2月25日 御手洗城とプロット
2月25日、天候晴れ。
俺、御手洗城は『株式会社・兎山』の自分の机にて、自分の担当である『二人羽織』先生の3月号のプロットを見て溜め息を吐いていた。
「何、これ? いじめ?」
と、俺はそう言って、ある程度の添削をしたプロットを封筒にしまう。
「えっと……どうしたんですか、御手洗さん?」
と、目の前でプロットを見ている赤城正義がそう聞いて来る。
「それ、御手洗さんの担当のプロットですよね? なんで、それを見ていじめなんだなんて……」
「聞いていたか。まぁ、プロットを見せるくらいならば構わんな。良いか、貸すが絶対にそちらの先生のネタに使うじゃないぞ? まぁ、毛色が全然違うがな」
そう言って、俺は赤城に先程しまって置いたプロットを渡す。それを見て赤城は顔をしかめて、そして溜め息を吐いた。
「これって……御手洗城さんが担当している『二人羽織』先生の漫画のプロットですよね? それなのにこのプロットはちょっとどうかと思うんだがな」
「一応、3月号のプロットだ。男性妖怪と女性妖怪のデートの話であり、本来であれば漫画のプロットとは絵のはずなんだがな」
そう言って俺が赤城から取り上げた『二人羽織』先生のプロットは、文字の一覧である。男性の妖怪と女性の妖怪が文字で表現されており、ストーリー構成も文字で行っている。漫画のプロットとは思えない字の多さである。
「これでは……評価したくても評価出来ないんじゃないんですか?」
「まぁ、要するに慣れだけれどもね。『二人羽織』先生のプロットはいつも文字なんだよ。だから何とかしないといけないと思っているんだけれども。直すようには言っているんだけれどもね」
「どうにも話をきいてくれなくて困ってるよ」と言って、俺はそう言う。
「そっちも頑張れよ」
俺はそう、細菌編集長によって担当が変わった赤城を慰めた。
「は、はぁ……」
本人はあまり聞いてないみたいだけれどもね。