6月4日 私が秘密を知りたがる理由
6月4日、天候晴れ。
「これで取材も出来ましたし、後はまとめるだけですね」
と私、澤鐘日花里は取材内容をまとめながら、6月号の執筆を行っていた。今回は天波香さんと十六夜零音君の2人に取材を行っていて、2人から情報を得た。けれども今回の2人はあまり取材として良い物だとは言えない。
天波香さんには人の上に立つための努力の大切さ、そして十六夜零音君には6月と言う事でジューン・ブライドの事を聞いてみたんですが、その取材内容は微妙すぎであった。天波香さんが語る内容は当たり障りの内容で取材をまとめても独創性と言う物が感じられない、良くある内容になってしまいましたし。十六夜零音君の場合は、あんなに可愛い子達に囲まれながら、ただの惚気しか聞けませんでしたし。
「……今回の内容はちょっと微妙になりそうですね」
私はそう思いながら、取材した内容をちゃんと文章化しておく。私としては天波香さんの特殊な家庭事情やら、十六夜零音君の彼女達の正体を文章にしておいた方が余程良かったんじゃないかと思っているくらいである。
「まぁ、そんな事をやったら私の命が危ないんですけれどもね」
私は情報を集めたがる。その人が知られたくない事から、その人自身が知らない事までありとあらゆる全てを集めたがる。それは別に情報を集めるのが趣味だとか、生きがいとかそう言った事では動いていない。私が情報を集めている理由、それは一重に私が生きるためである。
この世にはブラックボックス、つまり触れてはいけないような物が数多く存在する。そんなブラックボックスに触れないようにするには、そのブラックボックスが一体どう言う物なのかを知る必要があるのだ。不用意に触らないためにも。
だからこそ私は、情報を集めまくる。大した事は無い情報だとしても、味方を変えればジョーカーになったりするかも知れないからである。
「さて、7月号の取材はどうしましょう?」
来月号である7月号の取材をどうするのかも考えておかないといけませんね。私のような取材はただでさえきちんと情報を集めて置かないといけないのですから。
そうですねー……。そう言えば、7月の5日に夏祭りがあって、そこにうちの会社の誰かが参加する予定だった気がします。そして、うちがプロデュースしているアイドル、飯田夏音さんも出番があるような気がします。うろな町には海の家もありますが、ここは7月号丸々飯田夏音特集にしましょうかね。それか、夏祭りのどちらか。
「どちらにしても新しい情報が手に入りそうで、ワクワクが止まりませんね」
私はそう、ニコリと笑いながらそう思っていた。
飯田夏音、天塚香、十六夜零音を名前だけお借りしました。