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1月22日 彼女のターニングポイント

 1月22日、天候晴れ。

 うろな高校の調理室。そこでは、日生千秋は澤鐘日花里を見ていた。この前と違って、今回は澤鐘日花里が調理を行っていた。



「ジェ、ジェルって言うのは……科学を用いた調理技術なんですよ」



 そう言いつつ、日花里は寒天にお酢を入れる。



「お酢を入れる事によって、寒天は完全に固まらずに半分くらい固まった状態の事を言う。スイーツにおいて、ジェルと言うのは一種の策略の1つであり、1つの手段なのだよ」



 そう言いつつ、お酢を入れた寒天を冷蔵庫へと入れる日花里。それをほぅー、っと見ながら、千秋は見ていた。



「え、えっと……何故こんな事になっているのですか?」



「―――――――君の調理精神は変ですから、大人としてアドバイスをと思ってね」



 と、日花里は千秋にそう言っていた。



「……昔、私は調理でそれなりの好成績を残しているんですね。スイーツでは、並ぶ者なしと言われるくらいには、私は凄い好成績を残している。

 けれども、そんな私が調理では無く、記者になったのは1人のフードライターのおかげである」



「フード……ライター……?」



「彼の書く文章は、私のお菓子の評価をさらに上げた。本物以上に本物らしい。本物を的確に言い表したそれは、私の評価をあげてくれた」




「へぇ……それは凄いですね」



 素直にそう千秋は褒めた。人の心に残る物は全て凄いと思っているからである。文章で、スイーツの味をさらに高めたそれは素直に凄いと思ったからだ。



「私はそれに感動しました。

 ……食べてない人でもよだれが止まらないなんて、私でも出来るかどうか微妙なラインでしたから。……私は数人のために調理する道よりも、大勢の人に響く記事を書く事に興味が出た。故に、スイーツ職人、通称パティシエの道は諦めました」



 そう言いつつ、冷やしていたジェルを取り出して、一口大に切ってある苺やミカンなどを色鮮やかにおいて行く日花里。



「……私は、スイーツが大好きです。作るのも好きですし、食べるのも好きです。そして、記者になった今でも、調理関係には出来るだけ関わって行きたいと思っています。

 ――――――――日生千秋さん。あなたにはその意思が感じられない」



「…………」



「『子供だから』。その言い訳が通じるのは、本当の子供のうちだけ。プロでは通じません。あなたが"あの程度"の想いで、調理の道を進んでいるのでしたら、私は断固として許せません。

 ……一度、考える事をお勧めします」



「私は……」



 「それは持って帰って良いですよ」と、日花里はそう言って出来上がったスイーツを千秋に渡した。

 それを一口食べる千秋。



「……あれ? 甘いはずなのに、なんだかしょっぱいや」

 とにあさんより、日生千秋君をお借りしました。

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