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あれから。
エリオット様は、ロンド領の金鉱山の魔物討伐を10回ほど成功させました。
でも、ある夜、20m級の火龍が3角関係のもつれから決闘し始め、空中で激しい攻防を繰り広げながらロンド領あたりまで飛行し、巨大な火砲を数発撃つと、命中した金鉱山は木っ端微塵に吹っ飛んでしまいました。
金鉱山が見事な平地になり、ロンド領の領民たちは爆破の衝撃で四方八方に飛び散った大量の金塊を奪い合うように拾い集め馬車に積み込むと、領主に没収される前に、他の土地へ逃げてしまいました。金が好物の魔物たちも、大量の金を奪ってゆきました。
ロンド領は、金鉱山から採れる金塊で財政のほとんどを賄っていたので、どうしようと大慌てした後、領地収益を上げるため、急遽、農地開拓を始めました。
領民がひとりもいなくなってしまったので、ロンド伯爵家の使用人たちや、エリオット様もトラクターや鍬で広大な土地を耕す日々です。
エリオット様は「贅沢三昧好き放題させてくれると言ったのに、金塊は無いし、朝から晩まで毎日農作業や魔物討伐で忙しく、約束が違う」と文句を言いながらも戻る家もないので、婚約破棄したことを後悔しながら頑張っているようです。
ターニャ嬢も、金が採れなくなって贅沢できなくなったので株に手を出したものの失敗し、さらに金欠になってしまいヤケ酒に浸る日々を送っています。
☆☆
「アリシア嬢」
振り向くと、いつもの穏やかな笑顔。
「セイル様」
私はセイル様の邸に招かれています。
春の華やかな花々に彩られた庭に佇むセイル様は、今日も優しい清らかな雰囲気を身に纏っていました。
「セイル様は、以前、エリオット様が私に復縁を迫った時、私を庇ってくださいましたね。 彼に意見し、私を守ろうと盾になってくださった。
あの時、思ったのです。 貴方の本質は、本当の貴方は、正義感の強い良い人だと、信じられる方だと。 私、もう一度、人を信じてみたいのです。 貴方を…信じてもいいですか?」
静かにセイル様の言葉を待つ私に、そよ風に乗って優しい声が流れてきました。
「私があなたを誰よりも愛していると、信じてください。私も、アリシア嬢の言葉を信じます」
真剣なセイル様の表情が、欲しかった言葉が、この瞬間がとても愛おしく思えました。
心が、暖かな光で満ち溢れてゆきます。
人を信じる気持ちを取り戻させてくれたセイル様。
私も、あなたを誰よりも愛しています。
貴方に会えて、本当によかった。
桃色の花吹雪が、まるで私たちを祝福するように風の中を舞ってゆきました。
end
最後までお付き合いいだだき、ありがとうございました。
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