月刊うろNOW 6月号(2)
【特集;6月の花婿】
6月と言えば、六月の花嫁。そう、結婚式が多く出回る季節です。ここ、うろな町でも去年、清水渉様と梅原司様が結婚なされ、大いに賑わっています。
結婚式とは女の子の憧れであり、そして夢でもあります。しかし、もう片方の結婚なされる方、花婿はどう言った心境なのでしょうか?
今回はそんな疑問を解決すべく、今、このうろな町で最も愛されている男性、十六夜零音君に話を聞く事に致しました。零音君はこのうろな町でなんと3人の女の人と恋人の関係を結んでいます。所謂、三股なのですが、本人からしたらそんな気持ちは全くなく、ただただ純粋にその子達を大切に思っているらしく、なおかつその子達も彼の事を想っているらしいです。なんと言うハーレムなのでしょう。
彼に話を聞くと、「結婚とは人生の墓場だと思われているがそうではない。その子達との出逢いや想い出をさらに感謝し、なおかつ結ばれるために必要な行為である」と仰いました。まさしく素晴らしい垂らし……いえ、イケメンなのでしょうか。では、もしその3人の誰かと結婚するとしたら誰と結婚するかと聞きましたら、「誰かに優劣を付けるのは不純な行為だ。大切なのは想い合う心。私は3人ともそれだけ想っている」と言う熱いお言葉を頂きました。
しかし、彼の道はいばらの道です。なにせ、日本では重婚も一夫多妻制も認められておりません。それにも関わらず、どうやって3人の女の子を幸せにするのでしょうか? それに対して、彼はこう答えました。
「それはこれからの私の頑張り次第! 彼女達の願いを出来る限り叶えたい!」との事でした。こんな彼に想われて、彼女達は嬉しいでしょうね。
結婚は女の憧れであると同時に、男にとってもまた重要な場所かもしれません。
記者;澤鐘日花里
#なお、清水夫妻については【月刊うろNOW 創刊号】をご覧ください。
【ここは魔物町 作;二人羽織】
【ここは魔物町 その7 大和撫子】
ここは魔物が住まうのもま町。多くの魔物が住まうこの町で、今日も今日とて平和で、どこか可笑しい毎日が繰り返されている。
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この晴れ渡る空の下の今日、僕、明星ジャックは旅館にてスーツに身を包んで相手を待っていた。僕はジャック・オ・ランタンと言う妖怪で、かぼちゃのような顔と黒いマントを羽織った西洋の妖怪である。そんな僕はのもま町にある旅館、『雪女旅館』で見合いを行う予定となっている。お相手はどう言う人かは分からないけれども、ろくろ首の妖怪に連なるお嬢様と聞いている。
「ろくろ首、かぁ……。どんな感じなんでしょう?」
と、僕は頭の中で彼女がどう言った感じなのかを考える。ろくろ首とは色白の肌と清楚な容姿に性格を持った本当に大和撫子と言う言葉が相応しい、長い首が特徴の妖怪なんだと言う。そしてお見合い相手の方に関しても、僕の家族が見た感想ではとっても美しい美人さんとの事だそうである。そんな方とお見合いが出来るなんて光栄である。
「けれども、どうしてお見合いの写真を見せてくれないんだろう?」
そんな優良物件ならば、その美しい顔を見せればもっと良い見合いが来ると思うのだけれども。まぁ、受けてくれるのもありがたい。僕からしてみれば嬉しい事この上ない。さぁ、来るのを待とう。
――――――10分後。
ま、まぁ、あちらさんも準備があるのだろう。もう少し待とうじゃないか。
――――――20分後。
よ、よーし。ちょっと準備運動でもして時間を潰そうじゃないか。別に話が込んでいると言う訳では無いんだし。
――――――さらに30分後。
「…………」
――――――それから10分後。
「って、流石に遅くないか!」
僕はいつまでも来ないお見合い相手に少々苛立ち始めていた。いくらお見合い相手が美人だとしても、ここまで待たれてしまいますと印象も悪くなる。
「まだ来てないのかよ! くそっ!」
僕はそう思いながら、もう帰ろうかと思って座敷の扉を開ける。するとそこには、まさしく美人と言う言葉が似合う女性がそこに居た。派手なオレンジ色の薄い水着のような服を着た、胸も腰も尻もボンッ、キュッ、ボンッと言う言葉が似合う美女であった。しかし、そんな彼女には一番大切な物が欠けていた。彼女には大切な部分である顔が欠如していた。
「へっ……?」
と、僕は首のない彼女を見て驚きを隠せなかった。
「や、やだ////// あ、あんまり私の身体をそんな目で見つめないでください//////」
「へっ?」
そして上から響く声に気付いて、ゆっくりと頭を上にあげる僕。そしてそこに居たのだ。
「こ、こんにちは////// は、恥ずかしくてちょっと出るのが遅れまして……//////
私、ろくろ首の美弥と申します。どうぞ、よろしくお願いします//////」
そこには顔を真っ赤にしてこちらを見る可愛らしくて、美しい女性の頭があった。
ろくろ首は、首が長いタイプから、首が自由自在に飛んでいるタイプがある事を僕が知るのは、気絶した後だった。
【次回へ続く】
【DoMA 作;黒口穂波】
【5体目 超常タロット研究部との戦闘、なのです!】
