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12月4日 清水夫妻取材

 12月4日、天候晴れ。しかし、寒い。

 取材のために、YLさんより、清水渉さんと司さんをお借りしました。

 12月4日。晴れながらも肌寒い今日この頃。私、澤鐘日花里は本日、清水夫妻と喫茶店で待ち合わせをしています。11月30日にこのうろな町にて結婚式を挙げられたお二方。しかも、どちらとも学校の先生と言う事で、話題性に溢れているこのご夫婦ですが、



「いやー、緊張しますねー! 司さん! 私達の事が本で取り上げられるなんて!」



「う、うるさいぞ、渉。……ったく、何が緊張するだ。相手側から質問音内容を予め聞いて回答を作っているだろうに……。私は知らないのだぞ」



「いやー、そこは司さんの戸惑っている姿を見て楽しもうかなーって思ってですね」



「お、お前は……。まったく式やその後の大騒ぎで色々宣言してもそのノリは変わらんのか。まあ、お前らしくはあるからそれでもいいが……」



 と、目の前で男性と女性の2人が言い争っている。男性は夫の清水渉さんで、女性が妻の司さんの2人なのだろうけれども……目の前でイチャついていらっしゃると、いつ口出しすれば良いのか分からないからこ、困ります。ただでさえ、気が弱くて、面接とか苦手なのに……。



「え、えっと……司さんのコスプレ写真数枚を持っている渉さんと、実は猫と一日モフモフしていたいと思っている司さん。

 ――――――――――ちょっと、質問の方をよろしいですか?」



 私の言葉にビクリと肩を震わせる渉さんと司さん。そしてお互いにこそこそと話し合っているお二方。え、えっと話を聞いて貰えると言う事でよろしいでしょうか?



「……ま、まずは御二人に質問なんですが、お二人の最初の印象と今の印象についてお願い出来ますか?」



 と聞くと、まずは私からだと言いたげに渉さんが声を出す。



「司さんの裸体は」



「わー、その事は話題に出すなー!」



 と、意気揚々と語ろうとする渉さんの口を塞ぐ、顔を赤くした司さん。そんな一悶着があった後、御二人が語り始めました。



「ちいさ……すいません。もう言いません。

 活動的で元気な人だなーっと。今の印象と言うかそれ以降について語るとのろけ話でこの雑誌終わると思いますが」



 と、渉さんが言い、



「適当にまとめろ。最初は何か妙に馴れ馴れしい新人だなーってくらいだな。……まあ正直、少し気味が悪かった」



 と司さんが言うと、いきなり土下座をして司さんの方を向く渉さん。



「産まれて来てごめんなさい。」



「冗談だ、冗談。まあ、でも途中から結構ドキッとさせられることも多かったし、どんな状況でも頼りがいのある所は素敵だと思うぞ」



 と堂々と司さんが言うと、渉さんは急に真剣な顔をしたかと思うと、私が用意したボイスレコーダーを指差してこう切り出した。



「……すいません、その録音している音声後でください。家宝にします」



「涙流さんでいいから、さっさとまとめろ!」



 え、えっとと私が困っている中、渉さんが言葉を続ける。



「俺はもう始めの1週間くらいで彼女の人間的な優しさというか大きさというかそういうものにやられちゃいましたし。教師としても人間としても、その真摯さは本当に見習いたい部分です。あと、デレた司さんはめっちゃエ」



「はい、いいこと十分言ったからこれで終了!!」



 と、色々と聞きたい事を聞く前にそう質問を止められてしまいました。まぁ、これでも十分な内容ですので、大丈夫と言えば大丈夫なんですが……。



「え、えっとでは司さん。御二人には既に双子の赤ちゃんが居るとの話ですが。そのー……赤ちゃんを授かったご感想を……」



「ふむ、そうだな……」



 と考え込む司さん。そして途切れ途切れですが、想いを語ってくれました。



「……嬉しいと言えば、嬉しいな。こんなバカでも、私の大事な人で、その大事な人との証があるのだから。でも、少し不安だな。

 私みたいな未熟者が2人もの人生をこれから背負って行くと言う事がな。まぁ、そう言う意味でも……人間として、親として成長したいな」



「な、なるほど……」



「私の方もそうですね。家族を大切にするために、今以上に頑張らないと」



 と、渉さんの方も語ってくれました。当初の予定ですと、母親である司さんだけのコメントを貰うつもりでしたが、このコメントは普通に良いコメントですので貰って置きましょう。



「けど、あれだな。司さん」



「……ん? どうした、渉?」



「避妊は大切ですよね、やっぱり!」



 と、決め顔で言った渉さんは、すぐさまその決め顔に司さんによって木刀を突き付けられてしまって青い顔になっていきます。え、えっと……その顔はお前が言うなと言うサインでしょうか?



「で、では……。渉さんに質問します。幸せを勝ち取った喜びについて……」



「そうですね。では、今から司さんの美しさについて1時間ほど!」



 そして長々と話し始める渉さん。顔を赤くした司さんは止めてくれそうにない。

 こ、これは長くなりそうですね。え、えっと……こう言う時は……。



「……び、B-25?」



「……! え、えっと直澄や子供達に直接言いかったんだけど、まぁ、良いか。

 ……大変だけど、頑張ればそれだけ大切なものが手に入る。恋もその他のことも基本は同じだと思う。ただ何かを失ったとしてもそれは終わりじゃない。進めなくても諦めない事がとにかく大事」



 こ、これは良い事が聞けた気がしますね。い、良いですね。良い感じですね。



「司さん、サイコー!」



「え、えっと……最後の質問です。お二方に質問なのですが、こ、今後の生活について何か一言、お、お願いします」



 と聞くと、お二人は考え込んで、御二人はそれぞれ会話を出す。



「まぁ……そうだな。来年は1年間産休なのだが、皆。気軽に遊びに来てくれよ」



「新連携担当の直澄をフォローしながら、これからもうろなを盛り上げて行くのでよろしく!」



 とそう言ってくれました。「え、えっと……あ、ありがとうございました」と私は言って、頭を下げてラブラブな二人の前から逃げるのでした。

 1月号の特集は、

【うろな町長の新年の一言】

【日生千秋君に聞く! 美味しい御餅活用術!】

 を予定しております。

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