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1月10日 千秋君、地雷を踏む?

 1月10日、天候雨。

 冬の雨と言うのは、気分が憂鬱な1月10日。うろな高校の調理室にて、日生千秋と澤鐘日花里は向き合っていた。

 その理由とは、日生千秋に対する取材である。



「きょ、今日はお餅の活用法について、ご指導、お願いいたします」



「はい。分かりました」



 お餅の画期的な調理術。今日はそれを取材する為に、澤鐘日花里は日生千秋に取材をしているのである。



「今日はお餅の肉巻きを作ります。スタミナだけではなく、美味しさも兼ね備えた、お手軽な料理ですよ」



 そう言いつつ、お肉とお餅、調味料を取り出す日生千秋。



「その間に、ちゃんと取材も答えてくれると嬉しいですが……」



「はい、大丈夫ですよ。なんでも聞いてくださいな」



 そう言いつつ、柔らかいお餅を1つずつちぎって丸める千秋。それを感心しつつ、1つ目の質問に入る日花里。



「ま、まず、千秋さんが料理に目覚めたきっかけはなんでしょうか?」



「そうですね。子供っぽい負けず嫌いな理由なんですが、おじに教わって作った料理がイマイチおいしくできなかったので悔しかったんですよ。それが理由ですかねー……っと、醤油に付けておこうね?」



 そう言いつつ、醤油に小さく丸めたお餅を付けて、醤油をきちんと浸す千秋。



「では、次の質問です、ね。2014年の目標が何かあったら教えて欲しいのですが……」



 手をタオルで拭きつつ、「そうですねー……」と考える千秋。



「将来の進むべき目標を見つける。でしょうか? 何になりたいのかわからないんですよね」



「へぇー……。意外ですね。料理に関係する仕事に就くとかあると思っていたんですけれども?」



「そうなると良いんですけどねー……」



 「さて、そろそろかなー」と言いつつ、醤油に浸しておいたお餅を取り、それを油をひいて温めて置いたフライパンで焼き始める千秋。



「好きな事を仕事にする。それって、簡単なようで難しい事だと思うんですよ。『好きこそ物の上手なれ』なんて言葉はありますけれども、それでもやっぱり続ける事は簡単な事では無いですしね」



「……」



「結局は、才能のある人が何でもやってしまうんですよ。それがこの世の真理、なんですよ。そりゃあ、続けたいから出来る限りは努力はしますがね」



 そう言って無理した笑顔で答えつつ、焼いたお餅をさっとお皿の上に載せて、そのまま冷まし始める千秋。冷ましたお餅を肉で巻いて、先程のフライパンで熱を通して、



「はい、完成。お餅の肉巻き。さっと出来る上に、お餅の新しい食感が出て美味しいですよー」



「……千秋君。最後の質問です」



 と、そう言いつつ、先程までとは打って変わった態度で、真剣な態度で、澤鐘日花里は日生千秋に質問をする。



「……2013年に千秋君が一番心に残った事は何ですか?」



「へっ? え、えっと……ぶ、無難ですけど、やっぱり梅原先生と清水先生の事かなー、なんて。アハハハ!」



「そうですか……。では、少々味見を」



 そう言って、日花里はぱくりと、千秋が作ったお餅の肉巻きを食べる。そして、一言「やっぱり……」と呟く。



「さ、澤鐘さん? ど、どうかしましたか?」



「いえ……。ちょっと思い当たった事があったので、少々」



「思い当たった事?」



 「それよりも」と日花里は千秋に詰め寄る。



「取材、ありがとうございました。後、後日、またご相談したい事があるんですけれども」



「は、はぁ……。自分は構いませんが、どうしたんですか? 急に?」



「ちょっと……」



 そう言って、日花里はメモを片付け、いかにも出来る大人だと思わせたいかのように、メモをさっと片付け、一言こう告げる。



「大人からのアドバイス、って奴ですよ」

 とにあさんより、日生千秋君を借りました。

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