僕、土田琢磨の目の前で宙に浮かぶ眼鏡をかけた男子高校生、後藤いろははこちらを見てニヤリと笑っていた。
「可笑しいなぁ。報告ですと、土田琢磨君には仲間は居ないと言う事だったはずなんだけれどもね? なのに、【新世界剣道部】まで仲間に入れちゃって……。場合によっては【第2魔術部】の人達は【廃院】送りかなぁ?」
と、良く分からない単語を言いながら後藤は、こちらを下等な者でも見るような目で見て来る。
「【超常タロット研究部】……。聞いた事がないような部活動ですね」
「……そもそも彼以外に部員が要るかも分かりませんし」
宮本は疑問符を浮かべるように首を傾げて、佐々木は「一人だけの同好会か」とバカにしているのだった。僕達の通う文釣高校は部活動が多いが、その4割近くは1人、もしくは2人と言う弱小部なのである。佐々木は【超常タロット研究部】がその4割近い弱小部であると言いたいみたいである。
「くっ! 言わせておけば! 確かにうちの【超常タロット研究部】の部員はわたくしだけですよ。けれどもそう言う、【新世界研究部】もあなた達以外に部員は居ない、弱小部のはずだろう? 大変だよなぁ、まぁ、同じ弱小部のよしみでそいつさえ渡せば許してやろうじゃないか」
ククク、と笑うように言う後藤いろは。そんな後藤の言葉に対して、宮本と佐々木はそれを聞いて「はぁ……?」と言う。
「4つある剣道部のうち、大会で優勝しているのはうちの【新世界剣道部】だけなんですけどね? だから【超常タロット研究部】のような、名前も実績も無いような部活と一緒にしないで欲しいなぁ。ねぇ、佐々木?」
「……そうですね」
「ぐっ!?」
その言葉を聞いて、何だか図星を突かれたように言う後藤。そして怒ったような顔で、宮本と佐々木の2人を見て、そしてその2人に守られている僕を見つめていた。
「そんな2人に守られてるキミには、私から罰を与えよう。行け、戦車!」
彼はそう言って、飛んでいる21枚のカードの1枚を放つ。そのカードはこちらに回転しながら向かって来て、そしてこちらに向かって来る中で大きな戦車のような物がカードから現れ出でて、こちらへと向かって来る。そして向かって来たその大きな戦車が向かって来る。
「なっ……!」
「危ない……!」
僕に向かって来た戦車を防ぐために、佐々木が木刀を持ってその木刀で戦車にぶつける。戦車は佐々木の木刀によって、地面へと倒される。
「いきなり戦車とは……驚いた」
「けど、それで終わらないからこそ、わたくしはあなた達を倒すための者として呼ばれたのだ。節制!」
後藤はまたしてもカードを、今度は佐々木が倒された戦車にぶつかる。そして戦車にぶつかると共に、戦車から大量の水が出て来て佐々木を吹っ飛ばす。
「夜見!? き、貴様ー!」
「宮本さんにはこれだよ。行け、死神と悪魔!」
佐々木が倒された事で怒りを露わにして自身に襲い掛かってくるのに対して、後藤はさらに2枚のカードを出して放つ。それは空中で鎌を持った死神と、黒い筋肉質な身体を持った悪魔に変わり、宮本の太刀筋を止める。
「くっ!?」
「いくら剣が凄くても、死神と悪魔をそう易々と突破は出来まい。さて、最後に貴様には、あのいけ好かない奴らの主には、これを授けよう! 喰らえ、力と吊るされた男!」
どうしようと迷っていた僕に、後藤が2枚のカードを投げつける。そしてその2枚のカードは途中で消え、その途端物凄い重みとなって僕にのしかかる。僕はあまりの重さに耐えきれず、地面に倒れる。そして縄のような物で足を縛られる。
「くっ……!?」
「「主!?」」
倒れた僕を助けようとこちらに向かって来る2人だが、タロットから現れたものに邪魔される。
「くくっ。力のタロットによって重力を強くし、さらに吊るされた男によって足を縛った。これで使ったカードは6枚、残りは15枚だからこちらの圧倒的優位だ!」
ハハハっと高笑いをする後藤。そんな後藤を見ていると、身体の中からアリスが話しかけてくる。
【おい、土田琢磨!? ヤバくないか!? ObFLの宮本焔と佐々木夜見の2人が機能してないし、それにあいつの手札は半分以上残っているのだろう? 危険じゃないか?】
(そ、そうだな)
【……お前の記憶から察すると、あいつの使っているのはタロットではないか? お前の記憶の奥底にちょっと残っていたからな。それを再構成して、22枚の情報は手に入れたがな】
そう言って、アリスはそのタロットの名前を羅列していく。
【愚者、魔術師、女教皇、女帝、皇帝、教皇、恋人、正義、隠者、運命の輪、塔、星、月、太陽、審判、そして世界。使っていないが存在しているタロットと言うのは後16枚だったけれども、あいつが使えると言うのは15枚。数が合ってないように想うんだけれども】
(確かに……そうだよね……。1枚足りないよね)
けれども最初に飛んでいたのは、21枚。彼が使っていると言ったのは21枚で合っていたから、別に可笑しいと思わなかったのだけど……そう聞かされると少し変ではある。
(じゃあ、その肝心の22枚目はどこに……)
【恐らくだけれども、その最後の22枚目は彼の頭上でひしひし、と存在しているよ。まぁ、それに関しては普通の人間には見えないがな。よし、今、見せてやろう】
(えっ、ちょっ……?!)
