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4月23日 赤城の今後

 4月23日、天候雨。

「はぁ……これで十分ですね」


 と、俺は『株式会社・兎山』にて、資料を整理していた。4月号にて輝き閃光先生や、他の先生達と交流する事が出来た。これで別誌に移動したとしても、輝き閃光先生は機会があれば『株式会社・兎山』でこう言う事をしたんだと、記憶に残った事だろう。

 俺が上機嫌で担当資料を用意していると、目の前に居た御手洗城が話しかけてくる。


「おぅ、赤城。ちょっと良いか?」


「何ですか?」


「お前に言いたい事があってな。この前の4月号、俺の担当している二人羽織先生を盛り上げてくれただろう。二人羽織先生から、ありがたいって言ってくれと言われてな」


 それはそれは……。俺としては、輝き閃光先生の良い思い出作りになれば良いなと思って提案しただけであり、そのために二人羽織先生を利用したみたいな事になっているので、非常に申し訳なく思っているくらいなのだが。


「俺は自分の担当の先生のためにやっただけだ。御手洗さんと何も変わらないよ」


「そうか。……それでも嬉しいと思っているから言わせてくれ。ありがとう」


 ぺこりと頭を下げる御手洗さん。それに対して非常に申し訳ない気持ちになる俺。まぁ、彼の言う通り気にしないのが良い方向だと思うがな。


「それにしても、うちの中でも一際異彩な立場になったな。赤城は」


「……と、言うと?」


 そう言いながら、真っ白な紙を取り出して、書き記して行く御手洗さん。


「赤城は最初、黒口穂波先生の担当だったんだろう? 新人であの難解なベストセラー漫画家に挑むと言うだけでも凄い事だろ? それが次は輝き閃光先生に移ったと思ったら、また、今度は黒口穂波では無い、別のベストセラーの漫画家先生の担当だろう?

 普通の人間だったら、この時点でてんやわんやだぜ」


「まぁ、そこは仕方ないかなーって……。俺しかやる人が居ないのならば、やるしかないとは思ってる」


 「まぁ、くれぐれも気を付けてやりな」とそう言って、御手洗さんは担当である二人羽織先生の所へと向かった。


「俺の今後、か……」


 少なくとも、課長の頭の中では体の良い繋ぎの担当と言うイメージが強いんだろうなと俺は、自分をそう評価する。でも良いのだ。


 あの料理家、日生千秋さんも言っていた。


『繋ぎは大事です。ハンバーグで言うと、崩れないように溶き卵を使うんですが、そのつなぎがしっかりしてないと肉崩れしますしね』


 繋ぎは大事な作業であり、漫画家の編集担当と言う仕事も、普通の人の目には映りにくい仕事だとしてもそれをしっかりやる人間が居るからこそ、確かな眼として良い作品になるのだから。


 俺はそう思いつつ、新しく担当となった漫画家さんの家へ足を運ぶのであった。

とにあさんより、日生千秋君を借りました。

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