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虚空の【セカイ】と魔女  作者: 白河律
虚空の【セカイ】と魔女  イラスト 登場人物紹介 設定 章あらすじ
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一章 君が怪物になる前に あらすじ

本編の内容をサクッと知りたい方や、本編を手早く追いたい方向きです。

多少のネタバレあり。各章のゲストの登場人物紹介もあります。



   一章  君が怪物になってしまう前に


 幼い頃に、魔女であった母親を亡くした少女、虚木小夜(うつぎさよ)は母親と同じく魔女となった。

 時は流れて高校二年生となった小夜は、幼馴染であり同じ魔女である古谷千鶴(ふるたにちずる)の半ば嫌がらせにより、学校の生徒会長に。

 小夜は逆襲とばかりに古谷千鶴を副生徒会長として引きずり込むと、殆どの仕事を放り投げてお飾り生徒会長として、日々を怠惰に過ごしていた。

 そんな小夜を支えて辛うじて仕事させているのは、後輩の男子生徒の殻木田順平(からきだじゅんぺい)


 魔女である虚木小夜と、普通の少年である柄木田順平。

 本来なら交わる事の無いふたりが出会ったのは、五月の上旬である今から三か月前、二月の頃。

 ふたりはある怪異の引き起こした事件を縁にして出会った。

 穏やかに過ぎるふたりの日常。

 しかしその裏では、自身に降りかかった不幸に耐え切れず、怪異になろうとしている少女がいた。



 鈴木しぐれ――彼女はかつて幸せだった。父がいて母がいて弟のいる、ごく有り触れた家族。しかし父と母は離婚して彼女達、姉弟は母親に引き取られた。

 弟が重い病気に罹ると、母は医療費を稼がなくてはいけないという重圧もあり家には戻らなくなる。

 結局、弟の苦しい時、その死までを看取ったのは鈴木しぐれだけだった。

 彼女は殺してしまいたい程に母親を憎んだ。

 訳は分かっていても、弟の死にさえ立ち会わなかった母親を。

 そんな殺意にも似た憎しみが、少女の手を醜い〝怪物〟のものにした。

 鈴木しぐれは自分の抱いた憎しみを、怪物の手になる自分を恐れて家出し行方不明となっていた。



 普通の世界には怪異というものは存在しない。

 しかし小夜達の住む【セカイ】は普通の世界ではなかった。


 ここはかつて滅びた後に、それでも日常を過ごしたいと願った人々の意識の世界。この世界そのものが、ひとの祈りの成した奇跡の世界。

 ひとの心だけで作られた世界。

 ひとの心が成した世界故に、同時に不幸もまた昏い奇跡を生む。

 それこそが怪異。ひとの不幸という心の在り方の発露。

 日常を肯定される事で存在できるこの世界で、怪異は存在自体が人々に認知される事、また存在自体がこの世界を壊しかねないイリーガルなもの。


 そんな怪異を生み出している記憶ごと消去、刈り取りしているのが小夜達、魔女であった。怪異と同じく、自分の心だけで世界の理を書き換えられる万能の魔女の杖の力で。その力もまた、イリーガルなもの。



 同じクラスメイトで行方不明なった鈴木しぐれを、彼女の母親や友達に頼まれて、仮病を使い学校をサボり捜索を始める殻木田順平。

 学校を休んだ殻木田順平を気にしつつも、魔女として刈り取りの標的を鈴木しぐれに定める虚木小夜。

 過去に母親を亡くし、その後を追うように魔女となった小夜。かつて家族を事故で亡くし、その原因が自分にあるとして生きている順平。


 不幸に怒り、悲しみ怪異となりかけている鈴木しぐれに差し出されるのは非情な魔女の断罪か、あるいは心に咎を抱えて生きる少年の手か?


 怪物の手を持つ少女は――再び、日常へと帰る事が出来るのか?




鈴木 しぐれ


白亜学園の1年生。現在は学園に来ておらず数日前から失踪中。

幼い頃に両親が離婚して以来、母親は仕事にのめり込んでしまい体の弱い弟の面倒をひとりで観てきた。しかし母親がその弟の死まで病院に顔を出すことはほとんどなかったため、母親に対して怒りと悲しみが入り混じった強い想いを抱いてしまう。

そんな自分の想いに耐えきれず、家からも学園からも姿を消してしまった。


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