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ナンパ

「ゆうくん。わたし、ゆうくんといっしょにいられなくなっちゃった」


ゆづ姉は伏し目がちに言う。


「え? なんで?」


「わたし、とおくにいくことになったの」


「とおくって?」


「ここから、とってもとおいところ。だから、さよならしなくちゃならいの」


「そんな……いやだよ、いかないで、ゆづねえ」


「じゃあゆうくん、さよなら」


「ゆづねえ!」


俺はそこで目を開ける。


「ゆづ姉……」


――夢、か。ビックリした。


ゆづ姉が自分の前から消えてしまうと思うと、心が張り裂けそうになる。


11月も半ばに入った土曜日、俺はベッドから起きて、外出用の洋服に着替える。


――とりあえずCDをチェックして、それから本屋に行こう。


俺は階段を降りて1階に行き、洗面台の前に立つ。


歯を磨き、顔を洗い、寝ぐせを整える。


それから食堂へ行く。


「あら、悠雲ゆう。おはよう。ご飯出来てるわよ」


母さんが台所を掃除していた。


「うん。頂くよ」


俺は席につき、目の前にある丼を見る。焼いたスパムとアボカドが乗っている。


「母さん、何これ?」


「スパムとアボカド丼。食べてみて」


俺はスパムとアボカドを口に運ぶ。スパムの旨味にアボカドのとろけるような味わいが混ざり合う。


「あ、美味しい」


「そうでしょ? さすが珠季ゆづきちゃん考案のメニューね」


「これ、ゆづ姉に教わったの?」


「そうよ。ウチの味噌汁とか肉じゃがとかの味付けを教えたお礼にね」


「母さん、いつの間にゆづ姉と会ってるの?」


「あんたが出掛けたりバイトしに行っている時よ」


「そうなんだ」


「あ、でもあんた姫詩ひなたちゃんと付き合っているのよね」


姫詩ひなたとは、別れたよ」


「え?! 本当なの? それ」


母さんが驚きの表情を浮かべる。


「うん」


「どうして別れたの?」


姫詩ひなたを好きになろうとした、でもダメだった。俺が好きなのは姫詩ひなたじゃなくて、ゆづ姉なんだって」


「そう……悠雲ゆう珠季ゆづきちゃんにはウチの味の全てを仕込むから、しっかりモノにしなさいよ」


「……ん。わかった」


俺は丼を口に運びながら答える。


「じゃあ悠雲ゆう、頑張りなさいよ。今日なんていい天気だし、デートにでも誘えば?」


「今日は用事あるから。ごちそうさま」


俺は丼と箸をシンクにさげる。


「お粗末さま」


「じゃあちょっと出かけてくる。昼はどこかで食べてくるからいらない」


「そう。いってらっしゃい」


「行ってきます」


俺は家を出た。


駅前へ続く道を歩いて行く。


――本当にいい天気だな。ゆづ姉をデートに誘えば良かったかな?