【ほいっ】とアリスが言うと、いきなり後藤の頭の上に『XXI』と書かれたカードが現れる。
(いきなり……別のタロットが現れた……)
【多分、使っている当人は知らないと思うけどね。多分だが、他の21枚を実体化しているのに精一杯で、22枚目の"あれ"については気が付いてないようだけどね。あれについては明らかに他とは一線を隔しているし、あれを操る事さえ出来ればこちらの勝ちだ】
(でもどうやって……)
【忘れていたのか? こちらには命令権と言うものがあるじゃないか】
そう言って、僕の手に【命令権】と言う、何でも命令出来ると言うカードが現れる。
【さぁ、狙え。お前に死なれると、色々と面倒だし……。お前にはもう少し興味が出て来たから今、死なれるのは面倒なんだから】
(あ、あぁ……。分かったよ。うん)
僕はアリスの意図を組みながら、後藤の頭の上の宙に浮かぶ『XXI』のタロットへと飛ばす。そして手に持った命令権をその『XXI』のタロットへと飛ばす。
【命令! 撃退せよ!】
僕はそう言って、『XXI』のタロットへと飛ばすのであった。そして命令権がタロットに当たると共に、タロットが赤い光に包まれる。赤い光に包まれたタロットカードは、彼の頭上にて嫌な音を立てる。そして嫌な音を立てながら、後藤へと襲い掛かって、後藤の身体がボキッボキッと言う音を立て始めていた。
「なっ、なんだっ?! う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
そしてそのまま、後藤の足と腕が嫌な音を立ててそのまま倒れ伏した。
【今だよ、土田琢磨。2人を連れて逃げろ。悪魔やら戦車やらは、もう彼の支配範囲からは逃れたみたいだよ】
アリスにそう言われて、宮本と佐々木の2人はタロットによる攻撃は止まっていたのであった。
「……よし、一旦逃げよう。行こう、宮本さん! 佐々木さん!」
「「御意!」」
そう言って、僕と2人は【新世界剣道部】のある第4剣道場から逃げ去るのであった。
【次回へ続く】
【今月のおまけ】
え、えっとこ、こんにちは? あっ、おはようとかこんばんはと言う方もいらっしゃいますよね、ごめんなさい。わ、私、この度『株式会社・兎山』の新入社員になりました布浦歌風って言います。今回は私が大大大大尊敬する兎山課長よりこのような、自己紹介の場を設けさせていただきまして、私の自己紹介をさせていただきます。
私がこの『株式会社・兎山』を志望した理由は、うろな町のために何か自分なりに出来る事を探していた所、この会社、つまり『株式会社・兎山』と出会い、自分なりに出来る行為をやってみたいからです。そしてその夢は少しずつ形になりつつあります。
目に見える成果をすぐに皆様の元にお届けすると言う事はまだ出来ない若輩者では御座いますが、これから精進しつつ、皆様の力、そしてうろな町のために出来る事をしたいと思っています。今後とも、よろしくお願い致します。
記者;布浦歌風
【来月号について】
7月号はうろな夏祭りについて、それもアイドル目指してまっしぐらの飯田夏音さんに取材をお願いしております! さぁ、アイドルよ、夢へと羽ばたけ!
そして夏と言う事で『株式会社・兎山』のメンバーの、海に関する想い出を伝えます。
来月号もお楽しみに!