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☆ エリオット視点
「またなの~? エリオット様、金鉱山を守るため、魔物退治に行ってくださいな。私兵に案内させますわ」
まるで当たり前のように平然と言ってのけるターニャ。
「え? 何で? 贅沢三昧好き放題させてくれる約束だろ?」
ターニャの豹変ぶりに唖然とする。
「それはそうですけど、今は緊急事態ですもの。 金鉱山の金を食べる魔物もいますのよ。 金が減ってしまうじゃないですか。 腕の良い騎士や魔法使いは皆、王宮の護衛に召し上げられ、良い私兵もなかなか集まらず難儀しておりました。 エリオット様は学園でもトップクラスの武術力で攻撃魔法もお上手。 きっと、魔物討伐も楽勝でしょう?」
何かを企むような表情で薄笑いするターニャ。
ちょっと待て…それじゃ、まるで…。
「もしかして、君が僕を婿に欲しがったのは…魔物討伐の戦力にしたかったからなのか?」
ターニャは、それがどうしたとばかりに嘲笑した。
「あら、言ってませんでしたか?」
「聞いてないよ! 魔物討伐に行かされるなんて知ってたら、君と結婚しようなんて思わなかった!」
言い返す僕を、ターニャはキッと睨みつけた。
「愛する婚約者の実家が困っていたら助けるのは当然のことでしょう? 贅沢だけさせてもらえるとでも? それに、エリオット様だって私に言ってないことがあるわ!」
「なんだ?」
「ヅラを被っていることと、童貞だということよ!」
「童貞まで申告しないといけないのか~~っ?! なぜ、そこまで知っている?」
「密偵を放って調べさせたもの! あなたがベッドの下にH本を隠していることも知ってるわ! このロリ好き!」
「そこまで調べるのか~~っ! プライバシーの侵害だっ! 君のような性悪女とは結婚できない! 婚約破棄だっ!」
「おほほほほ~! 婚約破棄したって、あなたの実家は弟が継ぐことになってるし、2度も婚約破棄した貴方と結婚してくれる令嬢なんてどこにもいないわよ! あなたは私と結婚するしかないの! さぁ、とっとと魔物退治に行きなさい!」
腰に手をあて仁王立ちする悪魔のような女。
僕に逃げ場が無いと分かれば、この態度か。
僕を好きだったんじゃない。最初から、魔物討伐の戦力が欲しくて近づいてきただけだったんだ。
彼女が本当に好きなのは、金鉱山に眠る金塊。
ターニャの言葉を丸ごと信じたばかりにこんなことに…。
ターニャは目的のためなら、どんなことでも言える女だったんだ。
僕は部屋を飛び出した。
もう、ターニャを信じられない。 絶対、逃げ切ってやるんだ!
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