そんな事を考えながら歩くこと30分。駅前に辿り着く。


土曜日とあって、いつもよりも多くの人が行き交っている。


携帯電話で何か話しながら歩いているスーツ姿のサラリーマン。手を繋いで仲睦まじく歩いて行くカップル。俺と同じように1人で歩いている同年代の少年。


マンウォッチングをしていると、見慣れた人影を見つける。


背中まで伸びたロングヘアの毛先に緩いウェーブがかかっている。


――あれ? ゆづ姉かな。


俺は近づいてみる。


――間違いない。ゆづ姉だ。


ゆづ姉の前には見知らぬ男が2人。日焼けした逞しい肉体の男たちだ。


「ねえ、良かったらこれからどこか行かない? 車もあるからさあ」


「そーそー。きっと楽しいよ」


「あ、あの~。私、友達と待ち合わせ……」


「じゃあその友達も一緒に行くようにしようよ」


男の1人がゆづ姉の肩を掴む。


「離してください」


ゆづ姉はその手を振り払う。


「あーあ、乱暴はいけないな。おい、車持って来い」


男の1人がゆづ姉の腕を取る。そしてもう1人は車を取りに行く。


「離してください」


「大丈夫大丈夫。きっと楽しいからさ」


――あいつら。


俺はゆづ姉の方に近付く。


珠季ゆづき。こんな所にいたのか」


「ゆう君!」


「ああ? 何だてめえは?」


男がこちらを睨みつけてくる。


「悪いな。彼女は俺の連れなんだ」


「だから何だよ? 今声かけているのは俺だ」


「彼女を離せ」


「いいぜ。俺を倒せたらなあ!」


男はゆづ姉を離すと、右の拳を繰り出してくる。


俺は入り身で拳を捌いて、鳩尾に思い切り拳を入れる。


「ぐ……」


男がヨロヨロと2、3歩下がる。


俺はすかさず男の顎を殴る。


男はヘタリとその場に座り込んだ。


珠季ゆづき。逃げるよ」


「え?」


「早く!」


「ええ」


俺はゆづ姉の手を掴んでその場を離れた。


しばらく走ったあと、ゆづ姉の手を離す。


「ゆう君。ありがとう。助かったわ」


ゆづ姉はそう言ってニコリと微笑む。


「あの手合はしつこいからね。無事でよかったよ」


「本当。あの2人のしつこさったらないわ~。私、何度も断っているのに、言い寄ってきたのよ~」


「ゆづ姉はその……奇麗だからさ。ああいう輩に狙われるんだよ」


「え……」


ゆづ姉は頬を染める。


「だから、気をつけてくれよ。今回はたまたま通りかかったからいいけど、次からは声をあげて真っ先に逃げてね」


「え、ええ……。ゆう君」


「なに?」


「その……珠季ゆづきって呼んでくれたわよね?」


「うん」


「もう一回呼んで」


ゆづ姉はそう言って顔を真っ赤にする。


「え……えと、さっきは咄嗟に言っただけで……」


「呼んで」


「……うん。珠季ゆづき


「えへへ……」


ゆづ姉は嬉しそうに笑う。


「そういえばゆづ姉。友達には連絡しなくてもいいの?」


「ああ、あれは嘘よ。本当は1人で買い物していたの」


「そうだったのか」


「ゆう君は?」


「俺も1人で買い物。CDショップと本屋に行こうと思って」


「じゃあゆう君。一緒に行かない?」


「え?」


「だって、私はゆう君の連れ、なんでしょう」


ゆづ姉はいたずらっぽく微笑む。


「……わかった。行こうか、ゆづ姉」


「あ、ゆう君。NG」


「え?」


「今日は、珠季ゆづきって呼んで」


