5月23日 変態とSとM
5月23日、天候雨時々くもり。
俺、御手洗城はかなり理解度のある男だと自負している。
俺は昔から変な奴らに絡まれる傾向があった。小学校の時はストーカー気質の男性とヒーロー気取りの女性と6年間同じクラスで友達として接し、中学校の時はロボットを1人で作り上げるほどの天才と中学校一のバカのどちらも保護者(勘違いしないように言っておくが友達ではない。保護者感覚だ)として接していた。高校と大学ではさらにはゲーマー男性と魔女と呼ばれた少女なんかと友達となったし。まぁ、ともかく俺が会って来たのは一筋縄で判断出来ないような、そんな奴らだった。そんな普通じゃない、一癖も二癖も、いや一味も二味も違うような奴らだった。
そんな人間達と接して来ていたから、俺は多少人間の変態性に耐性があった。
まぁ、そんな俺でもちょっとこいつの異常性には若干引いている。
「御手洗君! 一緒にドメスティックバイオレンスな事をしないかい!? それも濃厚な奴!」
……ちなみにこの言葉を言ったのは、俺の担当する作家。良い風に言えば、俺が売り出そうとしている奴。悪い風に言えば、俺の金づる。そんな作家先生が俺の前でいきなり暴力を容認するような、逆に暴力を促すような発言をしてくるのだろうか?
「……いや、二人羽織先生。ちょっとどうしてそのような発言が出て来るんだ? 次回作の作品のための資料集めとして必要ならば、ちゃんとそう言った資料を集めて置くよ。澤鐘日花里が持ってそうだし」
「ち、違うよ! さっき、SM診断したら変態性が88%、M度が7%、S度が5%だったので、本当にMかどうかを調べて置こうと思って」
「……そりゃあもう、ただの変態じゃねえか?」
M度とS度の差なんてほとんどないぞ。そう言えば昔俺もやった事があったな。あの時は確か……S度が高いと言う事しか覚えてないんだが。まぁ、そんな事なんて想い出さなくても良いか。
「だから、ちょっと確認の意味で……」
「昔、S過ぎる奴とM過ぎる奴も会った事があるが、あいつらは灰汁が強すぎるから何とも言えんな。正直、先生の方がいくらかマシだ。まぁ、しいてあげるとすればMらしい気質を持っていると思うがな」
そう言うと、先生は「ほほぅ……」と嬉しそうな顔でこちらを見ていた。
「良きかな、良きかな。その御手洗君の友達を見せて欲しいよね。御手洗君が会った人達は、私の琴線に触れるようなヘンテコな奴らばかりだからね」
「今度会わせてくれよ」と言う先生。それに対して俺は、「そうだね」と曖昧な返事をするしかなかった。
だってあいつらは……
会いたくても会えないのだから。