3月7日 折原遊紙に対する考察
3月7日、天候曇り時々晴れ。
「はぁ……。遊紙さんは良い人なんだけれどね……」
私、黒口穂波は買い物をしに、少し肌寒い道を歩いていた。コートを着て長いマフラーを二重に巻き付けて首元から寒い風を防いで、可愛らしい手袋を付けてレジ袋を持って道を歩いていた。
レジ袋の中には、夜食で食べるために買ったお弁当とお茶が入っている。本来であれば作家の私では無く、担当の折原遊紙さんが買って来るのが普通なのだが、今日はちょっと気分を入れ替えたいと自ら言って外に出て来たのである。
「本当に激動の日々だったわよね……」
と、私はこれまでの、折原遊紙さんが来てからの活動を思い起こしていました。
折原遊紙さんは確かに優秀である。赤城正義君は精神面に置いて優秀な人物だとは思うけれども、折原遊紙さんは編集的な面で優秀な人物でした。何が足りないかを指示する前に、既に何が必要か分かっているかのように資料を用意する。まさしくプロフェッショナルな人物だと言って良い人物である。
(けど……)
彼女の編集の仕方は、私には合わないと思う。ちゃんと声をかければ返事もしてくれるし、質問すれば考えてくれる。私と言う人を見て、きちんとどうすれば良いか考えてくれる。
「でも、あれじゃあ、まるで……」
"人形"である。