「……ゆ、珠季ゆづき。行こうか」


「ええ♪」


俺はゆづ姉とCDショップへ向かった。


ショップに入ると俺はロックのコーナーに移動する。


「ゆう君は相変わらずロックが好きなの?」


「うん、相変わらずC'Zのファン。今日は新作のアルバムが出るんだ」


そう言って新作のアルバムを手にする。


「ゆづ姉……じゃなくて、珠季ゆづきはJ-POPだっけ?」


「うん。せいかつがかりが好きよ。新作、出てないかしら?」


「行ってみよう」


J-POPの売り場へ移動する。


新作の並んでいる場所を確認する。


「うーん……無さそうだけど」


「そうね~。あ、あったわ~」


ゆづ姉はそう言って売り場の端にあるCDを手に取る。


「ゆづ姉……じゃなくて珠季ゆづき、良く見つけたね」


「うふふ……これでも物探しは得意なのよ~」


「そういえば、俺が失くしたもの珠季ゆづきがよく見つけてくれたっけ」


「そうね~。よく探したわね~」


「あ、あれ覚えてる? 俺がリコーダー失くした時」


「覚えているわよ~。部屋中探したわね~」


「結局机の引き出しの裏側に落ちてたのを珠季ゆづきが見つけたんだよね」


「そうね~。ゆう君、適当に片付けるから」


ゆづ姉はそう言って笑う。


――やっぱり笑うと奇麗だな。


「ん? どうしたの? ゆう君」


「な、何でもない。じゃあ、レジに行こうか」


「ええ」


2人してレジに並び、商品の支払いを済ませる。


「次は本屋に行くけど、いい?」


「いいわよ~。ちょうど新しい料理の本が欲しかったし」


「じゃあ行こうか。珠季ゆづき


「ええ♪」


俺達はCDショップを出て本屋へ向かった。


「ねえ、ゆう君。手、繋いでも良い?」


「ん? いいよ」


俺は右側に立つ彼女に向けて右手を差し出す。


彼女は左手を差し出して、手を握る。


「あの時の傷、消えてないわね」


珠季ゆづきを庇って怪我をした時の傷跡が手の甲と腕にはハッキリと残っている。


「ん? まあ、結構派手に怪我したから」


「ごめんなさいね。私のドジのせいで……」


珠季ゆづきは沈んだ顔になる。


「気にしなくてもいいよ。それにしても、珠季ゆづきの手はほっそりしていて奇麗だね」


「ゆう君の手、大きいけど指も細くて、奇麗よ」


俺達は互いに顔を見合わせて笑い合う。


「はは……互いに綺麗綺麗言ってると世話ないね」


「ふふ……そうね。どちらも綺麗ということにしましょう」


「さて、本屋に行こうか」


「そうね。ねえ、こうしていると、どう見えるかしら~?」


「そりゃ、仲の良い恋人同士じゃないの?」


「恋人……。ふふ……そうよ、そうよね~」


ゆづ姉は上機嫌になる。


「嬉しそうだね」


「ゆう君は、私と恋人同士だと思われるの、嫌?」


ゆづ姉は上目遣いでこちらを見る。


「そんな事無いよ。俺、嬉しいよ」


「ふふ……。じゃあ、行きましょう」


「うん」


ゆづ姉と手を繋ぎながら本屋に向かった。


本屋に入るとそれぞれ興味のある本の売り場へ向かう。


ゆづ姉は料理の本、俺はコミックの売り場へ行く。


――なにか新刊はあるかな。


俺はコミックの新刊コーナーを端から端まで見ていく。


――あ、追撃の小人とクロスガンボーイ・ファントムが出てる。


俺はそれらの本を取る。


――他に何か面白そうなのあるかな?


