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4月25日 新入社員の恋の芽生え

 4月25日、天候くもり。

 『株式会社・兎山』の社員である布浦歌風(ふうらかふう)は、沢山の書類を持ったまま、ビルの中をうろついていた。布浦歌風は今年入って来たばかりの新人である。志望動機はうろなのために何か自分なりに出来る事を探していた所、御社、つまり『株式会社・兎山』と出会い、自分なりに出来る行為をやってみたいとの事である。

 癖っ毛のある金色の髪、牛乳瓶の瓶底のような眼鏡。子リスを思わせるような可愛らしい顔立ちと小柄な背格好。薄い海色を思わせるスーツ服を着た彼女。そんな彼女は今、月刊うろNOWのための書類を持って会社内を走り回っていた。


「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」


 彼女は沢山の書類を抱えたまま、一所懸命に荷物を運んでいた。


「ちょっと……重い……かも」


 そもそも彼女はそんなに力があると言う訳では無く、その上小柄であるため前が見えずに戸惑っていた。それ故、


「あっ……!?」


 彼女は階段を上ろうとして足を踏み外してしまった。勿論、それはあまりにも多すぎる書類のせいで足元が見えなくなってしまったのが、大きな原因ではあるのだが。


(や、やばい!)


 そう思った瞬間――――――――――彼女の身体がふんわりと止められる。そして、かけられる優しい声。


「大丈夫かい? こんなにいっぱいの書類を1人で運ぶのは、流石にきついだろう。私も手伝わせて貰おう」


 優しい声と共に、彼女が持っていた書類が持たれる。そして、一気に開かれる視界。そして、開かれる視界と共に、見えてくる優しげなその男性の姿に、


「さぁ、仕事を終わらせようじゃないか、新人君?」


 ――――――――私、布浦歌風は初めて、恋と言う物を経験した。

 ――――――――私の瓶底眼鏡の下の瞳は、彼の兎のような顔に釘付けだった。


「ふぁぁぁぁぁ//////」


 彼女は恋する乙女の表情をしていたのだが、兎の顔を被った兎山課長はそんな新人さんの姿を見ていなくて、書類を運ぶ事に集中していた。

 副題、『新人さんは残念さん?』

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