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4月7日 入社式は悩みどころ

 4月7日、天候くもり時々晴れ。

 ――――――――――4月7日。うろな町にある学校では、始業式が始まろうと言う頃。『株式会社・兎山』の月刊うろNOW担当の課長、兎山則之(うさぎやまのりゆき)


「はぁぁぁぁぁぁぁ……」


 物凄い溜め息を吐いていた。溜め息を吐くと幸せが逃げて行くと言う噂があるが、それが本当だとしたら兎山課長の溜め息は自身の幸せ全てを逃がすくらい、大きな大きな溜め息だった。


「はぁぁぁぁぁぁぁ……」


 と、もう1回物凄い溜め息を吐く兎山課長。既に幸せは全部逃げて行き、逆に不幸を身に取り込んでいるんじゃないかと思うくらいの兎山課長は、今一度、この物凄い溜め息を吐く原因となった新聞を見ていた。そこには、悩みの種とされているあれ(・・)の世間の反応が現れていた。


『消費税5%から8%になって、1週間! 就職氷河期ならぬ、就職砂漠期に突入!』


「最悪ですね……」


 兎山課長が頭を悩ませているのは、消費税の増加と就職難のさらなる悪化についてである。ただでさえ、優秀な人材が多い大学生達も、3年からの就職活動が4年からの就職活動になってしまったりして、就職がやばくなっているのである。『株式会社・兎山』でもその就職難の影響を受けている。

 いつもなら最低でも20人程度の就職希望者があって、その全員を就職させているんだけれども今回は10人しか応募が無く、実際に就職して来たのは8人くらいである。


「いつもの半分しか、応募が来なくて残念だよ。しかも、こっちに回される人材が――――――たったの1人とはね」


 それにもっと重要なのは、月刊うろNOWにて連載中の作家の1人、輝き閃光先生である。『夜空の一番星』で人気の彼が5月号を最後にこの月刊うろNOWから去る。『夜空の一番星』が不人気だからとかでは無く、別の漫画誌での連載と共に新作と『夜空の一番星』を携えて別の漫画誌でデビューが決まっている。『夜空の一番星』の続きはその漫画冊子にて連載を続けるそうだ。

 それは仕方ないと言えば仕方ない。彼が移ろうとしているのは、月刊うろNOWとのような地方誌とは違う部数もある場所の月刊誌であり、行きたいと思っても普通である。まぁ、最も


「その埋め合わせをするのが、漫画界と言う物だけれども」


 しかし、彼にも困った者だ。

 このせいで担当である赤城君になんと報告したら……。


「まぁ、赤城君には新任の漫画家さんの編集担当に移って貰おう。幸い、彼が担当していた、黒口穂波先生と同じある意味のカリスマ的漫画家だから相性も悪くはないと思うし」


 一度、黒口穂波と言う人物を乗り越えた赤城正義君。君の事は私はかなり評価しているのだ。


「その評価通り、今回の作家さんも大変だから覚悟してね」


 と、兎山則之はそう呟きながら、平謝りの練習を始めるのであった。

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