既刊のコーナーを巡る。


「ねえゆう君」


「!」


いつの間にかゆづ姉が隣にいた。


「ゆう君はどんな本読むの?」


「お、俺は結構何でも読むかな。あ、これなんか面白そう」


俺が手にとったのは幼馴染同士の恋愛を描いた作品だった。


「ふーん。ゆう君。幼馴染と恋したいの?」


「え? えーと……もう恋しちゃってますというか……」


「ん? 何か言った?」


「い、いや。なんでもない! じゃあこれ買ってくるよ」


俺はゆづ姉と離れ、レジに並んで本を買った。


本を買い、ゆづ姉の下へ戻る。


珠季ゆづきは何を買ったの?」


「簡単に出来るお弁当レシピ。レパートリーを増やそうと思って」


「へえ。珠季ゆづきなら十分過ぎるくらいレパートリーありそうだと思うけどな」


「私なんてまだまだよ」


ゆづ姉は謙遜して笑う。


「あ、そうだ。珠季ゆづき。そろそろお腹空かない?」


時間は12時過ぎ、ちょうど昼飯時だ。


「そうね。もうお昼の時間だものね」


「もし良かったら、一緒にお昼食べない?」


「良いわね。どこに行こうかしら?」


「クオリアに行かない?」


「そうしましょうか。あ、ゆう君」


「なに?」


「手、繋いでも良い?」


俺はゆづ姉に微笑みかける。


「うん、いいよ」


ゆづ姉はおずおずと右手を差し出し、俺は左手を差し出す。


2つの手が絡み合う。


「えへへ……、ゆう君の手って、安心するわ」


「安心?」


「そう。優しく包み込んでくれるような……」


「そうかな?」


「そうよ。さ、行きましょう」


ゆづ姉はグイグイ引っ張って行く。


「ま、待ってよ」


「善は急げ、よ」


俺とゆづ姉は追いかけっこをするように駅前通りに戻り、一角にあるクオリアに入る。


「いらっしゃいませ。2名様ですか?」


――まずいな。


バイト仲間の津田のシフトだった。津田は営業スマイルを浮かべながら俺達に対峙する。


「はい」


ゆづ姉が答える。


「ではこちらにどうぞ」


津田の脇を抜けて席に行こうとすると、津田に肘で小突かれる。


「おい、彼女か?」


「違うよ。幼馴染」


「なんだつまらんな。せっかくからかいの種が出来たと思ったのに」


「そのうち彼女になるかもな」


「マジか? 楽しみにしてるぜ」


俺はゆづ姉の対面に座る。


「あのウェイターさん、ゆう君の知り合い?」


「ああ。バイト仲間」


「そういえばゆう君。ここでバイトしているんだものね~」


「ところでゆづ姉。何にする? 俺はハンバーグセットにするけど」


「私はこのキノコの和風パスタにするわ~」


「わかった。すいませーん」


俺は津田を呼ぶ。


「ご注文はお決まりでしょうか?」


「ハンバーグセットと、和風パスタ」


「畏まりました。それでは少々お待ちくださいませ」


津田はオーダーを取ると、カウンター奥の厨房の壁のコルクボードにオーダーを書いた伝票を貼る。


珠季ゆづき


「何? ゆう君」


「いつまでこうやって呼べばいいの?」


「今日はずっとそれで」


「ええー。もう慣れなくて、身体が痒くなるんだけど」


「ゆう君。私の事、名前で呼ぶのがそんなに嫌なの?」


ゆづ姉は伏し目がちに言う。


「い、嫌じゃないけど、ずっと『ゆづ姉』で通して来たわけだし……」


「いつか、貴方のお姉ちゃんを卒業する時が来るかもしれないじゃない?」


「そ、それって……もしかして、珠季ゆづきが俺の彼女になってくれるの?」


「うーん……それはこれから次第ね」


俺はガックリっとテーブルに突っ伏す。


「何だ……期待して損した」


「ゆう君。大丈夫よ。きっと近いうちに、ね」


珠季ゆづき?」


「な、何でもないわ~。あ、ゆう君、デザート、頼まない?」


「俺はいいよ」


「じゃあ私はティラミスにしようかしら。すいませーん」


ゆづ姉はウェイターを呼び、ティラミスを追加で注文する。


珠季ゆづき


「何? ゆう君」


「俺の事、本気で考えてくれない?」


「……そう、ね。ゆう君。もう少し時間を貰えるかしら」


「……わかった。色好い返事を期待してる」


「ええ」


「お待たせしました。ハンバーグセットとキノコの和風パスタです」


