3月17日 オヤスミ
3月17日、天候くもり。
―――――あの3日間の旅行から帰って来てからしばらく経った3月17日。
私、黒口穂波は休みとして与えられた一月をどう有効に使おうか迷っていた。この一月の休みは4月号が特別編成のため、『ここは魔物町』の二人羽織先生以外の先生は休みなのである。私はこの一月の休みをどう扱うかどうか悩んでいた。
(まぁ、昔は休みを貰っても漫画の設定やら、プロットを考えていたのに、今では休みに何するか考えるようになったとは……。私も成長したのかな?)
そう思いながら、メモ用紙を取り出して私は考えを書きこんで行く。
「ええっと……まぁ、一月休みがあるからと言っても、あまり遠出をする訳にはいきませんね。けれどもこの前、温泉で休みを貰ったから温泉に行くほどじゃないなぁ……。特別買いたい物があるかと言われれば、そう言うほどでもないですし。何をしたら良いでしょうかな……」
うーんと言いながら、私は紙にとりあえず頭の中に思い浮かんだ言葉を書き連ねて行く。ふと、書かれている言葉を私は確認する。
「"剣道部"、"宇宙同盟"、"陰陽師"……。"研究"、"最初の宇宙人"、"隕石"……。
ダメですね。どう考えても、私が書いているのはこの先のプロットですか」
本当に私はダメですね。公私混同をしていて、仕事とプライベートを分ける事が出来ない。だからこそ、こう言う長期の休みをいただいた時にどうするか迷ってしまう。
「漫画家として今は高い評価を貰えている私だけれども、公私混同の人物はどんな時代でもいつも悲惨な結末を迎えている」
織田信長。
ナポレオン。
平家。
どの時代にも傲慢な者―――――――つまりは公私混同の人物は居る。そう言った人物達は天下を手に入れても、必ずと言っていいほど落ちる。その落ちるのがいつなのかは分からないけれども、今のままだと私はそうなる可能性がある。
そうならないためにも、
「傲慢な事をせず、質素な暮らしをしながら、日々を過ごす事に徹すると致しましょう」
私はそう言いつつ、慌てて休みの日程作りを再会した。