けれどこれまで芽が出た事はない。きっとそれはこれからも変わらないのだろうと。そして一生懸命に打ち込んでいるものが芽が出ない自分が他の事、勉強や趣味でも果たして芽が出るのか?
果たして「何者かに」なれるのか?
「大人」として生きていけるのか?
漠然とした、けれども切実な不安。
小夜はそんな不安こそが、怪異としての棺を形作っているという。
未来の事なんて分からない。人生の大半をまだ、生きてすらいないのだから。
「これから」が怖い。その時間の中を生きていけるのか分からないから。
そんな友人を見つめる殻木田順平は、ふと自分の事を振り返る。
自分は「これから」変わっていけるのだろうか?
家族を亡くしてから、誰かを助ける事だけを胸に刻んで生きている自分は。
山岡響は不安を抱えたまま、剣道の試合へと臨む。その試合を通して自分の未来を、可能性を賭けるように。
その姿を順平は小夜と見守る。
しかし、その試合の結果は――
山岡 響
身長165cm 血液型A型 誕生日6月4日
白亜学園一年生で剣道部に所属している少年。昔から続けているが芽はあまり出ていない。その事で棺の怪異を見てしまう。
メガネを掛けていて、ラノベやアニメへの知識も深い。
イメージカラーは緑。
ゲームセンターに置いてある某ロボットゲームが上手い。
「自身を殺す、その棺」に初登場。