津田が注文した品を持って来る。


「じゃあ珠季ゆづき、食べようか」


「ええ。いただきます」


ゆづ姉はパスタを口に運び、俺はハンバーグとご飯を口に運ぶ。


ハンバーグは肉汁たっぷりでジューシーな味わいが広がる。


「ふむ……」


ゆづ姉はパスタを一口食べてなにか考えている。


珠季ゆづき。どうしたの?」


「バター醤油の味に、これはかつおだしかしら……」


どうやら料理の分析を始めたらしい。これを始めたら最後、終わるまでは口を出さない方がいい。


俺は目の前のハンバーグセットに集中した。


「ふう。美味かった」


俺はハンバーグセットを平らげる。その頃ゆづ姉はまだ半分ほどパスタが残っていた。


「あ、ゆう君。ごめんなさい。私分析に夢中で……」


「いや、いいよ。ゆっくり食べて」


「ありがとう。ゆう君」


ゆづ姉はニッコリと笑う。


――綺麗だな。


ゆづ姉の笑顔を見てそう思う。


「ゆう君。どうかした? 私の顔に何か付いている?」


「いや、綺麗だなと思って」


「も、もう。ゆう君、恥ずかしくなるような事言うのはやめて~」


「はは……ごめん。でも、綺麗だよ、珠季ゆづきの笑顔」


「……」


ゆづ姉はボンッと顔が真っ赤になる。


「ゆう君の意地悪」


そのまま残りのパスタを掻っ込む。


ゆづ姉の食事が終わると、頼んでいたティラミスが運ばれてきた。


「ゆう君。私だけデザート食べちゃって良かったの?」


「いいよいいよ。気にしないで」


「ありがとう。じゃあ頂くわ~」


ゆづ姉はティラミスを一口含む。


「……もぐもぐ、美味しいわね」


「そう? ここ、デザートも力入っているから」


「ゆう君も食べる?」


「いや、俺は……」


「はい、あーん」


ゆづ姉はスプーンにすくったティラミスをこちらに差し出す。


「……あーん」


俺が口を開けるとスプーンが口の中に入ってくる。


スプーンからティラミスを舌ですくい取り、口に含む。ほろ苦い味わいの中にほのかな甘味が口の中に広がる。


「美味しいね」


「そう? じゃあもう一口行く?」


「いやいやいや。もういいよ」


「そう? 遠慮しなくてもいいのに」


ゆづ姉はそう言ってティラミスを食べていく。


そして食べ終わると、満足そうな笑みを浮かべる。


「ふう、ごちそうさまでした」


「じゃあ、行こうか」


俺は伝票を取り、レジに向かう。


「お勘定はいかがなさいますか?」


「一緒でお願いします」


「え? ゆう君」


「はい。2120円になります」


俺は2120円丁度を支払う。


「丁度ですね。レシートになります。ありがとうございました」


俺は津田に礼をしてゆづ姉と店を出た。


「ゆう君。悪いわ。払うわよ」


「いいのいいの。今日付き合ってくれたお礼」


「……わかったわ。ありがとう、ゆう君」


珠季ゆづき、俺は帰るけど、珠季ゆづきはどうする?」


「私も帰るわ」


「じゃあ行こうか」


「ええ」


駅前からゆづ姉の家への道を行く。


「ゆづ姉」


「あ、こら。まだ『珠季ゆづき』でしょ~」


「いい加減にしてくれよ。慣れなくて困るんだよ」


「ダメです。今日は『珠季ゆづき』で通すこと」


「わかったよ。珠季ゆづき


「何? ゆう君」


「今日は楽しかったよ。珠季ゆづきは?」


「私も楽しかったわよ。何て言ってもゆう君に『珠季ゆづき』って呼んでもらえたし」


「……無理やり呼ばせていただけなんだけどなあ」


「……何か言った?」


ゆづ姉はニヘラと笑う。


「い、いや、何でもないです」


「よろしい。ゆう君、来るべき日のために『珠季ゆづき』って呼ぶのに慣れておいてね」


「来るべき日って、珠季ゆづきが俺の彼女になってくれる日?」


「……そうね。ゆう君。悪いんだけどもう少し待ってもらえる?」


「俺はいくらでも待つよ」


「ありがとう。ゆう君」


そんな事を話していると、いつの間にかゆづ姉の家の前まで来ていた。


「じゃあゆう君。またね」


「またね」


俺はゆづ姉と別れ、家路についた。

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