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1月25日 CS4.8

 1月25日、天候くもり。

 CS4.8先生こと金色堂祐希(こんじきどうゆうき)は、21歳にしては恵まれている、ツイている漫画家だった。



 彼が絵を描き始めたのは中学1年生の12歳の頃であり、それから3年間の独自の絵の練習とストーリー構成を学んで、まあまあの技術を持った漫画家に成長したのである。そして、彼はとある漫画雑誌に自身の作品を応募した。結果は佳作、連載には程遠いとの判断だった。評価内容としては、『絵のクオリティは高い。しかし、残念ながらストーリーの内容に面白みが欠ける』との事だった。

 その時に送った漫画は少女漫画だった。送った会社が少女漫画を中心とした会社だったからである。とある高校に通う主人公(女)がいつものように1人で下校していると、不良達と戦う一匹狼の少年と出会い始まる物語であった。はっきり言って普通過ぎる少女漫画であり、それだから佳作になってしまったのだろう。



 その当時、祐希は高校に合格したくらいの歳であり、編集社は今後の成長の期待を込めて、祐希とメールを交換した。そしてその後の度重なる編集者のアドバイスによって、祐希は『死亡予定少女』と言う作品を投稿出来るようになった。そのアドバイスをくれた編集者と言うのが兎山課長である。



 そして彼が17の時、兎山課長(その時は別の会社に勤務していたが、その時も課長だった)が自分と同い年の少女を紹介した。それが今、彼の恋人となっている川西帆乃夏である。



 最初は彼の漫画に対して毒舌しか吐かず、描いている当人すらバカにしていた彼女であるが、度重なる苦難を共に乗り越えて行く事によって彼と彼女の仲は親密になり、今の関係性となったのである。



 そして、太陽が見えないくもりのこの日。



「さぁ、祐希君。出かけましょう?」



 そう言うのは、明らかに気合の入ったオシャレをしている川西帆乃夏。普段は眼鏡であまり使用しないコンタクトレンズで瞳を大きく見せ、さらに明らかに高級そうな白いワンピースドレスに身を包み、そして清楚な感じのする小さなハンドバックを持っている。いつでもデートに出かけますよと言う感じの格好で、祐希の部屋の前に現れた彼女を見て、未だに寝間着姿の祐希は



「ハハッ……。そうだね、ちょっと待っててね」



 と言って、部屋の中へと戻る祐希。



(今日は部屋でのんびりとしたかったけれども、仕方がないか。たまにはこうやって恋人らしい事をするのも良いだろう。今日はいつも以上に彼女に尽くそう)



 祐希はそう言いつつ、部屋の中で外に出かけるための準備を始めた。外で待っている彼女が寒くないように出来るだけ急いで。

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