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1月2日 折原遊紙

 1月2日、天候曇り。

 新年3が日の2日目。『株式会社・兎山』の一室にて、兎山則之は1人の少女と向き合っていた。

 黒髪を背中で三つ編みにしている、黒い真面目そうな眼鏡をかけた15歳くらいの少女。頭には牛の角のようなカチューシャを付けており、着ている服は白いシャツの上に黒い女性用制服を着込んでいる。



「……どうだったんだ? 『輝き閃光』先生のご様子は?」



「微妙だ、モー。最近のブームは牛っ娘なので、牛の角のようなカチューシャを付けているんだ、モー。まぁ、先生の趣味を頑張っている、モー」



 そう『モー』ばかり言っているのはこの牛耳を付けている少女こそ、『輝き閃光』先生の担当編集者である折原遊紙おりはらゆがみ。今年21歳になる、立派な大人である。



 今、この部屋では兎を被った中年課長と、21歳にもなって牛耳に女子用制服を着た女性が、会談すると言う謎の光景が行われていた。そう、正月なのにもかかわらずである。



「しかし、君には苦労をかけるね。『輝き閃光』先生のお世話だけでも大変だろうに、その上に同僚の世話まで頼んじゃって……。悪いね、本当に」



「いえ。これも業務の一環ですので、モー。大丈夫です、モー」



 そう言って、モーモー言う遊紙に、本当にごめんねと頭を下げる兎山課長。



「あの子……去年の年末に作家さんと揉めたらしくてね。それが今年にも響いて、元旦の集まりにも来なくてさ」



「それは大変でしたね、モー。皆、一応、来ていたのに、モー」



「その時に君の事も紹介しようと思っていたのにね……」



 本当に大変だよ、とそう言う兎山課長。そんな課長に対して遊紙は「いえ」と言う。



「私は仕事人間です、モー。どんな仕事だろうと、業務と割り切ってどんな仕事でも乗り越えてみせる、完全なる仕事人間です、モー。

 そんな人間関係にかなりの不安を抱える私の面倒を見てくれている課長のために、この折原遊紙、女を見せる、モー!」



 と、堂々と言う遊紙。それに涙する兎の被り物をした中年男性。



 ……元旦から、『株式会社・兎山』ではかなりの不安の種が渦巻いてしまっていた。



「さて。で、その困ったさんの名前はなんて言うモー?」



「君と同い年の、赤城正義君って言う子だよ」



 その言葉に、折原はピクリと身体を振るわせる。



「……まっ君?」



 そこには素で驚いている、仕事人間のはずの折原遊紙の姿があった。

 折原遊紙……『輝き閃光』先生の担当編集者。業務のために何もかもを斬り捨てる仕事人間。15歳くらいにしか見えないが、既に21歳の成人女性。

 何やら赤城君と関係あり?

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