2月27日 初顔合わせ
2月27日、天候晴れ。
久々の雪模様ではなく、太陽が差し込んだ今日この日。
俺、赤城正義はまだまだ日が射している寒い道を沈んだ気持ちで歩いていた。今日は『輝き閃光』先生との初の顔合わせである。
「はぁー……」
今までは『黒口穂波』先生の担当であったが、何故か兎山課長に3月号から担当を変えられたのである。折原遊紙の担当と。
そして折原遊紙が『黒口穂波』先生の担当となり、代わりに俺が遊紙が担当していた『輝き閃光』先生の担当になってしまったのである。いや、別にいつまでも『黒口穂波』先生に拘るのは良くないとは思う。漫画家は別に『黒口穂波』先生だけでないし、色んな先生と関わる事で見えて来る道がある。担当を変える事によって、先生の漫画も良くなるかもしれないし。
けれども、だとしても今回の担当変えは急だったと思う。普通、担当を変える際はあらかじめ言った後、先生との会話と新しい編集さんへの引継ぎがあるのが基本である。しかし、今回はそれも許されずに、いきなり『輝き閃光』先生の元に行くように指示された。
『引き継ぎは自分に任せて置いて』と兎山課長に言われて、大人しく従っていたが何か可笑しいのは確かである。けれども、課長に逆らう訳にもいかない。
「まぁ、唯一の心残りは『黒口穂波』先生にきちんと挨拶が出来なかった事くらいかな」
それだけが俺の心残りであった。けれどもこれで会えなくなる訳だけではない。会おうと覚えば、いつだって会う事は出来る。だから俺はそこまで心配はしていなかった。
「さて、ここ、か」
と俺はそう言いつつ、大きな高級そうなマンションを見ていた。そして部屋番号を入力して、『輝き閃光』先生を呼び出し、開けて貰う。そして、『輝き閃光』先生と会える事を俺は楽しみにするのであった。