5月2日 恋愛坂胡桃の初対面
5月2日、天候晴れ。
恋愛坂胡桃先生。それが新しくこの俺、赤城正義の担当となった作家先生の名である。代表作は可愛い女の子達が働くお店を舞台とした漫画、『萌え注文、入りました!』と空の旅と一緒に可愛い女の子達との出会いを楽しむ『恋愛CA』など、胡桃先生の描く作品は可愛い女の子達が魅力的な作品である。月刊誌や週刊誌なんかでも、描く女の子が魅力的な漫画家が居るが、胡桃先生はそう言った作品を描く、人気作家である。
黒口穂波先生がオールマイティに色々な作品で活躍している有名作家なのに対して、恋愛坂胡桃先生はとあるジャンルに置いて成果を発揮する有名作家である。黒口穂波先生と恋愛坂胡桃先生の作風は違うけれども、どちらも有名作家であり、多くのファンが居る方なので、月刊うろNOWに入ってくれて本当に嬉しく思っている。
(まぁ、俺も編集者としてしっかりしないとな)
そう思って俺は恋愛坂胡桃先生のマンションの前に立ってそう思っていた。黒口穂波先生のマンションも色合いがしっかりとしていて立派だったのだが、恋愛坂胡桃先生のマンションもしっかりとしたマンションである。今の時代、こんな高級そうな鍵付きマンションを1人で借りられているとは……。しかも集中したいからと言って、わざわざこのマンションの1フロアを全て自分名義の物に変えたらしい。
「漫画とかだと、お嬢様とかがやってそうな事だから本当に素直に凄いと思うよ」
まぁ、7階建てマンションのわざわざ4階のワンフロアを借りているのはどうしてなのかは激しく聞きたい事の1つではあるが。その時の俺は、ただただ会える事が嬉しくてそれ以外の事は考えなかったのである。
「っと、ここか……」
俺は『403』と書かれた部屋番号を確認し、再度表札を確認する。
「『青峰春恋』、合ってるな」
青峰春恋とは、恋愛坂胡桃先生の本名である。まぁ、黒口穂波先生のように本名のままやっている作家先生の方が珍しいし、この前の輝き閃光先生だって本名は別の名前であったし。
「―――――――よ、よーし。入るとするか」
俺はそう言いながら、チャイムを鳴らした。チャイムを鳴らして数秒後、ドタドタと小さな音が聞こえてゆっくりと扉が開かれる。
『はーい。ちょっとお待ちくださいね』
そう言う声が聞こえたと思ったら、ゆっくりと扉が開かれる。ゆっくりと開かれた扉から、1人の女性が現れる。
緩くロールの巻いた黒髪の右半分を1つ長く括っていて、胸元に金色のブローチを付けている水色のワンピースを着ている美少女。黒い眼鏡をかけたその美少女は、こっちを見てうっとりした眼で見つめて来た。
「はーい♪ ようこそ、来てくださいましたね、編集者さん! わ・た・し・が、彼の有名な恋愛漫画家の恋愛坂胡桃こと青峰春恋でーす! ピース!」
……そう言う彼女を見て、イメージとのギャップを感じる俺だった。