5月27日 知り合いってキャラ濃いよね
5月27日、天候晴れ。
「全く持って最悪としか言いようがない。マジで最悪だ」
と俺、赤城正義の前で『株式会社・兎山』のアイドル業務担当の忘路光世はそう言ってがっかりしたような顔でこっちを見ていた。
「どうしたんだ、光世さん?」
「正義……か。実はな、飯田夏音をアイドルにする計画があると言う話は知っているだろう?」
と、俺にそう話を振って来た。その話は『株式会社・兎山』にて有名な二大プロジェクトの話である。俺や川西帆乃夏などの『株式会社・兎山』編集担当を中心とした『月刊うろNOWプロジェクト』、そして忘路光世や『株式会社・兎山』アイドル業務担当を中心とした 『うろな町の未来ある若者を応援しようプロジェクト』の2つがある。飯田夏音をアイドルにすると言うのはその後者のプロジェクトの事である。
「それで飯田夏音だけを売り出すのは果たしてどうなのか、とうちの課長に忠告されてな。そっちのプロジェクトに夢を追いかけてくれそうな人が居るかと質問してみた訳だ」
「要するに飯田夏音以上に良い人材は無かったか?」と言う話らしい。まぁ、確かに飯田夏音がちゃんと望む結果を出してくれるとは限らない。それ故に色々と試行錯誤しているとの事だそうだ。
「まず、川西帆乃夏に聞いてみたが、どうも彼女の知り合いは堅実な奴が多く、大抵の者は就職に成功していて、なおかつ就職出来てない奴らも弁護士や地方公務員と言った奴ばかりで正直つまらない。逆に澤鐘日花里は何故か知り合いの人数が不気味と思えるくらい多くて逆に不安に思ったくらいだ」
「まぁ、確かに不安だなぁ、そりゃあ」
まぁ、とりあえずその2人の知り合いにお目当ての人物は居なかったとの事。
「じゃあ、今年入った新入社員の布浦歌風さんは? 新入社員ならば知り合いで就職出来てない人が居ると思うけど?」
最近は就職氷河期と言われるくらい就職できていない人が多い。そう言う知り合いが1人や2人居ても可笑しくないと思うし。
「あぁ、布浦さんは……どうもあんまり友達が居ない、社交的ではないタイプだったらしい。正直、友達も多くは無いらしい。まぁ、あの性格なら……」
「あぁ、なるほど……」
と俺と忘路は顔を見合わせた。
「「あの兎山課長に恋するくらいだしね」」
あれさえなければ、普通に良い子だと思うのに……。何故、課長なんかに恋をするのか。ある意味、『株式会社・兎山』の中での一番の謎と言っても過言ではない。
「と言う訳で、ちょっと正義にも質問しよう。プロジェクトに名前を挙げても構わない、夢に燃える若者の知り合いが居ないかい?」
「……残念ながら知らないなぁ。ちょっと知り合いに今年就職する親戚が居るか居ないかを聞くくらいしか思いつかない」
「あぁ、まぁ、その程度だな。私もそうだし。まぁ、とりあえず聞くだけ聞いてみてくれよ。こっちも困っているんだ」
まぁ、黒口先生と恋愛坂先生にも聞いておこう。俺はそう思った。
「まぁ、もしもの時は御手洗城の知り合いに助けを求めるよ」
「御手洗さん?」
「あの人の知り合い、ヤバいのの宝庫だから」
御手洗さん……光世にここまで言わせるってどれだけヤバいのと付き合って来たの?
寺町朱穂さんより、飯田夏音さんを名前だけお借りしました。